例の講座レポ
11月26日といえば、映像翻訳者が楽しみにしてたアレの日。そう、「戸田奈津子さんの翻訳教室」(NHK文化センター)です!
誰もが認めるザ・字幕翻訳家でレジェンド戸田さまの講座とあって、発表された時から同業者の間で話題になっていました。
私も聞いた瞬間に教室での受講を申し込みました! オンライン受講者も含めると、周りの同業者はみんな参加するんじゃないかというほどの盛り上がり。
もうワクワクしながら待っていました。
(実をいうと、講座を申し込んだと思ったら会員登録をしただけで、気づいた時には教室は満席。泣く泣くオンライン受講を申し込んだところ、キャンセル待ちで教室に入れたという裏話あり。私って…。)
教室の受講者は150名! 老若男女、幅広い方がいらしていて、改めて戸田さんの認知度を思い知りました。さすがレジェンド!
戸田さんは白いタートルネックで颯爽と登場。キラッキラに輝いていて、お一人でしゃべりっぱなし! 前半は翻訳人生のお話です。ファンにはおなじみの内容でしたが、たまに「なっちゃん節」も飛び出して、同じ業界のシモジモとしては耳の痛い話もありました。さすがレジェンド。
後半はいよいよ「翻訳教室」。そう、今回は課題が出ていて、あの戸田さんに字幕を見てもらえるのです!
訳のポイントを説明しながら、バッサバッサと切っていく戸田さま。いやもう、爽快ですらありました。
そんな中で心に残ったポイントはこちら。
・話者の気持ち(意図)を考える。
・情報の優劣を見極める。
・言葉のささいな違いに敏感になる。(話者の台詞として適切か)
・日本語として自然であり、かつ、原文を尊重していること。
・作品のテーマは森羅万象。何を知っていても損はない。
・画面から意識をそらせる訳は失格。
・読み切れない字幕はNG。
・見直す時はリズムに注意する。リズムが悪い時は何かがおかしい。
・100点の字幕はない。
これ、すべて他のベテランの方々から聞くことと同じ。
私にとって戸田さんの字幕は「ドラマを作る訳」で、思い切った意訳に目が行きがちでした。だけど今回の講座で、原文を尊重してポイントを押さえているからこそ意訳も生きるのだと気づきました。
字幕の基本を忠実に守り、ベストを尽くす。そんな地道な努力を何十年も続けて1500本もの映画を訳し、字幕翻訳という仕事を世間に広め、ときには批判を受けながらも、ブレずに「好き」な道を進む。もう本当にカッコよすぎます!
戸田さんと同じ時代に字幕の仕事をできる幸せを、しみじみとかみしめました。
お久しぶりや初めましての同業者に会えたのも嬉しくて、教室で受講できてよかったと実感。(次からはちゃんと申し込みの確認します、はい。)
ちなみに3問目は「高みの見物ね」にしました。(100点じゃないけど合格点!)
写真はUTAさまにいただいたゴーフル。クリスマス気分をありがと♡