中古ピアノW101再生の様子①
晴海堂では中古ピアノの再生も行っております。
内部の清掃、小部品の取り換え、弦の張替え、調整等、そのピアノの状態に合わせて必要な作業を施して、また次のご使用者様に気持ち良く使っていただけるようにしてから店頭で販売をいたします。
(大きな設備は有りませんので、全体塗装が必要な物、鉄骨フレームを外さなければならない修理が必要な物は、専門の修理工房に依頼しております)
最初はお掃除からですが、ペダルも全て取り外し、入り組んだ箇所のホコリも取り除き、錆びて茶色になったペダルもピッカピカに磨きます。
今回の作業は金属疲労で弾力が無くなってしまった高音部の弦を交換しました。
張弦の様子はこちら⇩
中古ピアノは一台一台状態が違います。
まだ使える部品と、取替した方が良い部品なども見極めていくのですが、
今回は少々、音色に大きく関わるハンマーフェルトの摩耗が酷かったので、調整ではもう限界だと判断し、通常ではアップライトのハンマー交換はまず大手の中古業者さんでも滅多にしない大変な作業です。
本来の音色に落ち着くまで「弾き込み」と「整音」を繰り返さなければなりません。それはピアノ命とも言える音色を左右しますのでとても技術力が必要ですし、かなりの時間を費やします。
ですが今回はピアノの寿命を延ばす為、大きな決断をしました。
「ハンマー交換」決行です。
今回はハンマーだけでなく、その下の部分のキャッチャーも全て交換。
フェルトや鹿皮などのクッション部分が新しくなりますので、擦り減ってごつごつしていたタッチが、新しいピアノのように弾力が出てきます。
ですが兼ね合いのある部品全てを全部調整し直さなければなりません。
完成までの道のりは遠いです!!
こんな風に鍵盤から弦までの間が空洞になるので、こういう状態の時は鍵盤を叩いても音は出ません。
店内で作業していたので、この段階でピアノを触って驚いたお客さんもいらっしゃったのでしょうか? (驚かせちゃったでしょうか?)
新しいハンマーを挿して、高さ調整や角度の調整をしてから接着します。
この前の段階で少しハンマーにも針を入れてその後の整音作業をスムーズに出来るようにしています。
そして接着する時は乾くまでの短時間に向きや角度などを微調整しながらずっと付きっ切りで調整します。(この作業、めっちゃ肝心で話しかけられても手が離せません)
接着もほぼ終わり、弦に対して真正面から叩くように角度の調整と、隣との間隔の調整を同時進行でやっていきます。
画像で一個抜けているのは、ここのカーブがとても難しくて、慎重に長さを測り、ヤスリで長さを微調整して取付けします。
ハンマー接着の最終段階です!!
さあ、次は最後の音色の調整と弾き心地の調整です。
まだその調整はこれから四月に入ってからになりますが、今はきちんと音は出るようになっていますので、ご興味がある方は店頭でぜひ触ってみてください。
そして仕上がった時の音と比べて頂くのも大歓迎です。