アベサイユのばら:#12 アンコントロールな最高責任者
のんきに芸能人と桜を楽しんでいる場合ではなさそうだ。
これまで、安倍首相はことあるごとに「最高責任者は私である」という認識を強調してきた(誰も求めていないが)
その最高責任者の指揮下にありながら、財務省では国有地の売買の契約文書の大部分が改ざんされ、防衛省では自衛隊の活動に関する日報が隠蔽され、文科省は不透明な会議を重ね、アベ友学園(※俗称)の獣医学部に設置認可を出したり……
政権を担ってきた5年間で溜まってしまった膿がここにきてあふれ出しているだけかもしれないが、個人個人が好き勝手に記録を残す、SNSやブログ、日記とは違って国が記録した文書を表に出ないように隠したり、都合の悪い部分を削ってなかったことにしたりするなど言語道断である。
公文書や公的な記録文書は、将来にわたって政権運営を行っていくにあたって反省したり新たに取り入れたりする唯一無二の教科書。
教科書に事実と異なることが書かれていたら、大変なことだろう。
18年前、日本における縄文時代は数十万年前まで遡るとされており教科書の縄文時代に関する記述が次々と書き換えられていた。
これは、権威のあったある考古学者が“千里眼”なるものを駆使して縄文時代の遺跡・遺物を次々と掘り当てていたからだ。
マスコミもその考古学者を“ゴッドハンド”の持ち主だと囃し立てていた。
しかしながら、素人目線から考えても“千里眼”で数十万年前の“声”が聞こえるのはあまりにもクレイジーだと不信を抱いた新聞記者(毎日新聞)が早朝から張り込みを行い、“ゴッドハンド”が小細工をしていないかを監視した。
すると、世間に“ゴッドハンド”を披露する数時間も前にただ1人遺跡に姿を現し手に持っていた遺物を土の中に埋めるというなんともお粗末な細工をしていたことが発覚。
記者とカメラマンはその一部始終をカメラに記録した。
”ゴッドハンド”は、”フェイクハンド”に成り下がった。
当然、教科書会社は混乱し早急な書き換えが行われた。
いまの行政官庁の内部ではこれと同じようなことが日常的に起こっていると言ったら、その異常さがわかると思う。
しかも、各省庁のトップを選んだのはほかでもない、安倍晋三首相だ。
自らを最高責任者とアピールするくらいだから、ならず者ばかりを選んでしまった最高責任をとるのかと思いきや、見ての通り”我関せず”を決め込んでいる。
普通なら、内閣総辞職となってもおかしくはないが、安倍首相の側近たちからすればオトモダチならとことん守ってくれる安倍首相に辞任されると自らのポストが脅かされるので困るわけだ。
安倍首相は今後、どのような策を講じてくるのだろうか。
開き直って、解散総選挙に打って出て”リセット”するか、今秋の自民党総裁選への出馬を断念し、円満退陣を演出するか。
ただ、この国の国民には不祥事や悪事を都合よく忘れてくれるリセットボタンがもれなく備わっているみたいなので、これまで通り総理の座に居座る可能性が一番高い。
それだけ、この国は麻痺してしまっているということだ。