平成30年2月23日(金)『BS句会2月』
夜は、BS句会に出席、先生は、西村和子さんだった。5句の内、並選が2句で、不調だった。
しんしんとこんこんと雪ドンドンと
立春を聞けば体内時計春
菓子聞けばはつさくらなり雛の茶事
着膨れてガン病棟の青い庭
秩父には狼蛍兜太いて
解説を加える。
しんしんとこんこんと雪ドンドンと
今年は、東京で雪が降り、積もった雪が、なかなか消えなかった。寒い時期が長すぎて、残雪がなかなか消えなかったのである。
雪が降る様を、擬音語で、いろいろと表現するが、しんしんとは、音もなく、深夜、無音で降り注ぐ雪の様を言う。こんこんは、昼間降る雪だろう。見る間に、大量の雪が積もるようだ。一方の、どんどんは、歌舞伎で、雪のシーンには、太鼓が使われ、ドーン、ドーンと太鼓が響くと、雪が降る感じがするものである。この句を作ったが、ドンドンと、が何を意味するか分かってもらえず、誰も取ってくれなかった。ドンドンを、違う擬音語で作っても良かったかも。
立春を聞けば体内時計春 コーラル並選
今年の立春は、2月4日であった。旧12月19日に当たる。冬と春の境の日で、この日から春になる。今年の東京は、ことのほか寒く、春が待ち遠しかったが、立春と言う言葉を、テレビのニュースや、新聞の活字で見ると、ついには春が来たと,スプリング ハズ カムと、完了形になり、身体が、春を受け入れてしまうのである。この日から、私の体は、春にモデルチェンジするのである。
菓子聞けばはつさくらなり雛の茶事
兼題が、お菓子の名前を入れる事だったので、この句を作った。雛の茶会で、出てきたお菓子が、なんであれ、菓子の名を聞くと、はつさくら、と返ってきたので、茶道の中にも、季節があると思いう作句したが、誰も取ってくれなかった。
着膨れてガン病棟の青い庭 典明並選
寒いと着膨れるのは当たり前だが、余り着ぶくれると格好が悪い。でも、痩せた身体に厚着して、無理をしてでも、庭に出て、庭を眺めようと言う気持ちには、悲壮感を感じる。今は冬、されでも、庭にはバラなどの冬の花が、患者の眼を慰めようと咲いているだろう。果たして緑したたる季節まで、命を永らえることが出来るのだろうか。着膨れてホスピス棟の青い庭、でもよかった。でもこれだと、希望があまりになくなってしまうな。
秩父には狼蛍兜太いて
この句は、今月なくなった金子兜太さんを偲んでの、追悼句である。俳句界の巨匠、戦後俳壇の改革者だった。稲畑汀子さんとの、俳句論争が、懐かしい。