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Jesus Christ Glory Church

羊の群

2018.03.12 16:05

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まり子の大切なものを奪ってきたものは、すべてを呑み尽くす死そのものだった。 「確かに人生は公平とはいかない。だが、それが無情なのかと深く突き詰めて考えて みると、実はそうではないことが多い。鮭は死ぬとわかっていても、広い海を捨てて 狭い川へと突き進んでいく。それは一つの命が、多くの命を生み出すからだと思うよ。 いつか君を通して人が慰めを受けることができるのなら、今あることは決して無駄では なかったと思える日もやってくる。厳しく苦しい人生であればあるほど、その実りも 豊かなはずだ」 孝太は、自分自身と重ね合わせて言った。これからの生き方を考える上で、死は、 誰においても避けられない問題だ。それをどう受け止めていくかは、どう生きるか ということと比例してくる。即ち、死があるからこそ、人は優しくもなり愛し合う こともできるのではないか、孝太はそう考えるのだ。  


(著者コメント)

この小説は大好きだった姉が亡くなり、生きる意味を本気で考えた時、ただ生きると言うだけでは許されないような気がして、初めて書いた小説です。枚数は70枚だった。あれから二十年が経ち、700枚に書き直され、この度出版することとなりました。 主人公は双子の兄妹。初めは憎しみ合うことでしか互いの存在意義を確認できない二人だった。家族はバラバラになり都会の孤独に押しつぶされ、双子は再会する。 ストーリーは、人は孤独とどう向き合うかというテーマのもと展開される。書き手の私は、やはりいつも亡くなった姉を思い出し、何故姉が死に、私は生き残ったのか考えてきた。その意味が知りたいし、残された方は何を託されたかを、小説の中で語りたかった。今も探していて、考えている。 この小説を書いてから長い年月の間で、時代は変わり、人の考え方もかなり変わってきたけど、人の悲しみと孤独は変わらない。いや、増していると思う。時代は止められないし、人も変われないのなら、良い本や、良い友や、良い教師や、良い映画や漫画でもいいから、心を動かせる何かと出会うしかないのではないかと思う時、この本が誰かの喜びや楽しみや幸せにつながってほしいと思います。