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CB1000SF / T-2 1994

2018.04.06 08:50

CB1000 SUPER FOUR / T2 1994y

 94仕様の変更点は、リアショックの減衰を伸・圧4段階の調整機構付きとし、リアスプロケットを42〜43Tとしている。又、ただでさえ凄味のあるBIG-1のスタイルを、さらにド迫力に仕立て上げたのがT2仕様を追加。凄みを増したビキニカウルを装備し、エキパイから始まってエンジン、レバー類、スイングアーム、ミラー、タンデムステップにいたるまで真っ黒にしてしまっている。93psのパワーや手ごたえのある乗り味などはベースモデルと同じだ。


CB1000SuperFOUR 1992y

 ゼファーの登場に端を発したネイキッドブームは、レプリカモデルをまたたくまに忘却の彼方へ追いやってしまった。さらにレプリカばかりでなく、カウルつきのモデルはすべて、時代のトレンドから乗り遅れてしまった。このあたりの極端な趣向変化は日本人の欠点でもあり、また美点でもあるのだが、とにかくホンダは、ネイキッドマシンを急ぎ開発することになった。

 ここでホンダのとった戦略は、とことんスタイリッシュで存在感のあるスタイルと、レプリカで培った水冷エンジンを合体させることであった。空冷エンジンブームのなかで水冷エンジンを登場させることは、ある意味ハンデを背負うことでもあったが、ホンダはあくまでも性能にこだわったのである。従来の、具体的にはCBR1000F用のカムギアトレーンエンジンをリファインして搭載できる、という経済的な理由も確かにあったのだろうが、それよりなにより、メカニズムとしてのポテンシャルは、空冷より水冷のほうが明らかに上だったからだ。

 もちろん、エンジン性格は大幅に変更されている。バルブタイミングやキャブレターの変更などにより、中低速から豪快なトルクを発生するようにセッティングされるとともに、ミッションを5速に変更。排気音やエンジンフィーリングも迫力と手ごたえを重視しているのだ。最高出力こそ93psと大幅にダウンすることになったが、これはCBR1000Fが超高速ツアラー、CB1000SFがストリートキングという、180度異なる性格ゆえの必然的なスペック変更。実際に走ればCBR1000Fよりも大幅に力強さが増していることに誰もが気付く。

ところがである。今風の高性能を追求した水冷エンジンの採用が皮肉にも裏目に出る結果となってしまい、市場の反応はライバル車に後れをとることになってしまった。ネイキッドに食指を伸ばすライダーたち、特にこのクラスのネイキッドに乗るような年齢層は、エンジンの存在感、空冷エンジンのシリンダーフィンの美しさに魅力を感じていたのである。よく見ればデザインもかなり現代的なイメージが強く、旧来のビッグバイクを見慣れた層にとっては、どこか馴染めないものがあったのかもしれない。それが証拠に、まったく同じデザインイメージが与えられた弟分・CB400SFは、若者の間で大人気となっているのだ。

 CBR900RRの存在が、このバイクの方向性を決定づけたのだろうか。CB1000SuperFOURは、ひたすら大きくひたすら豪快な、ゴツい格闘家のようなイメージで登場した。コンパクト化とは無縁かと思われるほど巨大に見えるボディ。エラの張ったガソリンタンクや尖ったシートカウル、極太の4into1サイレンサーもド迫力で、BIG-1というサブネームが冠せられたことに、この性格は如実に現われている。従来、迫力とゴツさはカワサキの特徴であり、ホンダはどちらかといえば優等生的なイメージであったのだが、CB1000SFとゼファーではイメージが逆になっているから面白い。

 高いシート高に気をつかいながら走り出してみると、乗り味の面でも従来のホンダ車にはない個性を与えられていることに気がつく。というのも、大きさと重さがそのままライダーに挑戦し続け、気を抜いた走りを許してくれないのだ。気合を入れてバイクを捩じ伏せるようにしないと、巨体を意のままに操ることなどできそうもない。昔のビッグバイクには、多かれ少なかれこんな手ごわさがあったのだが、これは設計技術が未熟だったため。ところが、CB1000SFの場合は意識的に手ごわさを演出しているようだ。なぜなら、いざバイクを振り回すコツを会得してしまうと、いままでの重さがまるで嘘のように消え去り、豪快なパワーライディングが堪能できるようになるからだ。つまり、ライダーにテクニック上達の楽しみを与えてくれるわけだ。(1557W/20W×81L)