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精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

勝手に良くなるから大丈夫

2022.12.05 10:55



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



患者さんから

質問されました。

(特定されないよう配慮しています。)



「先生は休職した経験があるって

前言ってたけど、

どのタイミングで復職したの?」


復職のタイミング?




どうだったかなと思い出す。




「元気になって、

暇だなー。

暇だから社会復帰しようかなー。

って思って復職しました。」



『暇だし時間潰しに復職してやるか』

くらいのスタンスだった気がする笑




「え?そんな感じ?

もっと大きな出来事があったのかと

思ってた。

これがあったから復職する!

みたいな。」


と言われた。




そんなのない。

全然ない。

ごく普通の毎日を送ってましたよ。




わたしは続けます。


「季節に完全な分かれ目って

ないですよね。


この日から夏!

この日から秋!

とかないじゃないですか。


段々季節がうつってく。


わたしもそんな感じで、

ある日突然元気になった!

ではなくて、

次第に元気になった感じですかね。


いつに間にか

暇を感じれるくらい良くなってた。

だから復職しました。」




患者さんは黙り込みます。


「先生、わたし、

何か大きなことがないと

良くなったって言えないと思ってた。


例えば

就職して結婚して子供を産むとか。


そうじゃないんだね。


わたし、

昔はもっと暗くて危うかった。


今は元気。


わたしも

いつの間にか良くなってたんだね。


大きく変わらなきゃいけないと

思ってたけど

小っちゃっくていいんだね。」




わたしは涙が出そうになりました。


この患者さんは

自分を認められなくて、

ずっと責めていました。


でも、

少しずつ変わっている

自分に気づけた。



「そうなんですよ。

勝手に良くなるんですよ。


無理に

良くしようと思わなくても

ちょっとずついい方向に変わってる。


前に進んでるんです。

だから安心していいんですよ。」


と伝えると、


「そっか〜。」


と、はにかんだ笑顔を

見せてくれました。





わたしが言った言葉は

自分にも突き刺さる。




「勝手に良くなる」

「ちょっとずつ前に進んでいる。」


最近自分を信じれず、

あがいていました。



自分の望む結果が出ないから

あがく。



でも、

振り返れば

ちゃんと前に進んでいる。






世界を信頼したい。

それは

自分を信頼すること。



自分を見失いそうになっても、

今回みたいに目の前の人が

教えてくれる。



本当に良くできている。


世界は優しい。