書を捨てよ旅へ出よう
書を捨てよ街へ出ようと寺山修司は言ったが、実際のところ旅の目的地は村や秘境でも良い訳である。それはこの言葉の指し示す所とはやや違う訳であるが、何れにせよ「書」にすらなっていないライトノベルなどを家で布団に転がって読みふけり、ネットで毒を吐くくらいならば、ぶらりと旅に出た方が良いと、こういう訳である。
家に引きこもっているオタク共を旅の楽しさに目覚めさせるには、いくつかの関門があり、またそれは引きこもりの側から見れば極めて面倒臭く煩雑なことは事実である。ここではいくつかのヒントを挙げながら、旅とは思われている以上に手軽で、そして思われている以上に大きな収穫があるものであるということを伝えたい。
ライトノベルの主人公に憧れて勇者になりたいと思ったことは無いだろうか。誰しも「物語の主人公」になりたいと思い、そしてそれは大概実現不可能な場合が多い。しかし意外にも、旅はそれを可能にしてくれる可能性を秘めている。
考えてみると、自分で企画する旅(パックツアー以外の旅)は、それ自体自分が主人公の物語ではないだろうか。そこでは同行者はパーティーの一員であり、旅先で出会う人は主人公を取り囲む様々な人物である。そして主人公である旅行者は、常に自分の意思で行動し、金を払い、旅行という名の冒険をして、一段成長して我が家に戻ってくるのである。
旅先で出会う冒険は、いろいろな種類がある。最高の景色、美味しい食べ物、思いもかけない出会い、時には思わぬアクシデントも。それは壮大なRPGであり、絵巻物であり、物語であるのだ。
どうだろう。少しは旅に出たくなっただろうか。最後に、旅の目的地を決めるヒントを書いて、この稿を閉じようと思う。
①都市:映画で見た都市、なんとなく憧れる都市……いろいろあるだろう。特に海外旅行は、国でなく都市で決めると、日程が立てやすい。
②食べ物、酒:食べてみたい異国の、もしくは地方の食べ物を手がかりに目的地を決める方法。私が多用している。
③聖地巡礼:ほら、海外の風景が出てくるアニメ、沢山あるじゃないですか?