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環境先進国ドイツの「バイオエネルギー村」研究会出席レポート!

2015.06.23 07:49

6/20、南青山にある国連大学ビル1Fで開催された「バイオマス産業社会ネットワーク」
の研究会に出席させて頂きました!

「ドイツの農山村バイオマス利用の状況」と題した講演。
講師は、株式会社レンエネルギー・クロスボーダー 代表取締役のティーロ・シュミットセール氏です。

シュミットセール氏は30年前に来日され、もともとは車関係の企業に在籍しておられたそうですが、日本の里山の風景に魅せられ「その美しさは世界の中でも随一だ」と評しておられたのが、とても印象的でした。

森林資源がきわめて豊富であるにも関わらず、林業の衰退にともない過疎化も進んでいる現状に、なんとかドイツでの経験を活かせないものかとの思いで起業されるに至ったようです。

(英語での講演が同時通訳を介してご紹介されておりましたので、もし理解が間違っていたら申し訳ございません。。。)

環境先進国ドイツでの経験を、「抱えている課題は日本と同様だった」と語り出すシュミットセール氏。

安い輸入木材に依存していた状況を脱却し、「バイオマスエネルギー」(※注)によって「自立する村づくり」を実現していった実例が様々に紹介されていきました。


(※注)
「バイオマスエネルギー」とは、簡単に言えば「生物から作る燃料」のこと。(厳密には「生物由来の有機性資源のうち、化石燃料以外のもの」を指します。)
基本的には、太陽エネルギーによる光合成および生物活動によって生産されるエネルギー源ですから、石油のように枯渇する心配もなく、再生可能・持続可能な資源です。つまり、限りある資源を浪費することなく「育てることのできる資源」を活用するのが「バイオマスエネルギー」であると言えます。
また、この活用は二酸化炭素の排出量を削減し、地球温暖化の防止にも役立ちます。
無論、燃やせば二酸化炭素は出るわけですが、バイオマスの原料である植物は、燃料になる前の成長の過程において、すでに大気から二酸化炭素を吸収しています。前もって二酸化炭素を減らしているために、燃焼し二酸化炭素を排出しても地球上の二酸化炭素量を増やすことはない素材なのです。
この特性は、カーボン・ニュートラル(炭素中立性)と呼ばれています。


人口わずか830人のバイエルン州・レッテンバッハ村が、エネルギーの自給自足に見事成功し「天国のような村」と称されるに至った道のりはとても素晴らしいものでした。

農林業に従事されている方々が自ら先導して、未利用森林資源の活用と事業化を行うことによって、新たな産業と雇用が生まれ、若者による起業や人口増加へと繋がっていったのです。

化石燃料に依存している限りでは、地域の「外」にお金は流出してゆくばかりですが、地域に眠る「木質資源」を発電用の燃料として、そしてペレットストーブなどの熱資源としても活用することによって、

地域の中で「資産」が循環する「バイオエネルギー村」

がじつに数多く誕生しているのです!

講演の後半では、シュミットセール氏のレンエネルギー・クロスボーダー社が手がける新技術=「過熱蒸気式炭化(HTC)」が紹介されました。

熱資源として活用しやすい「乾燥系の木質チップ材」とは異なり、水分含有率の高いメタン発酵スラッジや牛糞・バーク材などのいわゆる「ウェットバイオマス」さえも「低温炭化」=バイオコークス化することで、燃料や地質改良材として農業利用してしまうという、画期的な最先端技術です。

(2012年の「京セラエコアワード」で見事1位を受賞されたそうです。)

講演をうけてのディスカッションでは、未利用の間伐材の活用法を日本でももっと考えるべきだといった意見が活発に交換されました。

日本はドイツ以上に、世界でも指折りの森林資源の豊富な国ですから、この「眠れるエネルギー」を活用しない手はないとあらためて強く思わされました。

「バイオマス発電」事業となると、ある程度の資本力が必要となってまいりますが、間伐材を活用したペレットボイラーの普及や「国産材」を中心とした家づくり・モノづくりなど、アイデア次第で私たちにもできることは様々にあると思います。

私たちが目指すべき未来のイメージがフツフツと湧いて、大きな刺激となった勉強会でした!