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薔薇の小部屋

アントワネット様の御用達

2022.11.15 08:00

日本工業大学オープンカレッジ 「フランス革命を懸命に生きた人々」第4回の今日は、マリー=アントワネットの御用達がテーマでした。


御用達といえば、なんといっても有名なのは"モード大臣“ローズ・ベルタンことマリー=ジャンヌ・ベルタンでしょうか。

ベルタンはマリー=アントワネットの衣装を1774年から、亡くなる1793年まで手がけたピカルディー生まれのモード商人です。ローズ・ベルタンとは後に付けられた呼称で、当時はマドモアゼル・ベルタンと呼ばれていました。

マリー=アントワネットとマドモアゼル・ベルタンが生み出したモードの数々は、現代にもロココスタイル、アントワネット風として影響しています。


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もう一人、髪結い師のレオナール=アレクシス・オーティエ。

レオナールという一人の人間と思われていましたが、レオナールと弟のピエール、ジャン=フランソワは3兄弟で、他に従兄弟のヴィラールと友人のフレモンも共に仕事をしていました。

レオナール=アレクシス・オーティエは、一人の技術者ではなく、レオナール・グループとでも言うべき理美容のチームを作っていたのです。


ベルタンとレオナール。二人は、それぞれパリで店舗や学校経営をしながら、ベルサイユの顧客のためにセンスと技術を駆使して活動した、現代的なクリエイター。

地方から夢と野心を持ってパリに来て、自分の力で王妃のモードを司る地位に上り詰めた才能の持ち主たちです。


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調香師のジャン=ルイ・ファージョンもマリー=アントワネットの美と健康に貢献した人物。

モンペリエの香水商の家に生まれたファージョンは、パリの香水商の後継者となりました。手袋香水職人の資格を得て、アントワネットに手袋を献上してから、アントワネットの注文を受けるようになります。

ファージョンは、アントワネットのためにプティ・トリアノンを表現した香水、誠実で控えめな男性をイメージした香水を調香しただけでなく、美肌、美髪のための化粧品も開発しました。


2012年、宝塚歌劇団星組で「ジャン・ルイ・ファージョン ー王妃の調香師ー」が上演されています。

https://archive.kageki.hankyu.co.jp/revue/backnumber/12/star_toutoku_farjeon/index.html


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画家のエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン夫人も、マリー=アントワネットの御用達といえるでしょう。

アントワネットと同じ1755年にパリで生まれたルブラン夫人は、肖像画家として自立した女性。

1783年に描いたローブ・シュミーズを着たアントワネットと、薔薇を持つアントワネットは、マリー=アントワネットの絵として最も知られていると思います。


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マリー=アントワネットの御用達たちは、革命勃発後、市民階級でありながら王家に縁ある者として、亡命したり革命政府に逮捕されたり、過酷な運命を辿ります。アンジャンレジームを彩った才能は、革命の時代にはそぐわないとされたのでした。

帰国後のベルタンは自店オ・グラン・モゴルの再建がままならず、レオナールも帰国後は不遇の生涯を終えます。

ファージョンは獄中で健康を失いました。

ルブラン夫人は長い亡命生活の間、ヨーロッパ各国で肖像画家として活躍しますが、最愛の娘と弟を亡くします。


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他にも、18世紀に活躍した女性、マダム・タッソー、アデライード・ラビーユ・ギアール、パジェル女史、フィリドール姉妹が今日は登場しました。


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講義の後の今日のご褒美は、マリトッツォ風とベルギー産クーベルチュールを使ったシュークリーム。

柔らかな甘さの幸福です。

https://www.nit.ac.jp/application/files/8516/5941/6996/R4NIT2022_.pdf