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超人ザオタル(92)宇宙の流れ

2022.12.26 09:07

人間というものは、この宇宙に比べて小さいものだ。

あまりにも小さく、はかない。

大宇宙にとって、この太陽さえ、砂漠の中の砂の一粒でしかなく、

ましてやひとりの人間など、目の隅にも映らないだろう。


さらに人間は八十年あまりしかこの世界に存在できない。

悠久の時を刻む宇宙にとっては、一瞬以下の時間だ。

そんな状況で、あの目覚めの波を受けることは稀なことなのだ。

だが、人間は自我という防波堤で、その機会さえ逃してしまう。


アフラの目覚めの波を受けるためには、

自我の壁を取り除かなければならない。

真我に目覚めることは、この瞬間に可能なのだ。

自我という家を出て、あの道を歩き、その垢を落とすのだ。


私は誰なのか。

これはアフラから発せられた目覚めのメッセージだ。

誰もがこのメッセージを受け取っている。

そして、真実の自分が誰なのか知ることができる。


いや、すでにそれは知っているのだ。

それを軽視し否定する自我の雑音を遠ざけ、

その真実を受け入れればいいだけだ。

私の中に言葉を超えた透明な理解が勢いよく流れ込んできた。


それは私を満たし、さらに外の世界へと流れ出ていった。

私のいる部屋を満たし、ハルートのをも飲み込んでいく。

その勢いは止まらず、部屋の窓から外へと流れ出る。

町を飲み込み、地球の大気に浸透し、宇宙の果へと広がる。


私はその流れに同化していた。

唐突に流れが止まり、私は完全に静止した。

そこでわずかも動くことができず、それでいて心地よかった。

時間は経過せず、空間さえなかった。


いや、そこには時間そのものがないのだ。

完全に静止しているとはそういうことだ。

空間という概念もなくなり、そこが広いのか狭いのか分からなかった。

ここは宇宙が始まった地点だ。


ただ意識だけが目覚めていた。

自分の姿かたちはなく、他に誰もいなかった。

無機質で僅かな生命の気配さえない。

すぐ背後には底知れない虚空があった。


そこに意識はなく、深い眠りのようだった。

だが、私は紛れもなく虚空として目覚めていた。

私は、私は誰なのだ。

静止していたそれがそう叫んだ。


その瞬間、何かが膨らみ、空間を形成していった。

物事が動き始め、そこで時間が刻まれ始めた。

虚空は振動し、熱を帯びた。

そして、音もなく凄まじい光を吐き出したのだ。


ふと気づくと、私はアフラに戻っていた。

そこで人間として大地に立ち、黙って地平線を見ている。

私は宇宙の小さな存在として在るが、

同時に、その宇宙をこの内に宿していたのだ。