書き留めたい瞬間
昨日、子どもが熱を出したようなので今日は休み。仕事も休む。とはいっても今日になると熱もないし、薬もすでに処方されたものがあり、なにより本人が元気なので普通に過ごす。平日朝九時の公園は誰もいなくて、冬の朝日は意外と眩しいのだなと思ったりした。椿の花がたくさん地面に落ちていて、つぼみを観察する。「朝になったら咲くよ」と子どもは言う。夕方のEテレでそれは椿でなくサザンカだと知る。サンタさんに手紙を書いたり、お菓子を食べたりして一日を過ごす。
こたつで温もっていると、いつのまにか子どもが保育園で作った松ぼっくりのツリーのまるい毛玉を全部取ってしまっていた。そしておままごとの皿にカラフルな毛玉を並べて「お地蔵さんに食べてあげよう」と言って私の手を取り、昔使っていた折りたたまれたベビーチェアにその皿を置いた。そのあとは「阪急でお地蔵さんのところ行こう」と言うので、私は子どもの肩に手を置いて電車ごっこをしながら(架空の)お地蔵さんのところへ行った。なぜ突然お地蔵さんが出てきたのか、なぜお地蔵さんがベビーチェアにいると思ったのか、まったく謎だった。そしてベビーチェアにいるお地蔵さんをなんとなく想像した。
子どもといると、大人だけの世界で過ごしていたらまったく考えないようなことを考える。丁寧に継ぎ接ぎされた日常に思いがけない行為や言葉が放り込まれて、縫い目が裂けて、見えなかったものが見える。これはお笑いと似ているし、本を読むのもそうだ。こういう瞬間を書き留めたくて、私は日記を書いているのかもしれない。
夜、子どもは「今日はハンバーグと寝る」と言っておままごとのハンバーグをベッドに持っていった。「ハンバーグ枕にしよ!」と言って頭をおいて、今はハンバーグを下敷きにして眠っている。ハンバーグは人なのか物なのか。ハンバーグの寝心地ってどうなんだろう。今はそんなことを考えている。