【子供の頃の思い出】土葬の記憶
父方の田舎では昔、土葬が行われていた。最後の記憶は1980年代前半でまだ子供の頃。 今となっては貴重な体験だったと思えるので、覚えていることを記録しておく。
父の実家は都会暮らしの私と弟と母にとっては、別世界のような山奥で、母屋と離れと鶏舎がある広い屋敷。 祖母の通夜と葬式はそこで行われた(自宅葬)。親戚だけではなくて、近隣の人も大勢出席していた。
出棺前、親戚の男性になぜか弟だけが呼ばれ、部屋から連れ出された。
連れ出された弟(まだ小学生)が男性の親戚と部屋に戻ってきた時、彼らの姿を見てとてつもない衝撃を受けた。白い着物に着替え、頭には白い三角頭巾 -△- まさに幽霊そのものの姿に!
どうやら直系の男性親族だけが(生きていてるが)死装束を着ることになっているらしい。
墓地は裏山(家も山ん中だけど、さらに山奥)。 葬儀後、各親族は私も含めてそれぞれ違う謎のアイテムを持たされ、棺を担ぐ人も含めて列になりそこまで歩いた(野辺送り)。 死装束の役の人達はワラジを履いて歩く。 墓地で墓掘り人達が待機していた(穴掘り済み)。
棺を下ろし、台の上に置くと…
その人達が棺の蓋に釘を刺し、金槌で激しく打ち始めた。子供心に、「そこまで激しく、たくさんの釘を打たんでいいやん!? 」って悲しくなった。まるで生き返るのを防ぐ儀式に見えて怖かった(もちろん違うけど)。 はっきりとは覚えていないが、そのあと僧侶がお経を唱え、棺を穴に入れて土をかぶせたと思う。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
母にも当時のことを聞いてみたが、あまり鮮明に覚えていないらしく、
- 通夜に線香の火を絶やさないため、交代で寝ずの番をした
- 祖母の茶碗にご飯を盛り、中央に箸を突き立てた
- 後でそれを割り、祖母が普段着ていた服を河原に持って行って焼いた
それぐらいだと言う。
私も子供だったし、父は20年以上前に亡くなったし、親戚一同とは関係を絶っているので、もう当時の風習の正確な情報は聞き出せない。土葬した帰り道に親戚が「墓で火の玉を見たことがある」「それはリンが光ってたんや 」なんて言っていて、思わず聞き耳を立てたことを思い出す。
【火葬と未来の埋葬方法】
もちろん今は火葬に変わっている(親戚の中では祖母が最後?)。私はなぜか火葬後の骨を見るのが怖くて、ひとり席を外したこともある。
骨といえば、世の中には置き場所がないからと遺骨をわざと電車内に置き去る人もいる。火葬後の遺骨を使って、人工的にダイヤモンドを作ってくれる業者もある(合成ダイヤモンド)。また、火葬場で残った金歯などの貴金属を、地方自治体が換金しているケースもある。
火葬は大量のCO2が排出されることが問題視されている。二酸化炭素排出量が90%削減できるという「溶かす(液体)火葬」というのを知った時は衝撃を受けた。
肉体は滅びても魂は死なない⋯