<北朝鮮>硬軟両様 制裁反発、一方で五輪に意欲
<北朝鮮>硬軟両様 制裁反発、一方で五輪に意欲
毎日新聞 3/31(土) 22:35配信
【ソウル堀山明子】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が2020年の東京五輪と22年の北京冬季五輪に参加意欲を示し、平昌(ピョンチャン)冬季五輪以後の融和ムードを長期的に持続させる意思を鮮明にした。また、平壌公演のため訪朝した韓国の芸術団を歓迎し、南北融和ムードも再び演出した。一方で、米国主導の国連安全保障理事会による追加制裁には強く反発しており、米朝首脳会談に向けて硬軟両面で交渉カードを準備しているとみられる。
「芸術団が4月の春に来て、本当に花が咲く美しい季節だなという考えが浮かんだ」。韓国の平壌公演共同取材団によると、平壌国際空港で芸術団やテコンドー演武団を歓迎した北朝鮮の朴春男(パク・チュンナム)文化相は南北の雪解けムードをこう表現した。2月の平昌五輪に合わせた韓国公演を率いた「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」の玄松月(ヒョン・ソンウォル)団長も「早く会えればと待っていた」と出迎えた。韓国取材団は、入国ロビーで朝鮮中央テレビや各国営メディアの記者ら20人以上が待ち構え「取材競争」になったと熱気を伝えた。
芸術団が到着した31日付朝鮮労働党機関紙・労働新聞1面は、金委員長と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長との会談を、写真入りで大きく報道。金委員長が東京、北京五輪に参加意欲を示した発言は見出しにならなかったが、「バッハ会長が頻繁に訪朝するよう招待した」と報じた部分は太字で強調され、五輪参加に向けてIOCと長期的な協議に臨む意欲をにじませた。
一方、ほほ笑み外交と同時に、強硬姿勢のカードもちらつかせた。国連安保理の追加制裁に対し、労働新聞は31日、「米国が朝鮮に対する制裁の度数を史上最大に高めている」と指摘。公海上での不法取引である「瀬取り」を遮断する動きは「愚かな画策」と指弾した。安保理決定とほぼ同時に反論を掲載した格好となっており、26日に開かれた中朝首脳会談などの場を通じて、30日に追加制裁が実施されることを把握していた可能性がある。
金委員長は非核化について「段階的で歩調を合わせた措置」と条件を付けている。「段階的措置」の具体的なシナリオは明らかにされていないが、日米韓などの独自制裁や国連安保理の制裁解除、米韓軍事演習の規模縮小や中断、さらには韓国や日本による経済協力が見返りとして議題になるとみられる。金委員長が米朝首脳会談を前に相次いで硬軟交えた態度を見せているのは、取引材料を増やす戦術とみられる。
北朝鮮が非核化プロセスで段階を細かく切ってそのたびに見返りを得ようとする「サラミ戦術」は、20年以上にわたって続いている常とう手段で、国際社会も学習している。米国が今回、国連の追加制裁を主導したのは、北朝鮮の段階的措置に備えて、交渉カードを増やす狙いもありそうだ。
===毎日新聞記事(ここまで)===
以下 文責 マリヤ・マグダレナ
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