走りの要! ダンパーメンテナンスの紹介
皆さん、こんにちは。RC営業担当の坂本です。
毎週水曜日はRCカーの情報をお届けいたします。
4月に入り、入学や就職、引越しなど、この時期から生活環境が大きく変わったという方も多いでしょう。何かと忙しくてバタバタすることも多いかと思いますが、息抜きも大事! 暖かくなってきましたので、時間を作ってぜひとも外で思いっきりRCをエンジョイしていただければと思います。
さて、本日のブログは”ダンパーメンテナンス”についてです。ひと口にダンパーといっても車種によって形状や大きさ、構造などもさまざまです。今回は、私の愛車である”アルティマRB6.6”を例に、1/10スケール 2WDオフロードカーのダンパーメンテナンス方法をご紹介したいと思います。
RCカーのサスペンションに使われる”ダンパー”。 ”ショック”と呼ばれることも多いですね。たびたび当ブログに登場しているアルティマRB6.6は、エアレーションダンパーというタイプのものが採用されています。
ダンパーケース内に注入する専用オイルと、同じくケース内にエア(空気)を入れて混ぜ合わせることで反発力を強くしたり、また弱くしたりと特性を変更することが可能です。
組み方によって反発を細かく変更できる点からも、オフロードカーのように荒れた路面やジャンプの着地など、衝撃を受ける走行環境下においてメリットがあり、他社製を含めてオフロードカテゴリーにはこのエアレーションダンパーが多く採用されております。
では、さっそくダートコースで走り倒したマイマシンのダンパーメンテナンスにとりかかるとしましょう(笑)
私は普段からダートのオフロードサーキットを走らせる機会が多いです。レースイベントに参加した時のように、1日の走行回数と時間が決められている場合を除くフリー開放日に走行する場合は、1日で約10分間の走行を15回ほど行います。
走行するうえで手間があまりかからないオフロードカーの場合、私はあまりマシンに手を加えず、とにかく走り込むことが多いです。
上の写真のダンパーは、2月頃に一度メンテナンスを行い、その後、丸4日ほど走りっ放しの状態で、まだ何もメンテナンスを行っておりません。さすがに作動がシブくなってきたと思い、一度分解してみることにしました。
まずは、上の写真のようにキャップを取り外して、ダンパー内のオイルを出してみます。ご覧のとおり、ケースの中に土が混入しており、液体が茶色くなっていました……。オンロードカーを走らせている方には見慣れない光景かと思いますが、ダート路面を走る電動オフロードカーの場合は、比較的すぐに内部が汚れてしまいます。初めての時は少々驚きましたが、今では見慣れているため、何とも思わなくなりました(笑)
ダンパーケース内とキャップにも汚れたオイルが付着しているので、ウエスなどで綺麗に拭き取りましょう。油汚れですので、専用の洗浄クリーナーを使うのも有効です。
続いては、ケース内のピストンやシャフト関連にとりかかります。この流れで全部分解したくなるのですが、分解する前にまずは作動チェックを行います。
ダンパーケース内の上の画像のパーツは、内部にOリングがふたつずつ入れて組まれています。ダンパーシャフトをスライドさせる際、オイル漏れが起きないようキャッチしているのですが、このOリングの作動がシブくなっていないかの確認からいつも行います。
ユーザーの方から、どれくらいのタイミングでOリングを交換すればいいのかを、サーキットの現場でお問い合わせをいただくのですが、私の場合は下の写真のようにシャフト先端の黒いロット部分を指先でつかみ、手首で上から下に向けてスイングさせ、カートリッジが端から端までスライドして動けば、むやみにOリングを新品交換せず、オイル交換のみを行って組み直します。振り下ろしてもカートリッジの動きにシブみがある場合は、Oリングを交換するようにしています。シブいままのダンパー作動では、ギャップやジャンプ走破性が落ち、操縦しづらくなってしまいます。
今回は4本ともにOリングの作動がシブくなっていたため、新品交換しました。
ロッドを取り外し、カートリッジ内を分解してみました。中のパーツも少し汚れていたため、ウエスで汚れを綺麗に拭き取ります。
今回交換するOリングもわずかに汚れていました。汚れを拭き取れば劣化具合が見た目ではわかりにくいのですが、一度シブくなってしまったOリングは基本的にクリーニングしても復活しませんので、ここは思い切って交換しましょう。
使用するOリングは京商製X断面型のリング(クリアー)です(No.ORG03X)。 柔らかい素材で作動がスムーズかつオイル漏れしにくい形状に作られており、抜群の性能です。
さっそく、カートリッジに組み込んでいきましょう。組み込む際のコツとして、Oリングにシリコンオイルを少しつけて組むのがオススメです。潤滑の役目を果たし、スムーズに中に納まります。
ダンパーシャフトを入れる際は、シャフト先端のねじ切り部分にもオイルを少し塗布します。組み付ける際にOリングにキズをつけないようにするための策です。
シャフトを通したら、ダンパー取り付けのロッドを締めていきます。この時の注意点は、シャフト長をきちんと計測することです。下の写真のように、1本ずつきちんと長さを揃えてくださいね。長さが揃っていないと走行した際に左右の曲がり方が違ったり、真っ直ぐ走らない……なんてことが起きる可能性もありますからね。
ここまで完成したら、いよいよダンパーオイルを注入していきます。ダンパーに入れるオイルは350~500番くらいの粘度が定番です。今回は、450番を使用しました。まずは、ケース内にオイルを注ぎます。私の場合は下の写真のように、オイルをケース内のねじ切り部分との境目まで入れるようにしています。
次に、ピストンをゆっくりケースに入れて、少しずつ締め込んでいきます。締め込んでいくと余分なオイルが溢れてきますが、気にせずに締め込みます。
最後まで締まったら、今度はカートリッジを1回転緩めます。緩めたらシャフトをゆっくり上下に2回伸縮させます。その際、まだ余分なオイルが溢れてきます。
2回伸縮させたら、写真のようにシャフト部分を1センチくらい伸ばしたところで、カートリッジを手で締め込みます。締め込み後、シャフトを10回ほどゆっくり伸縮させます。これは、ダンパーケース内のオイルとエアを混ぜるためです。
終了したら、シャフトが全縮したところから5ミリほど伸ばし、工具などを使用してカートリッジを完全に締め込みます。シャフトが露出している部分を長くして締め込めばエア量が多く反発の強い仕様に、その逆は反発の弱い仕様に仕上げることができます。私はいつでもこれくらいで組んでおります。
文章と画像ではわかりにくい箇所もあるかと思いますので、実際に組んでいる動画を用意しました。私物のデジカメでの自作動画ですので、少々見づらいかもしれませんが、ご了承下さい。
何回か取り直したことで、私物のデジカメはオイルまみれです……(笑)
いかがでしたでしょうか?
アルティマ以外のダンパーでもエアレーションダンパーであれば、私の場合はこの要領で組むようにしています。あくまでも人によって組み方は異なりますが、ぜひ少しでも参考にしていただければ幸いです。
ケース内に溢れたオイルをよく拭き取ったら、車体に取り付けて完成! これで、しばらくはバンバン気持ちよく走行できるでしょう!
話が少し横道に反れますが、今回のダンパーメンテナンスに使用した京商製シリコンオイル。電動カーやエンジンカーのダンパーメンテナンスによく使われる番手(300~850番)は、数年前から下の写真のように大きなボトルに変更されました。
特に、1/8カテゴリーのようにダンパーサイズの大きいマシンのメンテナンスにも対応できるよう、サイズの大きいものに変更したのですが、実は変更したのはボトルサイズだけではありません!
ちょうど、このサイズのボトルに仕様変更する際、中のシリコンオイルの”粘度”もひとつひとつきちんと計測し、精度にこだわったシリコンオイルへと進化しました。
トップクラスのレースシーンにおいて、ドライバーからの要望をもとに高い性能を追求するために、人の目視によって徹底的に管理されたうえで出荷しています。
一見、地味で細かいことのように感じるかもしれませんが、実際に走らせると明確に走りの違いが生じます。ひと言で表すと安定感が増します!
実際に使用いただいたユーザーからの評判も高く、リニューアル以降、世界中でよく売れているオイルです。今ではダンパー以外の用途となる粘度の高いシリコンオイルも、すべてマッチドされて出荷されています。京商こだわりのイチ押しアイテムとなっています! やっぱり、こだわって作られたアイテムは使っていても信頼でき、気持ちいいものです。よろしければ、ぜひ試してみてくださいネ。
http://rc.kyosho.com/ja/accessory/siliconeoil.html
ぜひ皆さんもお時間を作って、お手持ちの愛車のチェック&メンテナンスをしてあげてください。
本日のブログはRC営業担当の坂本でした。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。