花と歩む道で
2018.04.06 06:14
花散らしの優しい雨が降り
桜の季節が静かに終わりを告げると
その後を追うように
辛夷や木蓮の薫りが漂い
花水木が空に向かって咲きはじめています
草花たちのリレーのなか
目に映る風景や風の薫りに
1年前の同じころ
胸に抱えていた想いが
ふと蘇ってくることがあります
春夏秋冬
四つの季節を通り抜け
哀しみも喜びもすべて受け容れながら
ただ前を向いて歩いてきたこと
足取り軽く歩めた時もあれば
うつ向きがちに立ち止まっては
重い足を引きずるように
少しずつ
やっとの想いで歩んできた道もあったけれど
気が付けば
辿り着いたのは
高い山の頂ではなく
ずっと昔から大好きだった
心安らぐ懐かしい場所でした
けれども今 同じ場所で見る景色は
以前とはほんの少し
違って見えるような気がして
ひたすら遠い先を見つめて
ただやみくもに上を目指し
前に進むことだけがすべてではなくて
こうして安らぐ懐かしい風景に出会えること
目に映るその景色を
変わらず美しいと思えることの方が
何より大切なのだと
そう感じるようになりました
これからは
目に映る風景をもっと楽しみながら
ゆっくりと歩きたい
時折立ち止まって
足元にある小さな美しいものたちや
身近なものを手に取って見つめ
一瞬一瞬を愛おしく抱きしめるように
* * *
年年歳歳花相似たり
歳歳年年人同じからず
~劉 希夷~