未病・免疫力・自然治癒力・冷え性・低体温・適正体温を知ろう!
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◎未病とは?
あなたにとって健康とは何でしょう? あなたは、「手足の冷え」「体の疲れ」「不眠」「風邪を引きやすい」などの自覚症状を感じたことがありませんか?
「未病」の定義は、「自覚症状はないが、検査で異常がある状態」および「自覚症状はあるが、検査で異常がない状態」の二つをあわせて「未病」 としています。
最近、「未病」という言葉をよく耳にします。現代社会に暮らす私たちの健康を脅かす高血圧・脂質異常症・肥満・脂肪肝などの危険因子が日本人の全死因の6割を占めているがん・心臓病・脳卒中などの「三大生活習慣病」につながり、「未病」について考える機会が増えつつあります。
生活習慣病は ゙日々の積み重ねで起こる病気゙ という意味です。 成人病と言われていた病気を生活習慣病という名前に変えた理由の一つには、若年者にもこれらの疾患が増加してきたという事が挙げられています。もう一つは、いきなり成人になって発症する病気ではなく、日々の不健康の積み重ねで起こる病気である事を認識するために「生活習慣病」と改めたものです。
「未病」は、いわば生活習慣病になる前段階です。「未病」は気づかないうちにある日突然、生活習慣病として現れてくる。だから予防が大切ですよ、と警告している言葉が「未病」でもあります。 私たちの体には本来、自然治癒力・自己回復力が備わっています。ですから、自然治癒力を活かす方向、もともとの生命力を十分に活かす方向にもっていくことが未病の発見と治療であり、未病の改善こそが健康への第一歩です。
健康と病気の境目である「未病」を飛び越えて、病気がいきなり発症するなんてことはありません。この意味を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
◎自然治癒力とは?
人間には、もともと病気やケガなどに打ち克つ力が備わっています。それを「自然治癒力」と呼びますが、これこそが人間の生命力そのものです。現在の日本社会での生活環境は、自然治癒力そのものの力を低下させる要因がいっぱいあります。強いストレスやさまざまな環境汚染物質、食品添加物など、医学の進歩を超える勢いで人間の健康を損なうものが溢れています。 医療技術が進歩したとはいえ、病気と前向きに闘っていこうとする自分自身の治癒力が弱まっていたのでは、治るものも治らないということになります。そう考えると、人間がもともと持っている自然治癒力こそが健康の原点であると言えるでしょう。
怪我が治癒していくプロセスで考えてみてください。 どんな人も手や足に小さな擦り傷をつくった経験はあると思います。道で転んだり、家具の角に手足をこすったりして皮膚を擦りむいてしまったり…。その程度の傷なら、ツバをつけて放っておいても4、5日で治ってしまっています。これは汗でも同じことが言えます。汗は上がった体温を下げるために出るものですが、同時に皮膚の殺菌作用も果たしています。もちろん、こうした殺菌作用も人間の自然治癒力です。ついでにいえば、気温の高いところでは汗を出し、気温の低いところでは皮膚の毛穴を縮めて寒さから身を守ります。 これは環境の変化に対する身体の防衛反応で、広い意味で人間の自然治癒力の働きといえるのものです。
話は戻りますが、傷口にジワッと血がにじんできたとき、少し深い傷であれば、皮膚に流れるくらい血が出てくるでしょう。その血には、傷口から入ろうとする雑菌を防ぐための白血球などの細胞が含まれています。免疫細胞が雑菌と闘っているうちに血は凝固してかさぶたとなっていきます。かさぶたは、いわばすり切れた皮膚の一時的な代わりをしています。治る頃になると傷口がかゆくなってきて、ポロっとかさぶたは取れてなくなります。すると、その下から新しい皮膚が現れます。 人間の身体は、ある程度のレベルでは再生する能力があるという証拠です。この擦り傷を治したのは何だったのかといえば、自分自身の力、そう自然治癒力で治ったと言えるでしょう。 自然治癒力は、切断されてしまった手足までを再生する能力はないにしても、骨折した骨が繋がるのも、潰瘍で開いた胃の穴が塞がっていくのも、手術で縫い合わせた内臓や皮膚が治癒していくのも、みんな自分の持っている自然治癒力の働きがあるおかげです。 これはなにもケガに限ったことではありません。風邪やその他の病気でも同じです。 風邪の特効薬を発見した人はノーベル賞ものだといわれるように、風邪を治す薬はいまだに存在しないのです。いま売られている「風邪薬」は、せきや発熱など風邪の症状を抑える作用しかありません。風邪を治しているのは自分自身の治癒力です。
一般的に、感染症に対して抵抗していく力を「免疫」といいますが、この免疫機能も人間の自然治癒力の大きな要素です。
人間の身体は、小さな細胞によって形成されています。成人の細胞の数は、約60兆あるといわれています。そのおおもとを辿れば、元はたった一個の細胞から始まっています。母親の胎内に宿った1個の細胞が、2つに分裂し、4つになると、次々に細胞分裂を繰り返し、やがて赤ちゃんとなって生まれてきます。生まれてきた後も細胞分裂を続け、幼児期、少年期を経て、成人になるまでの過程で一つの細胞だったものが約60兆個もの細胞にまでなっていくわけです。もちろん成人した後も細胞は日々分裂を繰り返しています。 私たちの身体は、絶えることなく古い細胞が新しい細胞に入れ替わることで生命を維持しているのです。その意味では、新しい細胞の再生産が常にみずみずしい生命の活力を与えているといえます。 それが生命の不思議なメカニズムの根源です。
私たちの身体は、どんなに長く生きる細胞でも、3~7年程ですべて入れ替わってしまうといわれています。 血液に含まれる赤血球などは、120日前後で新しい細胞と入れ替わります。 もっと激しく生まれ変わるのは胃壁や腸壁の細胞で、これらはわずか4、5日で生まれ変わるそうです。
しかし、それ以上に活発に分裂・増殖の新陳代謝を繰り返す細胞があります。 それが、マクロファージやリンパ球などといった免疫細胞たちです。これらは、なんと毎秒20万個という膨大な速さで再生産が繰り返されているのです。 身体の至るところにあるリンパ組織は、それくらいの速度で分裂・増殖を繰り返さないと必要量の確保ができないということなのでしょう。 その細胞分裂の際には、たくさんの栄養と酸素が使われています。それを運ぶのが血液です。ご存知のとおり私たちが食べている食物の栄養素は、胃や腸などの
消化器官で分解・吸収され血液に取り込まれます。肺で吸収した酸素も同じように血液に取り込まれます。そして、全身をくまなく走る血管によって身体の隅々の細胞にまで運ばれています。常に血液から充分な栄養素と新鮮な酸素が供給されていれば、人間の身体の細胞はいつもみずみずしく新陳代謝を行ない、さらに免疫細胞も力強くそのパワーを発揮し続けることでしょう。 その意味で、自然治癒力は血液にあるといえるかも知れません。
冷え性について考えてみましょう。
「夏でも冷え性を感じますか」との質問に、女性の約48%の人が「感じる」と回答。なかでも20歳代は約54%、30歳代では61%もの人が冷えを感じています。 身体が冷えると、大切な体の深部の体温を下げないように防御反応が働きます。冷気に触れる環境では、体の表面の血管を収縮させ、毛穴も閉じて、放熱をできるだけ避けることで深部の体温を維持しています。 この調整に自律神経が深く関わっていて、いつもいつも強い冷気にさらされているような環境にいると、自律神経は冷気に過敏に反応するようになり、ちょっとした寒さでも強い冷えを感じるようになってしまいます。更年期障害では、代表的な症状として自律神経の乱れで冷え性になる人が多くいます。
冷えが体によくないことはよく指摘されることです。冷えに悩んで病院に行っても、まともにとりあってくれる医師はあまりいません。なぜなら、西洋医学では、冷えは病気と認めていないからです。 病気でなくても足が冷えて眠れないなど、本人にとっては非常につらいことです。これが東洋医学では冷えを「未病」といって、病気と健康の境目にあるものだとしています。 確かに体の表面だけが冷たいだけならまだしも、それが続いているとやがて深部体温にも影響するようになるので、早く改善しておくにこしたことはありません。
理研メディカルでも、冷えは健康を損ねる非常に重要な症状として注目しており、それを改善することが自然治癒力の増進になると考えます。西洋医学では、病気とはいえない「冷え」が軽視されているのが現状です。
タカダイオン・電子負荷療法では、「体温が低い状態が長く続くと病気にかかりやすくなり」、「体温の上昇とともに病気は改善に向かう」と考えます。 内臓は、37.2度が最も適した温度と言われています。これの温度は普通に計れませんので、平均体温が36.5度以上あれば臓器は活発に動いていると判断します。しかし、体温は年々低下傾向にあります。朝食抜きの生活をしていたり、食事の欧米化が進み、日本の風土や体質に合わない身体を冷やす食材を取り入れてしまうようになったことが原因の一つに挙げられます。また、ストレスも体温低下の原因になります。体温が低い=臓器も冷えて不活発になっていると考えるのが自然で、改善されたされていないの判断は、基礎体温を計ることで、ある程度自分で判断することができます。
◎免疫と低体温の関係
血流量などの体内調整は、自律神経だけで行われているわけではありません。 自律神経系とホルモンの分泌、それに免疫系という三つの調整システムがお互いに作用しあい、三位一体となって行われています。ですから体温は、自律神経だけでなく、免疫系とも密接にかかわっています。免役系の細胞である白血球のうち、だいたい60%を占めているのが、顆粒球と呼ばれるものです。残りの35%がリンパ球で、5%がマクロフアージなどになります(リンパ球の割合は自律神経の動きなどで多少変わってきます)。 交感神経が優位になっていると、リンパ球の割合は少なくなってしまいます。 そして、交感神経優位の状況が続き、さらに低体温になると、リンパ球の割合は30%以下に減ってしまいます。交感神経が刺激されるとリンパ球が減るのは、リンパ球は副交感神経の支配を受け、顆粒球は交感神経の支配を受けているからです。これは健康な体にとって、非常に都合よくつくられたシステムです。交感神経が緊張しているとき、つまり私たちが活発に動き回っているようなときは、細菌などの微生物が体に入りやすいので顆粒球を増やして、その侵入に備えています。 食べ物を食べているような時は副交感神経が優位になり、消化の過程で現れる体に不都合な物質を処理するために、リンパ球を増加させているというわけです。 低体温状態から脱してだんだん体温が上昇すると、副交感神経が優位になっていくため、リンパ球の割合が高くなっていきます。ところがリンパ球があまりに増えすぎると、体温は低下してしまいます。そしてリンパ球の割合が50%以上になると、低体温領域に入ってしまいます。ここは、副交感神経が優位になりすぎている世界なのです。つまり白血球は、リンパ球が少ない状態になっても、リンパ球が多い状態になっても、体温は低くなります。体温が低い状態というのは、酵素の働きが悪くなっているわけですから、当然ながらさまざまな病気にかかりやすくなります。
◎ストレスが低体温の原因
ストレスが低体温の原因になると言われるのは、ストレスがあると、交感神経を緊張させてしまうからです。 生物は、食べ物を探して歩き回ったり、敵を攻撃したり、敵や災難から逃げたりするために、全身の筋肉に血液を大量に送って、活動のエネルギーを供給するため、交感神経優位で活動しています。ですから、ひとつは体を酷使したとき交感神経が非常に緊張します。このような交感神経を緊張させる要因を、ストレスといいます。 激しい活動のほか、感染症や傷、痛み、排気ガス、農薬、環境ホルモンなど、体にダメージを与えるものもが大きなストレスになります。このような身体的なストレスがある一方、精神的なストレスもあります。一般には、ストレスというと精神的なものを指すことが多いでしょう。 なにかに悩んだり、心配したり、驚いたり、悲しんだり、イライラするなどの精神的な動揺があると、交感神経が緊張します。 会議の発表など人前で話さなくてはならずに緊張しているとき、心臓がドキドキして手に汗をかきます。これも、交感神経が働いているからです。 体の中では、心臓が拍動を速め血圧が上がって循環血流量が増えるという変化が起きています。 交感神経が働いても、やがて副交感神経が作用して心臓の働きも通常に戻ってくるので均衡が崩れることはありません。しかし、大変強いストレスがあったり、弱いストレスでも長い間続いていると、副交感神経がうまく体をもとに戻せなくなってしまいます。 こうなると、交感神経が優位になってしまい、低体温になるというわけです。
がんなどの大病にかかった人に話を間いてみると、例外なく大きなストレスを抱えています。 ですから、睡眠時間も十分に取れないほどハードに働いたり、大酒を飲んだりといった生活を送っていたり、大きな悩みを抱えているときなどは、病気にかかる危険性が高いと考えてください。 ただ、ストレス自体が悪いというわけではありません。 ある程度のストレスは、心身の活性化には欠かせません。ストレスがあっても、副交感神経がきちんと働いて、体の均衡が保たれていれば問題ありません。怖いのは、交感神経優位の状態が長い間続いてしまうことなのです。
◎免疫力が高い人
低体温が病気をつくるのは、低体温だと免疫力が、低下してしまうからです。 免疫力は、細菌やウイルス、体内でつくられた有害な物質などを処理して、体内を常に生存に適した状態に保とうとする能力です。その力が低下しているのですから、体にさまざまな不調が現れてくるのはむしろ当然のことでしょう。
私たちの体の免役システムは、おおざっぱに言うと、顆粒球とリンパ球で成り立っています。これらの免疫細胞がもっとも効率よく働くために大切なのが、体温にほかなりません。
体温が通常の範囲内にある人、つまり病気ではない人を採血し、顆粒球とリンパ球の状況を調べてみると、体温が高い人ほどリンパ球の数が多いことがわかっています。 リンパ球は、体に害を及ぼすものを排除する、いわば軍隊のようなものです。軍備力が強ければ強いほど、身を守る力、つまり免疫力が高いということになります。 ですからリンパ球が多い人は、細菌やウイルスなどが体に入っても、それを適宜排除することができますから、ちょっとやそっとのことで病気にかかることはありません。リンパ球が多いか少ないかは、血液検査をすれば簡単にわかります。 ただ現在の健康診断での血液検査では、そこまで行っていません。
炎症性の病気では、リンパ球数が急激に増加します。抗がん剤治療を行ったり、他の原因で免疫不全になっているときは、リンパ球数が極端に減ります。ですから、病気になれば、リンパ球数の検査は行いますが、そうでなければリンパ球数など、現代医療ではあまり見向きもされていないのが現状です。 しかし検査をしなくても、体温を測れば、自分の免疫力がどの程度かわかります。あなたも自分の体温を測って、免疫力の具合をチェックしてみるといいでしょう。 ストレスがあったときとリラックスしているときで、体温を比べてみてください。
体温がいつもより低いときは免疫力が下がっているので、病気に要注意です。