映画『キャロル』鑑賞。
衝動的に「今日、キャロルを観たい!」と夜8時に思ってしまったので、すぐさまレイトショーへ行ってきました。先日の『スティーブ・ジョブズ』は、男性ばかりが6人ほどでしたが、今回は女性ばかり10名くらい来ていました。女性の同性愛の物語という設定から、男性は入りにくいのでしょうか。
しかし、これは女性の同性愛だからとか、そういう二言論を超えたところにある、真実の「愛」の物語だと思いました。男女関係なく観ることをお勧めしたい映画です。
★あらすじ
時代は1952年NY。娘へのクリスマスプレゼントを買いに来たキャロル(ケイト・ブランシェット)は、店員のテレーズ(ルーニー・マーラ)の接客を受けておもちゃを買うが、売り場に手袋を忘れてしまい、テレーズはキャロルに手袋を郵送することに。出逢った瞬間に、キャロルの魅力のとりこになってしまったテレーズ。
手袋を郵送してくれたお礼にと、キャロルにランチに誘われ、娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルのことを知った。テレーズは、恋人からの求婚に思い悩んでいたけれど、これから西の方へ旅にでるというキャロルに一緒に行かないか? と誘われて、2人は旅に出て…。
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テレーズは、好きでもない恋人と、好きでもないおもちゃ販売の仕事をしていて、どちらかというと好きな写真の趣味は、保守的な感じでしていたのです。自分の意思はあまりなく、なんとなく流されてきてしまったテレーズにとって、キャロルとの出逢いは、心のスイッチが入ってしまったのでしょう。
そんなキャロルから、カメラをクリスマスプレゼントに貰い、好きな人から貰ったそのカメラで、初めて「ポートレート」を撮る気持ちも湧きおこりました。キャロルとの出逢いは、その後、タイムズへの転職にもつながりました。
映画は、フランス映画みたいな映像で、ゆっくりと、人物の表情を追いながらの展開。非常にスローペースな感じがして、ともすれば飽きてしまいそうな風でもありましたが、それは見事に意図されたように感じました。
表面上は淡々としていたようで、実は無意識の中では、密かに動いていたようです。最後の2分くらいで、急に涙が溢れてきて、そんな自分に驚きました。ハンカチが椅子から落ちてしまって、涙をぬぐえず、思いっきり泣けなかったことが今でも悔やまれます。自分の何にヒットしたんだか、今でもよくわかりません。
途中で、女性同士のキスシーンがあって、正直気持ち悪いなぁと想いながら私は観ていたのですが、不思議と映画が終わったあと、「美しい」と、急に美化されたのです。愛は二元論を超えました。人を好きになる気持ちに理由も何もいらない。ジャッジしてしまっては、この映画の中に入りこみづらいでしょう。観ているものは、試されるのだと思います。
2人が乗っていたあの車が、グレーだったことに、私はずっと美しさを感じていたのですが、あの「グレー」もきっと、白黒付かないどっちつかずの象徴だったのではないかと。
同性だからこそ見えてきた「愛」というもの。深い映画でした。
Don’t miss it!
★予告編
★メイキング映像の入ったインタビュー
★公式HP