はじめてのライブハウス もーにんぐしー編
私が初めてライブハウスに行ったのは忘れもしない2007年7月のこと。そのころ中学二年生の私といえば部活漬けの日々を送っていた。るろ剣ぽいからなんとなくはじめた剣道。先輩が引退し、いつの間にか部長になり、県でもそこそこ強いチームを率いることになってしまった。休みは三か月に一回程度。とにかくめちゃくちゃ打ち込んでいた。
それと同時期、私はラジオを聞くのにハマりだしていた。ネット環境もままならなかったその頃、新しい音楽がたくさん知れて、テレビよりもミュージシャンがたくさんしゃべってくれる場所だったからだ。中でも毎週水曜日「SCHOOL OF LOCK」のリップスライム担当の日はかかさず聴いていた。神奈川の実家はTOKYO FM の電波が入りにくく、いつも部屋の隅っこでアンテナを高いところに持ち上げた状態で30分聴いていた。
リップスライムは2006年7月発売のシングルで、バンド「くるり」とコラボした。理由は確か音楽フェスで頻繁に共演することになり、お酒を飲んでいる間に仲良くなったので、みたいな感じだったと思う。発売したシングルは「ラブぃ」と「JUICE」。トラックをくるり、ラップをリップが担当しているものだった。このシングルでは、それぞれ一枚ずつ買って中に同封されているシリアルコードを使ってセット応募すると抽選で一夜限りのコラボライブに無料招待! というキャンペーンがあった。私は最寄りの神社への祈りやお賽銭、黒魔術をもちいて、そのライブに当選した。
人生初の部活ずる休み。平日のZEPP TOKYO。ライブハウスも、リップスライムを生で見るのもそもそもお台場も初めてだったので確か二日前から眠れなかった。ライブハウスは来てみると薄暗いし身長低いからステージ見えないし人多すぎだし暑いしなんなの? 状態。しかしここで私は先に出てきたくるりに衝撃を受ける。くるりは「あ、どうも京都でバンドやってますくるりです。皆さんリップスライム見に来たんやろうけどサクッと自分たちの曲も少し聴いてってください、それでは」みたいなテンションでライブをはじめた。この時のことはもううろ覚えなのだけど、「ばらの花」を演奏したのだけは強く覚えている。全身に雷が落ちた。「安心なぼくらは旅に出ようぜ/ 思い切り泣いたり笑ったりしようぜ」を聴いて謎の感情があふれだして泣いた。いま思えばそこで知ってしまったんだと思う、ライブハウスに行って新しい音楽と出会う感動や、歪んだギターの音がかっこいいこと、低音は生で聞くと最高なこと、ドラムが一番かっこいい楽器だということを。もちろんその後のリップスライムのライブも大はしゃぎした。
そこでのくるりの出会いは私にとって大きな出来事だった。いまじゃいちばん好きなバンドですし。あ、いちばん好きな音楽はリップスライムなんでそれはまた別なんですがね。
思えば初めてのライブハウスで見たバンドが私のことを救い続けている。ひとつの好きなものが中心となって、波紋状にひろがっている。
▼ラヴぃ/RIP SLYMEとくるり