帝国の時代51-大陸横断鉄道
2022.11.24 11:30
1869年5月10日、北米大陸を横断する「大陸横断鉄道」が開通した。この鉄道はリンカーン大統領のもとで立案された。当時は南北戦争が始まり、アメリカの分断が深まるなかで、統一されたアメリカの夢を見せるために始められたのだ。そして東西2つの会社が設立され、東と西から建設は進められた。
この建設には、南北戦争の退役軍人やアイルランド移民、さらには中国人苦力が動員された。ここでアイルランド労働者が歌ったのが「線路は続くよどこまでも」という歌である。日本語のほのぼのとした歌詞とは違い、「朝から晩まで線路工事で働いている」という労働歌なのだ。
さらにまたもや先住民の迫害が起こった。先住民は、グラント大統領が推進する居留地政策で、強制的に移住させられていたが、それを横断する形で建設がすすめられ、先住民は狩場を失い、鉄道建設労働者を襲撃した。さらに建設に邪魔なバッファローが殺され、先住民は飢餓状態となった。
またこの鉄道建設は汚職の温床となった。鉄道建設を請け負うクレディ・モヴィリエ・オブ・アメリカは、工事代金を倍に水増しして大儲けした。その代わりに株券を市価の半額で大統領他有力議員に渡していた。1872年にニューヨーク「サン」紙がこの問題をスッパ抜くと大事件となった。