操作系クランク
またおかしなタイトルですが、先日のFL62で釣ったバスで思い出したことがあったので書きたいと思います(笑)
クランクベイトといえば巻モノの王道と言えるもので、文字通り巻いて、バスを引き寄せて食わせる、フィールドの状況を広範囲かつスピーディーに探りながら拾える魚を釣っていくルアーであるのは間違いありません。
サーチベイトという言葉がありますが、スピナーベイトと並んでこれに含まれるのがクランクベイトでしょう。
ですが、『サーチ』するにあたって大事なのが、次の手を考えながら、今投げているルアーでできるだけのことをやって判断材料を増やし、更に次の手の精度を上げるというところです。
クランクで押し通すにしても、アクションのタイプやカラー、レンジを合わせるスキルがないと、サーチではなく只々漫然と投げているだけになります。
そうすると、そのキャストの中にはひと手間加えてたら良いバスが釣れていたかもしれないという勿体ない一投が含まれているかもしれない、どうかしたら何匹も獲り損なっている状態になっているかもしれません。
そこでそのひと手間が効いてくるわけですが、それはロッドワークであったりリトリーブスピードを極端に変えたりする、といったものになります。
分かりやすいところでトゥイッチやジャーク、ホバリングですね。
これらは人間の動作は比較的簡単ですが、どちらかと言うと実際にクランクがどう動いているかをイメージする感性の方が大事だったりします。
それと絶対条件として、これができるクランクであることです。
確かにトゥイッチすれば左右につんのめる動きはしますし、リトリーブをスローにすればホバリングの形にはなるものもありますが、バスが好む動きになっていないと意味はありません。
主にスローレンジでの操作になりますので、これはバルサのレスポンスが有効なところです。
プラスチッククランクでこれをやろうとすると、鈍重でまったく着いてこないのですぐに理解できると思います(その代わり、一部をのぞいてハイスピードでの安定感は高精度なプラスチッククランクにはかないません)。
今回はそのあたりを当工房のクランクを例にして説明していきたいと思います。
当然、宣伝の意味もあります(笑)
まず、トゥイッチやジャークですが、これもできるだけ生き物的な動きである方が食いが良いです。
機械的で左右につんのめってるだけ(ノッキング)では人間から見ても美味しそうには見えないでしょう。
これが得意なのがFLシリーズです。
●FL62
●FL62MR
軽快に動かすならナイロンライン、ラインの重さを利用して浮上させず前にも移動させず、というならフロロラインです。
SRモデルはトゥイッチやジャークでコンパクトに弾けるかんじで、MRモデルは全長が長い分、ジャークではスパッと切れるようなダートを見せます。
また、ホバリングに関してMRはリトリーブでもロッドワークでも可能で、縦ストラクチャーをかなり直角に近い角度で攻略可能です。
これを3.5m~4m付近で可能なのがCATHERINE75HT-DRです。
●CATHERINE75HT-DR
元々、ウィードに引っかけて外した際に食わせる前提で作ったので、浮上時に死に体にならないようレスポンスは良いのですが、大きく水圧のかかるディープレンジでもトゥイッチをすれば生き物が悶えるような弾け方をしてくれます。
と、ここまでは設計上・製作上の公差なんかが緩くても何とかなる範囲ですが、この先は設計時にある程度狙っていたとしても偶然が重ならないと実現しないところです。
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大袈裟でもカッコつけでもなく、やってみれば即理解できます。
それが何かと言うと、ロッドワークによるクランクベイトのミドスト。
実際、操作も細かいので大変なのですが(笑)
文字にすると何それ大したことないやん、と思われるようなものですが、フローティングクランクで全く前進しているように見えないスピードでレンジキープしたまま1㎝あたり1~1.5アクション、シャッドよりも強く誘えてサスペンドミノーではムリ、と言えばどうでしょう。
●試作品SB50改
作って2年ほどになりますが、ひたすらナイショにしていた試作品です。
先のロッドワークによるクランクのミドストですが、タックルも含めてでないと実現できません。
とりあえずフロロラインは絶対必要です。
動作は非常に繊細なトゥイッチですが、この時、クランクの浮上する力とラインの重さ、ロッドでの入力、それによる潜ろうとする力がきっちりバランスしていて、ロッドの入力がクランク本体の姿勢を左右に動かせるギリギリであることが条件になります。
できてるように見えるクランクもありますが、この時に浮上、潜行するのを抑えるための入力が必要なはずで、アクションの隙間隙間でクランクが上下に動くはずです。
これをクランクが自発的にその場に留まっているようにしか見えないほどのものは、まず見たことがありません。
実際の効果はどうなんだ?というところですが、これはかなり効きます。
特にスポーニングの前後、巻き続けても全く反応しないけど、シャローのカバーには入っている、といった状況で、動かし始めてちょっとしてから現れてゆっくり食いに来ます。
それ、もうワームでええやん、という声が聞こえますが、私はクランクで釣りたいし、ワームは正月の初釣り以外ではこの世に存在しないものになっていますので、芸達者なクランクが必要なのです。
他のモデルにもそれぞれ裏ファンクションみたいなものがありますが、それは機会があれば、ということで。
で、冒頭のサーチにひと手間というところに、こういった操作が可能なクランクで、バスの好む動きを入れてやることで、サーチの情報量も上がり、巻きっぱなしの人が釣れていない状況でも何をどう使えば良いかというところに素早く到達できるようになるわけです。
操作系クランクというのも伝わりやすいかな、と思って勝手に作った言葉ですが、私はクランクベイトはストレートリトリーブではきちんと釣れる動きであるのを重要視しつつ、要所々々でミノー的であったりシャッド的であったり、他のルアーの要素があってもエエやん、というかんじです。
先日のボトムノックの件でも強く感じたのが、日本のクランクベイト、クランキングはもっと進化できる、ということ。
5年後、10年後のクランクベイトシーンがどうなってるか、ちょっと楽しみです。
それでは皆さん良い釣りを(o^-')b