癌サバイバー85
今回の悪性腫瘍(乳癌)のことで、故郷の父に電話をしました。
実家の近くに住んでいる私の妹からある程度聞いていても、本人の口からあらためて明かされると、また違う心境になったと思います。
「……ほぅ~……」
重々しい低いトーンの声色で、なにか挑戦的に受話器から伝わってくるこの『ほぅ〜』は、気のせいではありませんでした。
父は60歳頃に腸閉塞を起こしたことで大腸癌が見つかり(ステージ3)、患部だけでなく小腸の一部とリンパも予防切除する大手術経験あり。
以後、寛解を続けて今年で85歳です。
その間、いくつかの持病も抱えてしまっていますが、手乗りインコを飼いながら一人暮らし中。
昨今の決まり文句は、
「俺もあと一年かな〜。それまで頑張ってみるから、あとは頼んだぞ」
でした。
ところが、電話で私の癌について伝えると、先に述べた、
「……ほぅ〜……」
(暫し沈黙)
「そうか。よ〜し、んじゃ俺は90まで生きてやる。お前はそれまでにはちゃんと治療しろ。まず手術が終えたら連絡をよこせ」と。
なんだか、腹が立ってきました。
85のよぼよぼ爺さんになった父に、こんなふうに言わせている自分のたび重なる病気に腹が立ったというか。
しかも悪性腫瘍ってなんですか。
『誰に喧嘩売ってんだこの野郎、このくらいの気持ちで挑んでください』←
こんなエールをくださった天使父ちゃんもおられましたが(汗)
まさにその通りで、沸々と怒りが込み上げてきたのです。
がん 飛ばしやがって。
誰に喧嘩売ってるんだ。
怒りの感情というのは、ときに絶望から這い上がらせるパワーの源であると、どなたか心理学者も本に書いておられましたし、映画『ターミネーター3』で、シュワちゃんのセリフにもあったように記憶しています。
(映画自体は、シリーズの中で最悪との酷評で叩かれていましたが)
あのセリフは、私のこころには刺さっています。
そんなこんなで、腹が立ってきたお陰で、撃沈⇒不貞腐れていた心境からは、少し動きがありました。
12月中旬に予定している、亡き娘 有ちゃんの七回忌法要前に、私なりの法要(抱擁)供養をしたいなと、六本木ヒルズのスカイデッキに向かう気力に繋がりました。
6年前、有ちゃんと二人きりでクリスマスイルミネーションを楽しんだあの場所。
彼女にとって、此の世で最後のクリスマスになってしまい、以来六本木界隈、ミッドタウン等、地雷が埋め込まれたような場所になっていましたが、サバイバー85から得た怒りパワーで、なにがなんでも行きたい気持ちになりました。
すると……
ヒルズ53階の森アーツセンターギャラリーで『ベルサイユのばら』展をやっているじゃありませんか。
親の影響で(^_^;)有ちゃんもハマりにハマったロココ様式のおフランス。
いや、フランス革命を舞台に繰り広げられる不朽の名作コミックですよね。
▼池田理代子先生のカラー原画版イラストがこちら
▼そして2022年キャラクター設定画
▼劇場アニメ映画制作決定記念版カラーポスターがこちら
いつ頃完成するのか、先のことはともかく、
癌告知を受けてから、ひたすらビビりまくりの日々を過ごしていた私が、ひとときの夢の世界、こころワクワク☆をほんの少し味わえた日になりました。
サバイバー85の父にお礼と写真をLINEで送りましたが、既読になりません。
いまだにスマホ操作がわからないようです。
(ニャンズの写メもたくさん送っているのですが(汗))
12月12日、法要後⇒PCR検査外来
12月14日、入院
12月15日、手術
予定日まで日数が微妙にあるだけに、往生際が悪くなりそうな悪寒です。
(幼子のように泣きわめいて暴れられもしない、中途半端ぶり)
――激しく、美しく、生きた――
オスカルとアンドレのようにはいきません!?
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