なんであの人あんなことするんだろう。
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
「なんであの人
あんなことするんだろう。
自分だったら
そんなことしないのに。」
と思うことはありませんか?
わたしはあります。
このとき
「わたしが正しいのに!」
と、正義を押し付けています。
必要なのは
「許容」。
例えば
昨日あったわたしの例。
恥ずかしいのですが
シェアします。
わたしの勤務している病院には
入院病棟があります。
病棟には洗顔を嫌い、
保清を保てない患者さんがいました。
(私の担当の方ではありません。)
久しぶりにその方とにお会いすると
何日も洗顔しておらず、
お顔が汚れていました。
わたしは憤りました。
「スタッフは何をしているのだろう。
外来ならまだしも、
入院中に洗顔できていないなんて。
私だったら声をかけて
かかわって
毎日洗顔するよう
はたらきかけるのに。」
怒りがこみ上がりました。
でも、
ここで考えました。
「わたしが正しい」
になっていると。
「わたしの意見だけではいけない。
看護側の意見もある。
もしかしたら
忙しかったのかもしれない。」
(いやでも忙しいからって
何日も放置する…?)
の気持ちもあります。
まずは
気づいたのなら自分でやろうと思い、
声をかけて
一緒に洗顔をしました。
(その方は嫌がるけれども
誘導すれば
自分で保清できます。)
病棟のスタッフさんには、
もう少しその方を気にかけてほしいと
お願いしました。
わたしにできる精一杯をしました。
もう1つの例。
わたしの外来には
紹介状を持って来られる方がいます。
前医の処方を見ると、
「なんでこんな治療をしているの?!」
と思うことがあります。
ここでストップ。
前医には前医の言い分がある。
わたしにできるのは
目の前の人にベストを尽くすだけ。
こう思えると集中できます。
「わたしのこうあるべき!」
に反していると
正義を振りかざしたくなります。
でも、
向こうにだって
同じように正義がある。
お互いの正義を認める。
それが「許容」。
多様性の時代に
必要ですね。