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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第4回十字軍5-薔薇アリエノール遂に散る

2018.04.23 07:14

1202年仏王フィリップ2世は念願のプランタジネット家アンジュー帝国討伐の軍を起こした。仏王は抜け目なくユーグだけではなくアーサーもアキテーヌの領主として認定した。身の危険を感じたアリエノールはポアティエを脱出してミルボー城に。しかしアーサーの軍が迫る。

さすがにこのピンチにノルマンディーに居た英王ジョンが駆け付けた。全く油断したアーサー軍は敗北し、母は無事救出され、アーサーも捕えられルーアンに幽閉された。しかしこの戦さの捕虜を極刑したジョンは領主にあらずと憎まれ、アーサー暗殺の噂が流れて、同盟軍から裏切りが続出した。

フィリップは、ロワール川以北を制圧し、1203年ノルマンディーに侵攻し、リチャードが築城した難攻不落のガイヤール城を包囲した。12月、ガイヤール城を見捨て、ジョンはイングランドへ逃亡。そのままブリテン島にひきこもった。もともと彼は「失地王」の名通り、大陸に領土もなく縁も薄かった。

翌04年3月ガイヤール城が落城し、その3週間後の4月1日、中世に咲き誇った大輪の薔薇、女傑アリエノール・ダキテーヌは80歳を越える生涯を隠遁先の修道院で閉じた。しかし親薔薇は散っても種はヨーロッパ中の大地に撒かれている。これから子薔薇がまた花を咲かせるのである。

下はフォントヴロー修道院で夫ヘンリー2世と眠るアリエノール。リチャードの墓もある