Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

社内基準を築いた養生マスター 管理会社からも続々紹介獲得

2022.11.28 03:00

現場の安全と衛生を守る養生の極意

施主の大切な住まいを、傷や汚れから守る大切な工程が養生だ。特に住まいながらの場合、暮らす施主のストレスをケアする気遣いも重要。形に残らないものの、良し悪しで印象は大きく変わり、養生きっかけで次の受注に繋がることも。こだわりの達人技を紹介する。



養生革命!
安西さんクオリティが社内基準に

家具職人からリフォーム営業へ転身し、今では年間200件ほどの現場を担当するカナジュウ・コーポレーションの安西洋一さん。「養生する時間が楽しいです。テープが少し曲がっているのも許せない」というほどの養生マニアだ。

同社では、部位ごとにどの資材をどのように施工すべきか、養生の品質が細かく指定された独自のマニュアルを標準化している。例えば、マンションの共有部であれば、エレベーター前は左右○cmまで、壁や角などは念入りに、EVのボタンはパネルが剥き出しにならないよう、必ずテープで保護するといったもの。この基準となる養生の見本を作ったのが安西さんだ。

「養生で会社や人の内面が見られてしまうと思います。大変ですが、きちんとしていれば周りからの印象もよくなりますし、実際にマンションの管理人さんから信頼を得て、別の管理物件の紹介をいただくこともあります。ただ一番は、自分が汚い現場にしたくない、という思いが大きいかもしれません」(安西さん)

▲「やっていて楽しいのは共有部ですね。人の出入りがあるので住民の方と雑談できたり、管理人さんとコミュニケーションを取ったりしています」(安西さん)



綺麗な現場が社内、職人、次の仕事へと繋がっていく

安西さんが率先して養生や清掃と美化に努めることで、職人たちの意識も変わったという。「時には、これが良かったよ、と職人さんが商品を勧めてくれます。そして何より、おのずと現場を綺麗にしてくださるようになりました。自分の養生が次に繋がっているなと感じます」(安西さん)

マンション共有部の搬入経路は、たとえ3〜4日程度の工事であっても徹底的に。暮らす方、管理人へグッと好印象を与えるようになる。仕事も円滑に進み、後のトラブルも防ぐうえ、紹介に繋がることも多い。

安西さんが特に気を遣うのが、不特定多数の人が利用する共用部のエレベーター。扉が開けられるようにしたり、手すり部も切り抜く。ボタン周りはマステの色を変える工夫も。

「見た目も綺麗にしたいので。自分も何か形に残したい、みたいな意識があるかもしれません(笑)」(安西さん)



こだわり養生施工基準
全員の養生水準を底上げ

同社が明確に養生マニュアルを作成したのも安西さんがきっかけ。見本となる良い現場を全体で共有することで、高クオリティが波及した。養生にかかる費用は惜しまない。定義に掲げる「見た目に美しく丁寧な養生をする」という言葉の通り、基本的に養生材は使い捨て。養生を、次につながる先行投資と考えている。



安西さんに続け!

安西さんの手がける養生は、cm単位の徹底ぶり。社内マニュアルの基準品質とされており、安西さんの分身を作るのが目標だそう。

サッシまわりも埃が溜まりやすく、汚れやすいポイント。桟にあらかじめ目張りをし、テープで覆ってしまっておけば掃除も現場復帰も楽に済む。



抜き打ちのパトロールで養生品質をチェック

同社では「現場品質向上=顧客満足度向上」と考え現場パトロールを行なっている。中でも目的のひとつは「5S」が順守されているかどうか。

住宅環境営業本部取締役の加藤本部長が、毎月営業担当とペアで実施。月1の営業部全体会議で現況報告、写真を共有し、研究を重ねる。改善が必要なものと、基準とを写真で比較できるので、明確な指示出しを可能に。安西さんの現場でダメ出しはまずなく、むしろ毎回改良されている部分を現場にフィードバックしている。

▲足りない部分があると指摘が入る。安西さんはダメ出し経験なし(!)

▲悪い具体例をあげることで、デッドラインを伝わりやすく



【養生マスター安西さんのマステレシピ】

基本的には養生材は会社で在庫を用意しているものを使用。マステなどはホームセンターで。養生の見栄えにもこだわる安西さんは、マステの色を使い分ける。


01.エコフルガード使用時、一番外側に貼る時に

02.エレベーターのダイノックシート部分や、ステンレスの部分に

03.掲示物を目立たせたい時の縁取りやエレベーター―内部のボタン付近など細かい場所に

▲荷物移動が必要な際には、同社オリジナルの段ボールをプレゼント



お話をうかがったのは…

カナジュウ・コーポレーション(神奈川県横浜市)住宅環境営業本部 主任 安西洋一さん

飛騨高山で家具職人として7年。多くの職人との出会いの中で、家具だけでなく室内の総合的な仕事がしたいと思うように。2013年カナジュウ・コーポレーションに入社。現在は営業のトップランナー。



リフォマガ2021年10月号掲載



⇓⇓同じテーマの記事を読む⇓⇓