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超人ザオタル(91)はじめに目覚めた者

2022.12.19 09:01

ハルートは私の話を黙って聞いていた。

ふと、ハルートは誰なのだろうかと思った。

私は誰に話をしているのだろうか。

何のために言葉を発しているのだろう。


真我は黙して語らずとも、世界はこの道を語るのだ。

人知を超えた知性が私を通して語っている。

ハルートはアルマティの娘ではなく、真我として在る。

私も真我として在る。


真我は世界を通して真我と向き合うのだ。

私は誰だろうか。

もし真我だけの状態であれば、この答えは見つからない。

そこには真我だけしか存在せず、答えを知る者は誰も居ないのだ。


答えを知るために、真我は世界にその身体を与えた。

世界は真我に答えを与えるために存在している。

そして、世界は真我に答えを与えたのだ。

真我の知性は問う、私は誰か。


私はそれに答える、あなたは私ですと。

その答えは真我に与えられ、全世界に広がった。

静まった夜更けの部屋に風が吹いた。

草の青い匂いがする。


何かに引き込まれる気がして目を閉じた。

私はすべての感覚が閉ざされて、静謐の中に落ちていった。

いったい自分がどこにいるのかも分からない。

それに抗うことなく、流れに任せた。


気づくと、私は白い服を着て草原に裸足で立っていた。

太陽が地平線から昇ってくるのを見ていた。

その光が眩しくて目を細めた。

風が私の服を揺らし、長い黒髪を巻き上げる。


私はザオタルではなかった。

私は誰なのか。

遥か昔に存在した人物のようだが、私の記憶にはない。

しかし、いま私は確かにその人物として地平線を見ていた。


(いま、始まったのだ)

心のなかでそんな声を感じた。

(我はこの世界ではじめて真我を知った者アフラ)

私の疑問に答えるようにそう聞こえた。

いま私はアフラという人物なのか。


何かが一瞬のうちに全世界に伝わった。

生気のない泥のような心に光が射し、真実が明らかにされた。

そこで私は死んで、いまここで生まれたのだ。

いや、いま生まれたのではなく、ずっとそこに息づいていた。


大きな湖の静かな湖面に広がっていく波紋のように、

その目覚めが時空を超えて広がっていく。

この瞬間に、すべての人類が目覚めるのを感じた。

アフラたったひとりが目覚めたわけではない。


その存在の知性はひとつしかないため、

そこでの目覚めはすべての目覚めになるのだ。

だが、どうしてあのときザオタルの私は目覚めてなかったのか。

なぜ本当の自分を知るための旅が必要だったのか。


それは時間と空間の抵抗のためだ。

この世界の構造がその一瞬を何万年も遅延させてしまう。

さらにその時間差によって、人は自我を形成し、それを自分とする。

目覚めの波を受ける前に、それを押し返す防波堤を築いてしまう。