[米を炊く 007]あいりさんの話
暮らしの中で淡々と繰り返している
「米を炊く」ということ。
私にとっては、当たり前のように
そこにある行為だけれど、
みんな、どんな風に、どんな時に、
米を炊いているのだろう。
そして、その周りにはどんな日々が
続いているのだろう。
身近な人たちに、
それぞれの「米を炊く」と、
その周りにある日々のことを聞きました。
今日は、
あいりさんから聞いたお話です。
あいりさん
福井県出身、在住。お箸屋さんに勤務。夫と息子と三人暮らし。第二子出産を控え、現在は産休中。夫の実家がお米をつくっているので、惜しまずにたくさんお米を食べられて嬉しい。美味しいご飯をつくり、美味しそうに食べる人。
あいりさんの米の炊き方
1.米を研ぐ
2.炊飯ジャーごと冷蔵庫に入れ、一晩浸水。(冬は浸水無し)3.適量の水を入れて炊飯器で早炊き。(冬は前日の晩に予約炊飯)
息子が生まれてからは、朝と晩の2回お米を炊いてる。朝は、前の晩に研いで炊飯ジャーごと冷蔵庫に入れて浸水しておいたお米を、早炊きモードで炊く。冬は夜のうちに予約炊飯しておくので、朝起きたら炊けている感じ。3人分の朝ごはんとお昼のお弁当に詰めると、ちょうどなくなるくらいの量を炊いてる。夕方帰ってきたら、夕飯の分だけちょびっと炊く。やっぱり炊きたてが美味しいよね。75分かかる「熟成炊き」モードで炊くから、浸水はしないな。きっと浸水や蒸らしの時間も75分の中に含まれてるんじゃないかなと思って。
お供え物のご飯みたいな量
保育園は給食が出るんだけど、ご飯だけは家から持って行くことになってるの。息子はめっちゃ白米が好きだから、お弁当箱にパンパンになるくらいご飯を詰めて持って行かせてたら、先生に「おかずを食べなくなるので、一口くらいのおにぎり5個でいいです」って言われて、今はお供え物のご飯みたいな少しの量のご飯を持って行ってる(笑)お米好きな息子のお陰で、今までの人生で一番お米を炊いてる気がするなあ。三食ほとんどご飯だね。
わからないままに頑張って
知り合いのカメラマンさんが、今勤めているお箸屋さんを紹介してくれて働くようになったんだよね。産休に入る前はオンラインショップを新しくする準備をしてた。毎日楽しかったよ。入った頃は私しか女性がいなかったんだけど、今は増えたし、カフェや文化財の場所貸しなどの新しい事業もはじまってるんだよね。経験者がいない事業もあるからわからないことだらけだけど、みんなわからないままに頑張って動いてる。もうちょっと人が増えたら、料理と一緒にお箸の写真を撮りたいなとかやりたいこともある。私が復帰する頃には今より3、4人増えているはずだから、どうなっていくかな。
仕事に行くと気分転換になってよかった。家の中だけじゃ完結させられないこともあるよね。大人と喋りたい日もあるし。
自分なりの実験を繰り返している
保育園の保護者面談の時、息子について「落ち着きがなくて集団行動ができていません」って言われたんだよね。まだ年少さんだし、そんなもんなんじゃないかと思うんだけど、先生は「このままだと学校生活でも本人が苦しみますよ」って言うし、他にも日頃から注意されていることもあるから落ち込んじゃって。これが日本の社会に馴染んで行くためのファーストステップなんだなって思った。それをアメリカで保育士をしていたこともある同僚に話したら、アメリカの保育園での教育に対する考え方をいろいろ教えてくれたの。特徴は、とにかく何をしても肯定すること。お菓子で遊んでても「素敵ね」って褒めるし、工作でしっちゃかめっちゃかになっても褒める。「良いことも悪いことも全部その子が自分で気づくから、一通りやらせてあげたらいい」って話をしてくれて、すごく良かった。息子は、保育園の中でいろいろなものが気になって、自分なりに実験を繰り返しているうちに落ち着きなく見えるようになってしまっているんだろうな。落ち着いて上手に話を聞けるかどうかで学校で上手くやれる子とそうじゃない子に分かれていくんだろうなーと思うけど、別に学校で上手くやるためだけの人生じゃないもんね。場所が変わればルールも変わるし、まあ大丈夫なんじゃないかとも思えた。
日常を話すとなると今は子どもの話になっちゃう。ほんとに子どもが中心なんだなあ。50歳くらいになって振り返ったら、子どもが中心だった頃のことも笑えると思う。