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鬼川こるく(暁カカオ) 漫画・イラスト創作日記

NO.60 AIアートについてと、これまで自分が創作で大切にしてきた事。そしてこれからも。(クリスタについて追記あり)

2022.11.16 11:12

こんにちは、鬼川こるくです。ご覧頂きありがとうございます。



現在、2022年11月27日(日)のコミティア142に向けて準備をしているところなのですが、ここ最近イラスト界隈を賑わせているAIアートに関することについて、漫画畑の私に直接何かあったわけでもないのに間接的にダメージを受けてしまい色々と考えていました。



そして、もう一度自分を見つめ直して出した答えをここにまとめさせて頂きたいと思います。今日もお付き合い頂けましたら幸いです。




【🍄何が起きているのか🍄】

著作権や倫理的な問題が大きすぎて、浅く調べた私では的確にご説明することができませんが、要点だけでもお伝えしますと、文字でキーワードを入力すれば、ものの数秒でハイクオリティな絵を生成できるお絵描きAIが登場し、お金さえ払えばどなたでも使えることで自作発言をして商売をする人が現れたり、



絵師さん達への心無い言葉が飛びかうなどのトラブルや、SNSでは無限に生成できるAIの絵が次々と投稿されることでこれまでの需要と供給のバランスが崩れ、大きな変化が起きています。



そのAIの学習元というのが厄介で、ピクシブなどの画像投稿サイトの作品を無断で転載した海外の転載サイトが学習元になっており、著作権などを巡って海外でも大きな問題になっています。

開発者が自分で描いた絵や、自社でイラストレーターを雇って描いた絵だけで開発したならここまでの騒動になっていないのでしょうが、世界中のクリエイターの絵が許可なく使われたというのに現状では合法で…。しかもクリエイターには使用料が支払われていません。



歴史上で起きてきた革命と同列にして「技術の進歩を否定すれば時代に淘汰される」といった議論とは切り離して考えなければいけないことで、技術を盗まれた側が泣き寝入りせざるを得ないという大変大きな問題が起きている状況です。





【🍄ダメージを受けた理由🍄】

真っ当に描いてこられた絵師さん達のことを思うと胸が痛すぎるのと、ここで取り上げたいのは、絵師さん達に投げられていた言葉のうち、自分自身が創作する上で最も大切にしてきたことを否定される言葉が割と多く見られたことです。




それは具体的にどういった内容かというと、「成果物があればその過程なんかどうでもいい」「機械が作ろうと人が作ろうと一緒」「努力とか思いなんて時代遅れ」「感情なんかどうでもいい」「老害ww」などです。



…なんだか目の前が真っ暗になってしまって、ここ数日「これから先の創作はそうなるのか…?感情云々言っているのは時代遅れなのか…?私もう生きる意味ない……」と落ち込んだり泣いたりうんうん唸りましたがその結果…












「んな訳あるか!!ぐあぁぁぁ!!!」




と怒りが爆発して、逆に自分の方向性が固まりました。仮に、何年か先に漫画界にもAIが来てめっちゃくちゃに業界を荒らされたとしても私のスタンスは変わりません。細々とこれからも自分の描きたい大好きな漫画を描くだけです。



作品づくりというのはただ作品が完成すればいいというわけではなく、途中で壁にぶつかって悩んだり、何日も何日もキャラクターと向き合って心の声を聞いたり、キャラクターにこちらが励まされたり、


こんな風に描いたら読者さんが喜んでくれるかなとワクワクしたり、どこかに出かけて人々や風景を観察してインプットしたり、自身の心を成長させて作品に反映させたりといった、創作の過程一つ一つが貴重ですので、それらをすっ飛ばすのは勿体ないと寂しく思います。





【🍄絵描きの生態の一例🍄】

また、私は鉛筆デッサンから始まり、漫画原稿もアナログで描いた後にデジタルに移行した人間なので、描く前の真っ白な状態を見るととてもワクワクします。そのため、もしAIにババーンと先に絵を出されたりなんかしたら、「邪魔すんなごらぁぁぁ!!」と、パソコンをひっくり返しそうになると思います。



構図の参考などにはなるでしょうし、また漫画であれば締め切り前の修羅場の時など、ちょっとしたモブや背景など活用できるところも多々ありそうだとは思います。とは言えそれはAIではなくても素材やトーンで十分で、元々便利な物との距離感を上手に保ちたいと考えていたくらいなので…。



私が存じ上げていないだけで権利関係がきれいなお絵描きAIもあるのかもしれませんが、私個人としては、もし時代遅れと言われてしまっても使用することはありません。

未熟者の私が使えば、AIのアイデアに引っ張られすぎたり、自分で考えるよりも先にAIに正解を求めてどんどん依存するようになったり、上手さ綺麗さ正しさに囚われて表現が縮こまってしまうであろうことは容易に想像がつきます。




素朴だろうと、ここにこれを描いてあれを描いてとやっているうちに新しいアイデアが浮かんできて足したり引いたり思考錯誤するのが好きですし、絵を描く人達の生態は、ミリ単位で自分が「ここだ!!!」と感じた場所に筆を乗せたい方も多いと思います。


デジタルのお絵描き道具は、ずっとクリエイターが直感的に描けるよう企業様が努力してきてくれた賜物なので、今後も全然捨てたものじゃないといえます。





きっとAIアートの世界でもいずれ競争が激化し、文字の入力、プロンプトが高度になっていくのでしょうね。絵の勉強を何年も続けてこられた絵師さん達に対し「成果物さえあればなんでも一緒」「努力なんかいらない」と言っていた人達が「AIに指示する文字を打つのはすごく大変なんだ」とすでに主張し始めているのを見かけ、ということは結局のところ「努力や人の思い」に価値があるというわけで…。



実際、周囲のレベルが上がれば上がる程大変なんだというのは理解できますし、悪意のない方もいらっしゃると思っていますので、お絵描きAIを使用されている方は今一度、どういう経緯でこのAIができているのか、そして、イラスト界隈の絵師さん達に感謝の気持ちを持って頂けたらと切に願っています。





【🍄まとめ🍄】

人間は感情の生き物という事実からは逃れられず、AIアートの世界でもそれは例外ではなく、結局その表現をして何を人に伝えたいのか、どんな感動をお届けしたいのか、そういう愛や意志を持った方が新たな分野でも輝いていかれるのだと感じました。



ということで以上になります。

法の整備がされたらまたガラッと状況が変わるかもしれません。アメリカでは規制が進んでいるようですね。無断転載AIを悪用したり収益化をするのは当然ながら私も反対の立場です。



それが認められてしまえば真っ当に描いているクリエイターや、次世代を担う方達が国を出てクリエイターを守ってくれる国に流れるのは必然で、革命どころか国の文化の衰退に繋がります。

また、規制を強化する動きにある海外の方々からすれば、無断転載AIを使用している日本の作品は信頼や価値が下がるであろうことを懸念しております。




人生をかけて取り組んでいるものがそのようなことにはなってほしくないので、ネットの片隅ではありますが自分の考えを書かせて頂きました。今後も行く末を見守りながら精進して参ります。

今日も最後までお付き合いくださりありがとうございました。それではまた…!






【🍄2022年11月29日、クリスタについて追記🍄】

うわぁ…。上記で擁護させて頂いたお絵描きデジタルソフトを提供されている日本の企業さんから、権利関係ブラックの可能性の高いAIを試験的に使えるようにすることが発表されました。クリーンなAIならともかくこの発表はさすがに…。自分の手で描いている絵師を守ってくれると信じていた者としましては衝撃で言葉を失いました…。



企業側の説明には「うちは悪くありませんよ、何かあっても責任は取りませんよ」という内容が大分読み進めた先に書かれているのですが、AI塔載を喜んでいらっしゃる方も結構いて、これを読み落としている方もいるのかもしれません。一見クリーンなAIだと誤解するような文面でしたし…。



そもそも芸術に限度を超えた効率化って必要なんですかね…。0から生み出すぞーっとやっている絵描き達の心意気を踏みにじるような野暮な真似はしないでほしかったというのが個人的な思いです。この気持ちは理屈でどうこう説明できるものでもないです…。



案の定、海外で大大炎上。逆にこれで海外勢が激怒していらっしゃることが可視化して心強くもありますが…。そして、国内でもこれはおかしいでしょうと、ちゃんと声を上げてくださっている方々もいてほっとしました。絵師さん達を守りたいという信念で動いてくださっている方達もいて心強く、本当にありがたく思います。





そして頭が痛いのが、私もその企業さんのデジタルソフトであるクリップスタジオを使っていることなんですよね…。正確に言えばコミックスタジオのサービス終了直前にコミスタを購入して、コミスタの使い心地が良すぎてコミスタ8割、最後の仕上げにクリスタ2割という比率です。コミスタの後継ソフトとして販売開始されたのがクリスタです。



その2割というのは、文字のフォントがクリスタでしかうまく反映されないものがあるので、主に写植と、クリスタにしかないトーンやブラシを使っています。最終的にクリスタで仕上げるというのが個人的な最近の流れでした。

(欲を言うと写植はAdobeのインデザインを使いたいです)



この2つのソフトはどちらもその企業さんのソフトですが、コミスタはサービス終了しているので機能のアップデートはされません。

権利関係が綺麗ではないAIは意地でも使わないと決めていることを私の漫画を読んでくださる方には信じて頂くしかないですが、クリスタに本格的にこのブラックAIが実装されたら他のソフトへの移行を考える必要があるかもしれません。それともコミスタ10割にして入稿するところをスクショに撮るなどすれば証明になるのかな。



って、こんなことをいちいち考えなくてはならないこと自体が変なのですが…。

コミスタ10割か他ソフトへの移行を頭に入れておくことにいたします。移行した先でまたブラックAIが搭載されたら泣きます😂



クリスタで試験的に実装される際に匿名のアンケートも実施されるとのことなので、私も意見を送らせて頂こうと思います。



ということで追記は以上になります。
次回2023年2月のコミティアに新刊を間に合わせるためにはAIのことで頭を悩ませている時間が全くないので、いったん頭から外しますね。もしサイトの更新がしばらく滞っても私は元気に楽しく漫画を描いていますし、なるべくその様子を更新していきたいと思います。



新刊は描くのが楽しみなシーンがたくさんあります。心を込めて描いて、待っていてくださる方にお届けできるのを楽しみにしております。
長文にも関わらず、最後までお付き合いくださりありがとうございました。それではまた…!






【🍄2022年12月2日クリスタの続き🍄】

またもや追記で申し訳ありません。上記であれこれ書かせて頂きましたが、先程クリスタに画像生成AI機能を搭載しないことが発表されました…!良かったです。



ユーザーさん内では色々なご意見があることと思いますが、あの凄まじい海外の荒れっぷりようを見れば妥当な判断をされたと思いました。仕事で使えなくなるという点でも安心しました。



私の個人的などうでもいい情報ですが、私の父はとある分野の職人で、子どもの頃から職人の腕のかっこよさを見て育ったというのもあり、生粋の職人への憧れやリスペクトが強い傾向にあるかもしれません。



また、学生時代は剣道部員で、部活以外でも剣道を習っていたのも関係しているかはわかりませんが、魂やら胆力やらが好きなタイプではあるので、今回のクリスタの結果は素直に嬉しいです。

ですが、クリーンなAIで、絵描きの利益を不当に侵害するようなものでないAIが開発されれば使用される方を否定する気持ちはありません。そういう時代なんだなと受け入れていくだけですので…。



追記を重ねて長文になってしまい、読みにくくなってしまっというのに最後までありがとうございました!今後も絵描き界隈の騒動は続くことでしょうが、自分の信念を貫いていきたいと思います。

お付き合いくださり感謝いたします。それではまた…!