Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「第二の家」ブログ|藤沢市の個別指導塾のお話

家族と喧嘩した日に読んでほしい本。原田マハ「スイートホーム」読書感想文

2018.04.06 15:00


「もしも、窓がなければ、窓辺のように花を置けばいい。光が入らなければ、明るい絵を掛ければいい。家は、そこに住む人が、明るく、あたたかくするものだから」


当ブログが『HOME個別指導塾』の日常を描いたものであると同時に、私も最近ホームを見つけたばかりなので、そこを幸せ溢れるスイート・ホームにしたくて、こんな名言が散りばめられた本『スイート・ホーム』を読んでみました。


筆者は『本日はお日柄もよく』や『楽園のカンヴァス』の原田マハさん。自身が美術館のキュレーターだったご経験から、美術系の作品が多い印象ですが、それ以外も面白いです。


まずは『スイート・ホーム』のあらすじを見てみましょう。

幸せのレシピ。 隠し味は、誰かを大切に想う気持ち――。 うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、 愛に満ちた家族の物語。 香田陽皆(こうだ・ひな)は、雑貨店に勤める引っ込み思案な二十八歳。 地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、 明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との四人暮らしだ。 ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。(「スイート・ホーム」) 料理研究家の未来と年下のスイーツ男子・辰野との切ない恋の行方(「あしたのレシピ」)、 香田一家といっしょに暮らしはじめた〝いっこおばちゃん〟が見舞われた思いがけない出来事(「希望のギフト」)など、 稀代のストーリーテラーが紡ぎあげる心温まる連作短編集。


連作短編集に外れなしの印象あり。『阪急電車』や『死神の精度』みたいなやつですね。


とにかくあったかい、陽だまりみたいな物語でした。原田マハさんの文章は読みやすく、心にすんなり入ってくる感じがします。


人生や物語につきものの「悪いこと」も、必要以上に胸がえぐられることもなく、安心して読むことができます。


それでいて、ちゃんと感動できるのもさすがです。


生徒たちに読ませる「課題図書」にしたいな。なんだか家族とうまくいかなかった日に、親と子、お互いに読んでほしいな。


きっと心にぽっと火が灯る。やさしい灯。あったかくて、不安が吹き飛ぶような、それでいて暗い道のりでは力強く輝く、道標になるような。


きっとそれが「ホーム」っていうものなんだろうと思います。


「家は、人が住んで、家庭になる。「ハウス」は、人が人と暮らして、時を経て「ホーム」になる」


明るい「看板娘」のお母さんのそんな一言が染みる、素敵な小説です。ぜひ読んでみてください。家族でね。



原田マハ『スイート・ホーム』読書感想文



『ホームをホームたらしめるもの』


ちょうどこの本を読み終えた日、メジャーリーガーになった大谷翔平が、初の本拠地(ホームグラウンド)での公式戦で、本塁打を放った。


ホームの魔力、はよくスポーツで使われる言葉だ。多くの選手にとって、ホームはアウェイより戦いやすい。それはスポーツ選手ではない僕らにとっても、イメージがしやすい事柄であろう。


なぜなんだろう。当たり前のことをぼんやりと考えてみた。勝手を知っているから?安心するから?ファンが多いから?答えはきっと一つではないが、まとめてこう言ってもいいんじゃないか。


「陽だまりみたいだから」


よくわからないと首を傾げた方に説明しよう。ホームとは、自分にとって最高に気持ちのいい空間。リラックスできる場所。身体的にも、気持ち的にも、いい状態でいられる。もっと言えば寒くもなく温かくもなく、ちょうどいいあたたかさ。ほら、まるで陽だまりみたいでしょ。


「違うな」と思っても、読み進めてほしい。細かいことはどうでもいいのだ。言いたいのは、ホームがあると人は強くなるということだ。


この本を読めば、それがすぐにわかる。


原田マハさんの新作『スイート・ホーム』は、連作短編集の形をとり、沢山の主人公が出てくる。洋菓子店「スイート・ホーム」の家族たちはもちろん、その街で暮らす常連さんたちを主役に据えた一遍一遍は、どれも心をほんわり温めてくれる、ハートフルで素敵な物語だ。


主人公たちはみんな、心にチクリと刺さるような痛みや寂しさ、迷いを抱えている。でも、彼らにはホームがある。心安らげる場所がある。陽だまりが、ある。


だから、力強く前へ進める。いいと思ったことを、堂々とやれる。挑戦できる。


だって、いつも背中を押してくれる場所があるから。何が起きても、あたたかく迎えてくれる場所があるから。


そこに、大好きな人達がいるから。


そう、ホームをホームたらしめるのは、きっと人だ。自分自身をも含めた、その場所を創っている人たち。味方。そうか、守られているから、陽だまりみたい(こだわる)に心や身体がポカポカしてくるのか。


そして物語同様、そんな人たちは自分たちの手で増やしていくことができる。私たちはつながって、広がって、もっと大きく、もっと強くなれる。


この物語は不動産屋さんのHPで発表されたということで、掌で踊らされた感覚はあれど、家っていいなと思ってしまった。でも、上記の通り、本当に大事なのは家じゃない。


そこにいる人だ。


そこにいる人たちが、ホームの正体だ。


「ほんでね。わが家は特別。なんていうても、ただのホームやないから。「スイート・ホーム」やもん」


仮にも「ホーム」を名乗っている者として、『スイート・ホーム』のお母さんみたいに、そう言える場所を目指さなくちゃな。


本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。

我が塾「HOME」も、そこにいる生徒たちが主役です。丁寧に、感謝しよう。


最近の読書感想文

・住野よる先生『青くて痛くて脆い

・辻村深月先生『かがみの孤城

・人気ブロガー『残酷すぎる成功法則