仮面の下の
よみうりカルチャー横浜「マンガで読む18世紀 貴族編」
今日取り上げたのは上原きみ子先生の『マリーベル』、森村あすか先生の『ラ・セーヌの星』、英洋子先生の『スカーレット・スコール』で、いずれも仮面の義賊が活躍します。
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歴史の事実や実在の人物と、オリジナルの物語が交差する面白さ。
『マリーベル』と『スカーレット・スコール』は、1905年に発表されたバロネス・オルツィの『紅はこべ』を原案としていますが、どちらも全く違うストーリー展開で、共通しているのは仮面の義賊の登場と劇団・芝居が使われているところでしょうか。
『ラ・セーヌの星』は、ヒロインはもちろん、後に結ばれる憧れの男性も仮面の義賊。
処刑台への導かれそうな人を、悪政に苦しむ人を、正義の心で救うヒロインとヒーローは、実際にフランス革命を生きた人たちも待ち望んでいたのではないかと思います。
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アニメの『ラ・セーヌの星』ではルイ16世とマリー=アントワネットの遺児マリー=テレーズとルイ=シャルルが救出されて未来に旅立つのですが、マンガは物語の途中で終わっているのが残念。
『紅はこべ』でもルイ=シャルル救出は重要なので、時代を超えて王子の運命の無惨さに心を揺さぶられてしまうのでしょう。
私自身も、2012年の『マリー=アントワネット物語展』に展示されていたルイ=シャルルの玩具を見たときは、涙を抑えられませんでした。
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さて、仮面の下の義賊達の素顔は、英国貴族、フランス貴族、マリー=アントワネットの義妹など様々です。
時代が違えば仮面の義賊たちも、それぞれの暮らしに疑問もなく暮らしていたであろう人が立ち上がる時、根底にあるのはフランス革命の「自由・平等・友愛」と同じ気持ちではないでしょうか。
様々な条件で正義や信念は違う方向に向いてしまうことがあります。
自分の視野だけで物事を見ると世界は狭くなる。
広い視野で、違う角度で世界を見る心の目を持っていたいものです。
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「自由であるべきは心のみにあらず!!
人間は その指先1本 髪の毛1本にいたるまで
すべて神の下に平等であり自由であるべきなのだ」 『ベルサイユのばら』9巻より
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さて、1月期は「マンガで読む18世紀 市民編」
今回とは違う作品を取り上げ、作品の魅力を味わいながら、々な立場で生きた実在の人物と架空の人物の人生、そして歴史と世相を見ていきます。