『幼い子は微笑む』
詩・長田弘/絵・いせひでこ(講談社)
半年ほど前から私の中で「ほほえみ」はかなり大きなキーワードになっている。
人が幸せを感じられる状態とは、どういうことかを考えていた。
私は、
普段キャリアカウンセラーとして年間550人の、ひとの「今ここ」に寄り添うなかで、
多くの仲間たちが志をもって仕事やフリーランスとしての活動に情熱を注ぎたいと、自分を生きるために摸索しながら挑戦している姿を見ているなかで、
そして、
難病とわかった自分を受け入れるまでに気が狂いそうになったであろう母を、みるなかで、
「幸せ」とは、
「幸せを感じられる」ことで、
それは、
裕福であろうとなかろうと、
仕事があろうとなかろうと、
友人がいようといなかろうと、
人から好かれようとそうじゃなかろうと、
自分に自信があろうとなかろうと、
自分を愛してくれる人がいようといなかろうと、
キラキラいきいきと充実感があろうとなかろうと、
『ほほえみ』が、
『ただ微笑んでいる』ことが生まれている瞬間こそが、
何より幸せなことじゃないだろうかと、思った。
『ほほえみ』は、自分も、共にいる全ての存在たちも、幸せを感じられる瞬間だと。
ものすごく大きなテーマだと思っている。
息子と図書館に行って、偶然見つけた本。
「微笑む」が綴られた本。
言葉ひとつひとつを大切にかみしめ、
1ページ1ページを、
ゆっくり、
めくる。
読み終えたときは、しばらく本を閉じられなかった。
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『幼い子は微笑む』
詩・長田弘/絵・いせひでこ(講談社)
声をあげて、泣くことを覚えた。
泣きつづけて、黙ることを覚えた。
両の掌をしっかりと握りしめ、まぶたを静かに閉じることも覚えた。
穏やかに眠ることを覚えた。
ふっと目を開けて、人の顔をじーっと見つめることも覚えた。
そして、幼い子は微笑んだ。
この世で人が最初に覚える
ことばではないことばが、微笑だ。
人を人たらしめる、古い古い原初のことば。
人がほんとうに幸福でいられるのは、おそらくは、
何かを覚えることがただ微笑だけをもたらす、
幼いときの、何一つ覚えてもいない、
ほんとうおにわずかなあいだだけなのだと思う。
立つこと。歩くこと。立ちどまること。
ここからそこへ、一人でゆくこと。
できなかったことが、できるようになること。
何かを覚えることは、何かを得るということだろうか。
違う。覚えることは、覚えて得るものよりも、
もっとずっと、多くのものを失うことだ。
人は、ことばを覚えて、幸福を失う。
そして、覚えたことばと
おなじだけの悲しみを知る者になる。
まだことばを知らないので、幼い子は微笑む。
微笑むことしか知らないので、幼い子は微笑む
もう微笑むことをしない人たちを見て、
幼い子は微笑む。
なぜ、長じて、人は
質(ただ)さなくなるのか。たとえ幸福を失っても、
人生はなお微笑するに足るだろうかと。
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ほほえみ。
花を見る瞬間。
嬉しい、楽しい、好き・・感情の明確化の前の
ただ微笑む。
「ただ微笑む」が生まれるとは、本当に尊いことだと思う。
自分や、自然や、機械や、動物も、全ての存在に、
感謝すること
優しさをもつこと
思いやれること
互いに愛をもって、存在そのものを尊重すること
ひとりひとりが、
自分も含めるすべてのbeingを
評価しないこと
ものに、人に、感情に、
執着しないこと
理想論だとしても、
まずは還ってくる「場所」を知ること、
とてつもない大きさに気づくことの大切さを、
絵本と、共に、感じた。