東洋医学の軽視
自分も高校卒業するまでは、そして、専門学校を卒業し、教員の専門学校も卒業してしばらくは科学信仰者であり、エビデンスの無い手技や方法論に疑問を感じ、故に因果関係に相関があるであろう施術しか眼中にありませんでした。
その後、小泉首相が厚生労働大臣時代にカイロプラクティクの顧問を行っていたこともあり、また失業者を減らす取り組みとして「職業選択の自由という概念」も後押しして、
国家資格が無くても
風俗営業法として施術開業が出来る時代がやってきました。
首の骨をボキボキと慣らし、お金を取るという手技に疑問を持ちつつも、
一般消費者にとって有名な人に手を掛けてもらえば治る
と妄信している流れは今も変わらないでしょう。
そんな中で、鍼灸治療は時折、難病の代替手段としてクローズアップされることがよくあります。
西洋医学でサジを投げられ、原因不明やら○○症候群のように扱われ、
対症療法の薬物を処方され、ドクターショッピングを余儀なくされますが、
原因不明の後天性の病気などある訳はありません。
私は、必ず何らかの原因があると考えています。
また保険診療という枠が無い世界で営業していますので、
その難しい症状で来院された時は半々の気持ちになります。
半分は医者も分からないような病態を鍼灸治療で何とかなるものでもないでしょう。
そしてもう半分は様々な知識を動員して患者の苦痛を取り去れるように頑張ろうという気持ちです。
今まで30年難しい症状に心が折れてしまう事が50%でした。
やってみて患者から「改善しているようです」という言葉を聞いて、
やっといかり肩の力が緩められるような気持になり、
明日も続けていこうとモチベーションが保てます。
しかし、時折、エビデンス・エビデンスと統計で語る人を見ると、
昔の自分を見ているようで馬鹿らしくも思えてきます。
また、東洋医学でも保険診療が出来るようになりましたが、
疾病の範囲は狭く、またエビデンスも取りずらい状況が続いています。
何故なら、やる気が無いからです。
ベテラン先生は独自の確率の高い施術方法(異病同治・同病異治)を持っていますし、
エビデンスを用いるのは学生か経験値の低い資格保持者ばかりだからです。
私の師匠、兵頭先生を始め、中国の著名な方々によって方法論が書籍化されておりますが、
それはあくまで概論であり、実際の患者ではデーターの種類が豊富にあって
未だまとめられておりません。
例えていうならば、手首で測定する脈拍、そして顔色や顔つき、骨格の分類なども
未だ相関が無い状況でエビデンスが求められる訳はないのです。
我々鍼灸師が結束して、一定のルール・概念に基づいて相関のある統計を導き出し、
その上で相関のあるツボや鍼灸治療の刺激量などを求めてエビデンスを作っていく他は無いのです。
しかし、今現在、鍼灸治療は軽視されており、大学病院での研究をさせてもらえる場所がありません。何とか鍼灸治療を大学病院でという形にして地位の確立と西洋医学と東洋医学の融合した診療体制を作ってもらえるようにしてもらいたいものだと考えています。
そうすればデーターn値数が多くなり、何が有効で無意味なのかが分かってきて、エビデンスの精度が上がってくると思うからです。
鍼灸治療は素晴らしい選択肢の一つです。
私が30年以上も営業を続けてこられたのも、患者が支持してくれたからに他なりません。
つまり何らかの結果が出ているからだと思うのです。
ただその結果が、評価できないところにジレンマがあるのです。
しばらくこの自分との闘いとジレンマに苛まれながらやっていくのだろうと思いますが
どんな仕事でも同様にエビデンスのある営業方法や売り上げと云うものは見つけにくいものだと思われますが、これからも頑張っていきたいと思います。
本日もご覧いただきましてありがとうございました。