「宇田川源流」 唐突な防衛費値上げと増税ありきという前提の財務省
「宇田川源流」 唐突な防衛費値上げと増税ありきという前提の財務省
この年末になって出てきたのが、岸田首相による「防衛費の増額」である。防衛費の増額に関しては、日本国にとって必要なものであり、増額をすることに関しても、私自身というに反対はない。ある意味で「あまりにも遅すぎる」というような印象がある。じっさいに、EUではどの国もGDPの2%を標準として軍事費を出すというようにしていた。もちろんEUがそうしているからといって日本がEUののまねをしなければならないというものではない。しかし、少なくとも日本は、隣国にロシア・北朝鮮・中国というように、日本のEEZ内野領空内に侵入することを繰り返したり、ミサイルと売ったりというようなことを繰り返している。日本の領土である北方領土を不法占拠したり、または日本の尖閣諸島を自国の領土と突然に行ってみたりするような国々である。
そのような国から領土を守らなければならない。これは日本に領土を守るということもあるし、一方で軍事力による現状変更というようなことをするような「国際秩序を乱す国々」に対して、それはいけないことであるということを知らしめる必要があるのだ。そのことをしなければならないので防衛費は増やさなければならないのである。
残念ながら防衛費の増額といっても、日本の防衛費だけではロシアや中国北朝鮮に対抗できるとは思えない。そもそも北朝鮮を含めて三カ国とも核兵器を持っている。しかし、現在のロシアのウクライナ侵攻をしている内容を見ていれば、実はそれほど強くないということが見える。実に「核兵器」に多くの軍事費を使ってしまっていることや、心理的に各軍が核兵器に依存してしまっているということがあるので、そのことが軍を弱くしているということになる。そのために、日本が頑張ればよいことがあるのではないかというようになるのである。
さて、その意味で「自分の国は自分で守る」ということが基本であり、アメリカが守ってくれるなどという甘えたことはないのではないか。日本人の多くは気付いていないかもしええないが、「安全保障条約で金を払ってくれているから、アメリカ人が守ってくれて当然」というのは「日本人はアメリカ軍の軍人の若者の命を金で買っている」ということに等しいのである。
防衛増税 自民税調会が紛糾
岸田文雄首相が防衛費を増額する財源の一部を増税で賄うとした方針を巡り、自民党の税制調査会が14日開かれ、防衛費増額の財源について法人税、復興特別所得税、たばこ税の3税を活用する方針が確認された。
法人税については中小企業などへの負担軽減措置を設けることを決めた。政府は2027年度には防衛費増額へ1兆円超の税収確保を目指すが、党内からは拙速な増税に異論、反論の声が続出している。
防衛相を務めた石破茂元幹事長は復興税の転用について「全面的に賛成は1人もいなかった」とし「きちんと言わないと、話が違うとなる。あまり筋がいいと思わない」などと批評した。たばこ税活用も「あまり正しいと思わない」。法人税については「賃上げに水差すとか、設備投資に水差すとか言うけれど、史上空前の利益を上げている。中小企業、零細企業に負担が行かないような配慮をどれだけ、きちんと出来るか」と容認の姿勢を示した。
柴山昌彦元文科相(安倍派)は、防衛費増額の財源に国債をあてない岸田氏の方針に異を唱え「他の予算については国債の発行を許している。防衛だけ、それを許さないというのは理屈が立ちにくい。国債を一切、使わないという発言について相当、違和感を覚えている」とした。「ヒゲの隊長」こと元陸上自衛隊幕僚の佐藤正久参院議員は「『防衛目的税』をつくったほうが分かりやすいのではないか」とした。
岸田派(宏池会)事務総長の根本匠元復興相は復興税について「総額が削られるわけではない。一銭たりとも削られない。あたかも復興財源が削られるかのごとく誤解を招いている」と強調した。15日も会合が行われ、16日の取りまとめに向け、調整は大詰めを迎えるが、紛糾が収まる気配はない。【大上悟】
2022年12月14日 23時59分日刊スポーツ
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12168-2048024/
さて、今回その内容を見た場合、防衛費の増額ということはある程度問題はない。しかし、このことによって増税というのはいかがなものであろうか。
岸田首相の言うことは十分に理解する。当然に国防というものは、すべての国民が行うべきであり、継続的な財源を行う必要がある。そのために税金でまかなうといううか通常歳費でまかなうということは当然の事であろう。
しかし、では現在の経済状態で突然増税を打ち出したらどうなるかということはわからないのであろうか。昔の事であるが安倍元首相が「岸田君は、人の痛みがわからないから怖い人だよ。だから人の痛みを考えないで何でもやってしまう」ということを言ったことがある。人の痛みがわからないというのは、まさに政治家として国民の痛みなどがわからないということになるのではないか。そのようなことで政治が成立するのかどうかはわからない。
そもそも2025年以降増税するというときに、なぜ今このことを言わなければならないのであろうか。その状態でよくわからないのではないか。物価高騰で問題になっており、また、今後もその経済対策ができていない状態において、現在増税を持ち出すのはいかがなものであろうか。
さて、このログではなぜこのようなことをしたのかということを解析してみよう。
まずは一つ目には岸田内閣の支持率の低下である。支持率が手かしているということは、そのまま支持者が減っているということを意味している。では岸田内閣は安倍内閣に比べて何が足りないのか。それは「保守層の支持」である。岸田内閣は「お公家衆」と言われる宏池会の内閣であり、そのうえ親中派である。そのことは中国議連の会長を長らく務めた林芳正を外務大臣に起用していることでもわかるとおりだ。そしてこれまでの一年半の政策はすべて安倍内閣やそれを継承した菅内閣の功績を打ち消すもののようである。そのように考えて「岸田ではだめだ」というような声が、保守層の多くから出てきていることは間違いがなく、特にネット保守層の多くがそのようなことを言っている。
岸田首相は、支持率の低迷からこの層の取り込みを図り、防衛の強硬派に受けの良い話をし始めたということになる。きっかけは11月にあった日中首脳会談で、日中ホットラインを作ったことと、林外相を中国に差し向けることから、習近平の理解を得られるものと考えたようである。この防衛費の増額はまさにそのような話であろう。
では、もう一つの増税は何か。
それは、まさに私が前から行っている「開成高校閥」による「財務省支配内閣」であるということに他ならない。つまり、財務省は「どのような名目であっても、自分の手にする金額を増やして増税を目指す」という「省益」しか考えない象徴であることから、そのような話しかしない。金を持っていることと分配することが自分たちの権力であるというような勘違い甚だしいことをしている。実際に、彼らは計算係であって、税金は彼らの金ではないのだから、分配が彼らの権力ではないのである。
しかし、その壮大な勘違いから「まずは防衛でも何でもよいから早めに増税を約束させておき、その後使用用途を考えればよい」というような考え方で物事を進めている。過去もそのような事例は少なくないし、粉期も復興目的税の転換というように、同じ論理で物事を進めているのである。
なぜ「景気が良くなるまでだけ国債でカバーする」というようにはならないのかは全く不明であるが、岸田内閣が保守層の取り込みと、財務省の傀儡政権であるということだけはよくわかったのではないか。
このような内閣になったのは、田中角栄後の三木武夫内閣以来ではないか。単に自分の維持と省庁の利権だけで動いているような内閣で国民の支持を得られるとは思えない。