京浜急行電鉄について
1.はじめに
こんにちは。中学1年の○○です。初めての研究として京浜急行電鉄(以下京急)を取り上げていきます。拙い文章ではありますが、最後までお読みいただけるとありがたいです。
2.京急とは
(1)概要
京急は、泉岳寺駅~浦賀駅の本線と、堀ノ内駅~三崎口駅の久里浜線、金沢八景駅~逗子・葉山駅の逗子線、京急川崎駅~小島新田駅の大師線、それと京急蒲田駅~羽田空港第1・第2ターミナル駅の空港線に分かれています。また、京成電鉄、都営地下鉄浅草線などと直通運転を行い、広い鉄道網を形成しています。
軌道はほとんどの在来線が使用している狭軌より広く、新幹線も使用している標準軌を採用しています。
車両のメインカラーは赤色で、種別は早いほうから順にエアポート快特、快特、特急、エアポート急行、普通を基本とし、その他に有料のウィング号などが運行されています。
写真1 インバータ制御の音が音階のように聞こえる、ドレミファインバーターを搭載する車両1033F
写真2 KEIKYU BLUE SKY TRAIN北海道夏祭り号
写真3 京急の代表的な車両、2100形
(2)京急の今
京浜急行電鉄では、経営していた油壺マリンパークの閉館や、品川駅拡張計画、人身事故の増加などが昨今のニュースとしてあげられるでしょう。また、2014年より登場した、今までの京急のシンボルカラーであった「赤い電車」から外れた「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN(京急イエローハッピートレイン)」や、2005年より登場した「KEIKYU BLUE SKY TRAIN(京急ブルースカイトレイン)」などといった特別なラッピングを施された車両も登場しています。
3.JRとの競合とそこに見られる京急の劣勢部分
多くの支線とファンを持つ京急ですが、ほとんどの区間で何らかのJR路線と競合しています。たとえば横浜駅~品川駅間ではJR上野東京ライン、JR京浜東北線と、一部はそれらに加えてJR湘南新宿ラインといった、JR東日本の大動脈と競合しています。
このような大動脈と競合しているということは、京急にもある程度競争力がないと、利用客数が減少し、廃線が相次ぐことになります。その一方で、そこ行き来する人の数が多く、ある程度の利用者から信頼を受けることができれば、収入を増やすことができるものだと思います。
その一方、京急では、多くの問題を抱えています。例えば、三浦方面の切符がある中発券されていないフリーパスなどです。その中で私が深刻な問題だと感じている内の1つは、品川駅、京急蒲田駅、横浜駅、上大岡駅などのターミナル駅と、京急新子安駅、神奈川新町駅、といった小さな駅の設備の差です。ほかの私鉄にも普通に見受けられますが、京急はその差が特に大きくなっています。その中でも、今回は発車標とホームドアの設置について、京急と競合しているJRとの違いに触れながら取り上げていこうと思います。
(1)発車標
神奈川新町駅に設置された列車接近案内
発車標は、次に来る車両の種別、発車時刻、途中停車駅、行先といった情報が表示されている電光掲示板のことで、何日も利用している通勤・通学利用者を除き、ほとんどの人がここに表示されている情報を頼りにしていると思われます。なので、ほとんどの私鉄のほとんどの駅において導入され、それとともに自動放送も導入しています。しかし、京急では、そこまで多くの情報が入っている発車標は少なく、わずかな情報のみとなっています。最速の種別である、快特が停車する駅のほとんどは、多くの情報が表示されている発車標も設置されています。その一方で、京急東神奈川駅や京急新子安駅といった駅では発車標はなく、「列車接近案内」と呼ばれるものしか設置されていません。たとえば快特が通過するときは画面に「通過」と、普通が停車するなら、「普通」と表示され、それらの英訳が隣に出るだけという、非常にシンプルなものです。それがいつ何時に来るのか、またその次の車両はいつ来るのか、といった内容はありません。それどころか、京急には同じ種別でも車両数が異なっているのにも関わらず、車両数さえ伝えられていないという状況です。一方JRでは、東神奈川駅のような小さい駅でも、横浜駅に設置されているものとほぼ変わらない発車標が設置されていますし、音声もはっきりとしていて音量も大きめで、京急と競合しているJRが優勢にあるのは、このような京急の分かりにくさにもあるのではないかと思います。
また、前の行の冒頭でも述べましたが、大型の発車標が設置されているのは、ほとんどが「快特停車駅」であり、その他にも一部の特急停車駅や特急・快特の入線しない支線の終着駅などがありますが、特急停車駅である神奈川新町駅などには先発、次発、次々発までが表示されている行先表示機ではなく、鉄道に関する情報は列車が接近してきたときしか表示されない列車接近案内しかありません。
その上、反対側で列車が通過している場合、ホームの中央付近にいないと列車接近案内の放送が聞こえないので、通過電車が来るように思えることもあります。このように、高速運転によって人々を早く運ぼうとする京急にとって、利用者にわかりやすく放送を伝えるために、新たな行先表示機を導入する必要があります。
表4 JR京浜東北線と京急本線の行先表示機設置状況の違い
(2)ホームドア
京急では、ほとんどの駅でホームドアが設置されていません。快特の停車駅である横浜駅、京急蒲田駅ではホームドアが設置されていますが、神奈川新町駅や県立大学駅といった快特の止まらない小さな駅では、いまだにホームドアが設置されていません。中には通過列車が120km/時ものスピードで通過するのにも関わらず、ホームドアが設置されていない駅さえあるのです。一方のJR京浜東北線では簡易的だったとしても、ほとんどの駅にホームドアが設置されています。このように、JRやほかの私鉄がホームドアの導入を進めている中、JRとの競争区間が大半を占めている上、やや劣勢気味にある京急にとって、ホームドアの全駅導入は必須事項の一つであると思います。
また、私は以前、京急新子安駅で普通電車を待っていたのですが、その時、快特の通過がとても凄まじかったのを覚えています。このように、とにかく速く旅客を運ぶことに特化し、120km/時ほどのスピードで運転している京急では優等列車が通過駅を高速で通過することがある以上、事故数の削減を進めるためにホームドアの設置は非常に重要だと思います。また、京急の中の一部の駅では、ドア位置を示す標識が設置されておらず、どこに車両のドアが到着するかがわからなくなっている駅もあります。なので、ホームドア設置に先立ってそこも改善する必要があると思います。
ただ、京急はJRやほかの私鉄に比べて長い車両を無理やり停まらせるために伸ばしたホームがあり、その部分が点字ブロック1枚分しかないほどに非常に狭くなっているため、そのスペースにホームドアを設置すると人がそこに入ることができなくなる可能性があります。なので、そのようなところがある駅では、ある程度のホーム拡張工事が更新工事とともに必要となる場合があり、全駅にホームドアを設置するには、同規模の路線に比べて時間がかかるものと思われます。それでも、設置された駅が増えれば、沿線の人々も戻ってくることができるのではないでしょうか。JR路線に比べると市街地を通っている京急は、比較的早く旅客が戻ってくることが考えられるので、ホームドアを設置することは、競争力をつけ、利用者を増やすことにつながると思います。
表5 京浜東北線と京急本線のホームドア設置状況の違い
4.解決策
このように駅の設備の差が非常に大きく開いている京急が、競合相手のJRに対して優勢になるためには、この差を改善していかなければ、さらに利用客が減少してしまうでしょう。それを防ぐためには、改善策が二つあると思います。ただし、相当な資金が必要となるので、ここで取り上げるものは、新型コロナウイルス感染症が収まり、鉄道利用者数が回復して、ある程度の投資を行うことができるものとします。
(1)設備を良くする
これは先ほどあげた二つの問題などを改善することによって、JRとの競争力をより高めるというものです。ただ、この二つの問題がJRとの大きな差となって接客面の低下を起こし、それによって利用者を奪われ、京急を劣勢にしている部分であると思うので、スピードによる高速輸送だけでなく、こういった設備の改善をすることで確実に利用者を増やすことができるものだと考えられます。
まず、ホームドアが設置されることにより、よく発生してしまっている人身事故を削減し、京急の遅延数もまた削減することができるでしょう。また、ホームドア設置の際に必要となってくる定位置停止装置などといった自動装置が設置される機会にもなります。自動装置の設置は、列車の安全性を高めるうえで重要な役割を担うでしょう。これによって、遅れている京急の自動装置設置を推進させることができると思うので、広く見ればさらに遅延を削減することができるのではないかと思います。
次に、行先表示機が設置されることにより、利用客が行先を間違えたり、目的の駅を通過してしまったり、通過列車に気付かずにホームぎりぎりを通行することにより、急停車して遅延が発生するといったことを減少させることができます。そのため、事故や遅延の減少やホームの利便性の向上、そして、人々の印象も変わっていくのではないでしょうか。
(2)その他の接客面を良くする
これは、切符や車内設備など、駅の設備以外のことで競合力を高めるというもので、挙げられる例としては、いま、京急の中では作られていない1日フリーパスを作成する、あるいは競合路線であるJRの普通車には配備されていないフリーWi-Fiを導入することも考えられると思います。
5.まとめ
以上で示しました通り、京急において必要な改善点は、①悪質な駅設備を改善する、②車内設備や切符など、①以外の設備を改善する、の2つがあると思います。切符改善は別としても、車内設備改善や駅設備改善の工事にはとても長い年月と莫大な費用がかかるものと思われますが、駅設備なら次回の駅更新工事で、車両ならこれから製造する新型車両や車両点検の際に設備をつけていけば着実に進めることができると思うので、どちらにしても利用者の増加はある程度見込むことができるものと思われます。京急も、そろそろ伝統的な方法から脱する必要がある時期になってきているでしょう。
ただ、徐々にではありますが、京急の車内にもディスプレイが設置されてきており、設備改善は行われてきているようです。また、京急鶴見駅、京急東神奈川駅、平和島駅、日ノ出町駅、追浜駅、汐入駅の6駅において2021年中にホームドアが設置される計画となっており、ホームドア設置駅数は今後も増えていくようです。これをきっかけに、京急が改新事業を推し進めていくことが必要になってくれればと思います。
6.おわりに
今回の研究はいかがだったでしょうか。初めての研究だったこともあり、短く、言いたいことが曖昧で、満足のいく研究を書くことはできませんでしたが、これから回数を重ねるうちに良い研究を書くことができるよう、精進してまいります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
7.参考文献
・京浜急行電鉄ホームページ
https://www.keikyu.co.jp/
・PRESIDENT Online
https://president.jp/
おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。