第3回十字軍15-老母の一念獅子心王解放
2018.04.07 14:17
リチャードの母アリエノールは70歳になっていた。彼女はこのときノルマンディーのルーアンに居て、リチャード幽閉の情報を掴み、皇帝ハインリヒ6世や教皇に、息子の解放を要請していた。しかし実はこの皇帝もリチャードに因縁があり、このときとばかり身代金大枚15万マルクを吹っ掛けた。
ルーアンには仏王フィリップも来て、獅子心王の元婚約者である姉の引き渡しを求めたが、母は息子と交換と追い払った。老王母は英国に戻り、国民に身代金の支払いを求めると共に、皇帝に値下げ交渉を行い、結局10万マルク以下であとは年5千ポンドずつ支払うことで決着した。
1194年2月2日、マイセンでリチャードは解放された。72歳になったアリエノールはやつれていたが、現地まで赴き、自分の胸に自慢の息子を抱擁した。この解放を実現せぬよう尽力していた仏王は、反乱息子ジョンに向かって「気をつけろ、悪魔は解き放たれた」と手紙に書いた。
3月12日、母子は揃ってロンドンに帰国。4月17日、十字軍の英雄を国民は盛大な帰国式典で歓迎した。このイベントで反乱者の気勢はそがれ、皆リチャードのもとに恭順の意を示した。そして5月、大陸に出たリチャードの元に、ジョンが降伏した。母の取りなしで王は弟を許し、仏王に宣戦した。
下はアリエノールのとりなしによるジョンの降伏