世界陸上オレゴン観戦記【後編】 全てのボウルターの「もっと高く跳びたい」の頂へ
こんにちは、中山(@kou49dec_pv)です!
前回の記事は読んでいただけましたか?
そちらを先に見てから戻ってきてください!
さて、今回の記事は World Athletics Championships Oregon 2022の後編です!
前編から2日たち,今日は大会の最終日(棒高跳決勝)となりました。
この日の午前中には十種競技の棒高跳も見ていて、かなりテンション上がっております。笑
決勝がスタート!
Day 10 (7/24)
Pole vault [Final] 17:25~
本日は踏切位置の真横の前から2列目の座席をゲット!
最強のスポットでございます。(座席の価格は1席で7.5万円!)
(16時ごろ)
選手がピットに入り、ドンドン足合わせを始めていき、徐々に跳躍が始まりました。
決勝に進むアスリートはゴムバーの高さも5m60や5m90をかけて、当たり前のように跳躍していました。
あまりにも当たり前に飛んでいたので、自分の眼の感覚がおかしくなりそうでした。笑
また、一番前の座席に座って良かったことは選手とコーチのやりとりが聞こえたり、ジェスチャーが見えたことです!
私は英語を完璧に聞き取ることはできませんでしたが、少しでもコーチングのやりとりを聞くために単語の端々やジェスチャーを感じ取るのに必死でした!
ジェスチャーは動作を模したものがほとんどで、ポールの操作、助走、スイングなどを話していることがとても伝わりました。
このコーチングの風景は、どの国も変わらないと思いました。
また、コーチによって様々ですが、iPadで撮影した映像を一緒に確認しながらコーチングを行なっているコーチもいました。
指の動かし方を見る限り、おそらくコマ送りやスローで動きを確認していました。
最初のバーの高さは5m 55から始まりました。
その後、5m70 、80とあっという間に高さが上がっていきました。
5m80を終えて、次に5m 87に挑戦する選手は9名でした。
ん?ちょっと待ってください。
9名ということは。。。
現時点で入賞が決まっていないということ。。。
確か、これでまでの世界大会の8位の記録は。。。
2021年 東京オリンピック 8位5m70
2019年 世界陸上ドーハ 8位5m70
2017年 世界陸上ロンドン 8位5m65
見ての通り、これまでの世界大会の入賞ラインを参考にすると、5m80は余裕で入賞の記録です。また「5m80」は、例年だと4位か5位相当であり、今大会がいかにハイレベルなのが分かります。
なぜ、こんなにハイレベルなのか。。。
私なりの考察ですが、オレゴンの気候がひとつの要因ではないかと考えました。
皆さん、テレビやYouTubeを見ていて違和感に気づきませんでしたか?
棒高跳決勝の開始時刻は17時25分です。
そうなんです。
めちゃくちゃ明るい!!
私も現地に行って、気づきましたが今大会の開催地オレゴン州ユージーンは、夜の21時でも明るいのです。
高さが80の時点ではおよそ19時くらいだったかと思いますが、日本の夏の昼ぐらいの明るさでした。
また、日本に比べて湿度は低く、感覚的には最も心地よい秋のような感じでした。
私が日本に帰国した時は湿度の高さにびっくりして、そのままオレゴンに帰ろうと思ったくらいです。笑
いよいよバーは5m94へ
5m94を跳躍する選手は7名いました。
1名パスがいましたが、87の脱落者は1名。。。
ますます、誰が表彰台に乗るかが分からなくなりました。笑
5m94の試技を最初にクリアしたのは、開催国アメリカ代表のクリストファー・ニルセン選手!
喜びを爆発させていました。
思わず、私も「Wooooooo」とスタンドの皆さん一緒に叫びまくりました。笑
続いて、オビエナ選手がクリア!
オビエナ選手は、これでアジアレコードを更新!!
#オビエナヤベエナ
しかし、喜びは控えめでした。おそらく6mを狙っていたのでしょう!
次にクリアしたのはデュプランティス選手!
まだまだ余裕ですね笑
この高さで、表彰台はクリス選手、オビエナ選手、デュプランティス選手の3選手に確定しました。
そして、6m00へ!
勝負が決しました。
モンド選手の6m00。
このクリアランスの高さを見て、なんかもう「ふぅ〜」って感じですね。
人間ですか?っていう。
その後、クリス選手とオビエナ選手は3回ともクリアならず、競技を終了しました。
さて、観客の期待は世界記録の挑戦に胸を膨らませました。
デュプランティス選手は、まず高さ「6m06」に上げ、これまた1回目で難なくクリア。
そして、バーの高さを6m 21(世界記録)に上げました。
世界記録への挑戦
6m21 1回目
クリアならず。ロックバックの途中で動作を止めました。
今まで、味わったことのない緊張感が会場に漂いました。
2回目までの間に、トラック競技4×400mリレーが行われ、男女ともにアメリカが優勝。
スタンドの盛り上がりは最高潮になりました。
また、アメリカの総合優勝が決定し盛り上がりすぎて、スタンドが揺れています。笑
この日は大会の最終日、リレーが終わり、残す種目は棒高跳だけとなりました。
スタンドの盛り上がりは最高潮。
観客の眼差しは棒高跳、ただ一つに注がれました。
その時、デュプランティス選手はポールを上げ、助走を開始しました。
6m21 2回目
滑らかな助走から、ポールが徐々におろされ、独特のボックスの手前でポールを滑らせ、ポールはボックスへ差し込まれました。
ポールが湾曲し、身体はスイングからロックバック。
捻り上げられた身体はバーを目掛けて勢いよく飛び出しました。
放り出された身体はバーの真上を頂点に、綺麗なクリアランスを描きます。
超えた。
“6m21 世界記録更新”
自身の持つ世界記録を更新。
そしてこの世界記録にはもう一つ大きな意味がありました。
セルゲイ・ブブカ選手が1993年に6m15を樹立。
2014年にラビレニ選手が6m16に更新。
そして、2020年にデュプランティス選手が6m18に更新し、2022年には6m20に更新。
ブブカ選手以降の世界記録は“屋内”で更新されたものでした。
この瞬間、20年ぶりに“屋外で”男子棒高跳の世界記録が更新されたのです。
22歳、青年の躍動はスタジアムの全てを虜にしました。
この瞬間はまるで壮大な映画をみたようなひとときでした。
いまでも鮮明に自分の眼や肌で感じた雰囲気が忘れられません。
ひとりの人間が起こした快挙が、これほどまでに自分やスタンドを熱狂させると思いませんでした。
ときどき、“スポーツがなぜヒトを魅了するのか”と考えますが、この夏、世界最高峰を見に行ったことで、自分の中に「ひとつの答え」を見つけたような気がします。
Hayward Field に感謝を込めて
If you have a body, you’re a vaulter.
ボウタカチャンネルの米原と中山がアメリカ・オレゴンで行われた世界陸上に行ってきました!ぜひ皆さんにアメリカの熱気を届けたいと思い「世界陸上オレゴン大会」の様子をVlogにしました!
ボウタカ Vlog
「世界陸上オレゴン大会 2022(後編)」
- rec. 2022.7.18. - 27.