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精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

「助けて」と言えるのはカッコいい

2023.03.02 12:25



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



先日、

わたしにそっくりな方が

外来に来られました。

過去のわたしにそっくりなのです。



詳細は省きますが、

生活に支障をきたして

外来に来られました。

お仕事もうまくいっていません。



わたしは尋ねました。

「職場に相談できる方はいますか?」



その方は

「いません。

困っているなんて言えません。

迷惑をかけたくありません。」

と言われます。




休職する前のわたしに

そっくりなのです。



人に迷惑をかけたくない。

「助けてください。」

が言えない。



わたしの場合、

耐えて耐えて

どうしようもなくなって

「もう無理です。助けてください。」

と言えました。


罪悪感で

押しつぶされそうでした。




迷惑をかけてごめんなさい。

休んでごめんなさい。

仕事を代わってくれて

ありがとうございます。

働けなくてごめんなさい。


ぐちゃぐちゃ。





でも、振り返ると

みんな優しかったです。



迷惑をかけたら嫌われると

思っていましたが、

そんなことありませんでした。


困っていたら、助けてくれる。




わたしはその方に言いました。


「大きなSOSを出すのは

ハードルが高いです。


ちっちゃなSOSを

出す練習をしましょう。


人に頼る練習です。


こんなこと

お願いしてもいいのかな?

を、人に頼る。


小さいお願いする。


頼まれた人は喜んで

助けてくれると思いますよ。


『お願いしても大丈夫だった』

の体験をしましょう。」




その方は

「できるかな。」

と、弱気。


その気持ちも分かります。


「最初の1歩は誰でも怖い。


お願いするのも

だんだん慣れてきますよ。


図々しくなっちゃうかも!」



わたしがそう言うと、

その方は笑いました。





「助けてください。」

と、堂々と言える人は

カッコいいです。



わたしもいまだに

躊躇するときがあります。



でも、

わたしが逆の立場だったならば。

わたしを頼ってくれたら嬉しいです。




助け、助けられ。

そうやって

循環していくんじゃないですかね。


自分のところで

流れをせき止めちゃダメ。



助けられたら、

今度は誰かを助けたらいい。

優しさのバトンをつないでいく。




大丈夫。

少しずつ進んでいきましょう。