建築模型(住宅編)
ken-ken.Inc. 一級建築士事務所
河辺 近
あなたは、建築模型を見たことがありますか?
建築の計画、設計をする際、多くの建築家は建物の完成模型を作ります。
(事務所で製作することも、プロの模型職人に依頼することもあります。)
模型の製作は、何段階かの工程に分かれます。
街中や隣地の建物が近接している時は、計画地を中心に隣地の建物・道路・緑地帯・川等との高低差や立地の関係が判る様に、その土地の状況を様々な角度から環境を検討して模型を製作します。
参考とするのは、敷地調査を計測した資料、国土地理院の地図、住宅地図、最近ではGoogle Earth(衛星写真)で上空からの周辺の環境写真等も大切な資料となります。
これらのものから、現地での人の目線の高さでは分からない色々な状況や環境が見えてきます。
次にイメージを想像、計画したスケッチを起こし、形をまとめる時に、いくつかの小さな模型を作ります。
建物のプロポーション、また最近では太陽光パネルによる光害(太陽の反射によるもの)なども含め、地域との関係性を検討します。時には20種類もの様々な小さい模型を作ることもあります。
プランが進むにつれ、各部屋プランを模型で検討したり、素材を合わせ見たり、模型は空間デザインの検討を確認するための大切な資料です。そして、ようやくプランがまとまった時に、完成模型を製作します。
単純に平面計画から立ち上げたプロポーションではなく、建物の形からも平面計画を検討する必要があるからです。最近ではCAD(パソコン設計図面ソフト)などで、3D(立体画像)を作成することが多いですが、これはあくまで2次元の世界の中で、立体的に表現したものです。ゴーグルを付けて仮想空間上で見ることも可能ですが、あくまでそれは実際に目で見た視野ではない画像です。
模型の大きさは原寸(1/1)ではありませんが、全体のバランス・デザインは模型ならではの表現で、関係性が良くわかると思われます。そこから色々な想像を呼び起こすことが模型であれば出来るのです。
一般的に住宅では1/100、1/50、1/30などの大きさで建物の図面を描くことが多いです。
その図面をスチレンボード(薄い発泡スチロールを紙でサンドしたもの)や厚紙等に貼り付け、組み立てみると2次元の平面図から3次元の建物へと立ち上がります。
ぜひ、ご自分で模型を作ってみてはいかがでしょうか。
想像の世界が広がります。とても楽しいですよ。