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タイドラマ「The Warp Effect」(2022年)GMMTV おすすめ キャストとあらすじ

2022.12.25 01:30

おすすめ度:★★★★☆ 世界中のすべての若者に見てほしい人生の教科書ドラマ


GMMTVのタイドラマ「The Warp Effect」(2022年)を観ました!アレックス17歳の誕生日に誰かから送られてきた古びたポラロイドカメラ。そのカメラで撮った写真はなんだか普通じゃない?!ニュー・ティティプーンを中心とした豪華なキャスト陣が、思春期と大人を行ったり来たりするドッキドキな推理系ドタバタ社会派コメディSF(もうなにがなんだか…)。


というより、もっとシンプルに「ティーンのための保健教育ドラマ」というべきか?いや、それだけではない…。タイムリープしてつながる時空を超えたストーリーと、ちょっとバカっぽい展開に初回からハラハラしっぱなしですが、見進めると本当はかなり真面目で深い「人生の教科書ドラマ」とわかる。非常に難しくてセンシティブな問題を、エンタメを使って正面から切り込んだ作品。





17歳から10年後の未来にワープ!

タイドラマ「The Warp Effect」は「ワープ」という言葉がタイトルにもあるとおり、主人公アレックスが17歳から10年後の未来にある日突然タイムリープしてしまう!…というところから始まるSFストーリー。


そのきっかけと見られるのが、誕生日に誰かから届いたアンティークのポラロイドカメラ。そのカメラで撮影した同級生たちの姿は、撮った時の姿とは全く違っていた…。


ある日突然過去や未来にタイムトラベルしてしまうSFドラマは古今東西まあよくある話ではありますが、このドラマのアングルはどうもちょっと違う…!


第1話で描かれているのは、アレックスが童貞を捨てるためにマッサージパーラーに行くシーンや、保健体育の時間にアレックスたちが性教育を受けるシーン、学校の友だちジェダイのハウスパーティーでアレックスほか同級生たちがお酒を飲んではじけてしまうシーンなどなど…。そして高校最後のパーティーがシリーズを通してすべての謎の出発点に。


誰とファーストキスをするか、誰と初体験をするか、多感な思春期真っ只中の高校生たちが抱える性の関心や悩み、LGBTQなどジェンダー&セクシュアリティの課題、職業や恋愛観、どう自分らしく生きるか、さらには人権といった極めて個人的でありながらどこまでも社会的な問題を、うまいことオシャレでかっこいいドラマに織り込んでいます。制作チームのセンスと手腕には脱帽。


ちなみにこのタイドラマ「The Warp Effect」はGMMTVの公式YouTubeチャンネルで英語と日本語の字幕付きで見ることができます!(翻訳に取り組まれたファンクラブの方、大変ご苦労様でした!)


アレックス・プロジェクト

高校生のアレックスが同級生ジェダイの家で泥酔し、誰かにボコボコに殴られ裸で車のトランクルームに入れられた夜、そこにいた皆がお酒を飲んで、はちゃめちゃにはじけていた。アレックスはそのまま気を失ってしまい、目が覚めた時には病院の産婦人科医になっていた…。


大人になっていただけでなく、産婦人科医になっていたというところがこの後の展開のポイント。しかも、高校時代は仲の悪かったアーミーが仲良しの同僚医師に…。憧れの女子キャットとは都合のいい関係に…。逆に、親友のイウとは絶交、仲の良かった女の子のニムとジーンはカンカンに怒ってる!


何がなんだかわからないまま、ポラロイド写真の謎をめぐり、とりあえずイウ、ニムとスタートさせたアレックスプロジェクト。写真に映し出された未来の自分が抱えていると見られる問題を探りあて、解決するために動き出します。


犬になった親友イウ

高校時代、お母さんとの約束で性に控えめだったアレックスが最も仲良しだったのがイウ。大人になったイウは、実は…犬になるのが大好き!要するに犬のロールプレイで興奮する性癖ですが、イウのポラロイド写真には犬の格好で逮捕されている姿が写っていた…。


イウの彼女は彼氏の性癖に付き合うことに嫌気がさしていた。イウは大好きな彼女に「普通になって」と言われ、ありのままの自分を受け入れてもらえないことに失望する…。


映画監督になったジーン

アレックスが高校時代に一番いい感じだった女の子がジーン。校舎でカメラの話をするシーンがとても輝いていて、素敵な2人だった。それが、台無しになったのがジェダイの家でのパーティー。「お互い最初の相手に」と話していたアレックスが泥酔してジーンを傷つけてしまったことで、2人は不仲になっていた。


ジーンは大人になり、映画監督になっていた。ただ、気になるのがとてもひどい生理痛がくること。婦人科の症状に悩まされるだけでなく、アレックスとのことがPTSD(トラウマ)になり、ずっと心の奥に引っかかったまま前に進めずにいた。


医師になったアーミー

高校時代、学校で一番人気があった女の子キャットと付き合っていた。しかし、ジェダイの家のパーティーでキスをしたのは同級生の男子ジョー。そのゲイをカミングアウトし、アプリで男の子と出会って遊ぶ日々を過ごしてた。アレックスと同じ病院に勤務する医師で、アレックスとも仲良しに。


ある日、未成年とアプリで出会い、危ういことになりかけるものの、なんとか乗り切り、たまたまその少年が所属するサッカーチームのコーチをしているジョーに再会。アーミーの恋心が再燃し、また2人で会うようになるが、ジョーはゲイであることがチームにバレて差別と偏見に苦しむ。


CAになったキャット

みんなの憧れだったキャットは成長してCAに。フライトで忙しい彼女は、男に頼って幸せを得る人生が嫌で、決まった彼氏はいない。大人になったアレックスと都合のいい関係を続けたり、クラブで逆ナンして遊んだり、自由を謳歌している反面、心はどこか満たされずにいる。


ある日、キャットは遊び感覚で付き合っていた男に腹いせの暴力を受けてしまう…。心に傷を負ってしまい、自分のそばに信頼できる誰かがいたら…と思い始める。


キックボクサーになったニム

高校時代から先輩モリーの女性と付き合っていたニム。パーティーで酔っ払ったアレックスとモリーがキスをしたことが原因でモリーとは別れ、今は別の女性ビューと付き合っている。


ビューは「合法的に家族となる」ことを望んでいて、同性婚が認められていないタイを離れ、ニムとアメリカのへ移住を考えている。子どもが欲しいビューは、ニムに体外受精で子どもを産んでほしいと頼む。母親になるなんて考えたこともなかったニムは、どうしたらいいかわからなくなる。


ステレオタイプと闘う女優モリー

ニムと高校時代に付き合っていた先輩のモリーは、大人になり女優を目指してオーディションを受ける日々を過ごしていた。そんなある日、ジーンが初監督を務める作品のオーディションに。


しかし、見事主役に合格した彼女を待っていたのは、「売れるから」という理由で細身な美人女優を好んで使いたがる旧体制の業界だった。


多様性、LGBTQに耳を貸さないスタッフに傷つき、一度は撮影スタジオを飛び出してしまうが、それでも業界のステレオタイプと闘うことを決意する。そして元カノのニムともよりを戻すようなそうでもないような…。





正しい情報を持つ、相手の気持ちを考える

アレックスはワープしてしまった10年後の世界で、産婦人科医の知識を活かしながら、少しずつポラロイド写真に写っていたみんなの問題を解決していく。というか、みんなよくもこんなに問題ばかり抱えているもんだ…というくらいそれぞれが深刻な悩みや問題を抱えている。


このドラマの大きなテーマは「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」(性と生殖に関する健康&権利)。出産適齢期とか家族計画などという言葉があるとおり、10代から妊娠・出産に関する健康と権利がとても大事な時期になってきます。


それは、大好きな人と家族になることだったり、子どもを産み育てることだったり、LGBTQの権利を実現することだったりします。どれをとっても、一人ひとりの権利であり人生の選択。お互いに尊重しなければならないし、誰かにその権利や選択を邪魔されたり、否定されたりするものではありません。


しかしながら、時にそれが正当な理由なく邪魔されたり、差別と偏見とともに否定されたりするのがこの私たちの生きる社会。まだまだ社会の教育の機会と理解が足りないんです。


一人ひとりの権利であり人生の選択を尊重するためには、まずはみなが正しい知識と理解を持たなければならないし、心無い差別や偏見で誰かを傷つけないようにするには、何よりもまず相手の気持ちを思いやる心(配慮)が大事なんじゃないかなと思います。


すべての若者に見てほしい人生の教科書ドラマ

このドラマ、最初は若さいっぱいではっちゃけてて、めちゃくちゃふざけてるのにクールでかっこよくて、とてもおもしろんですが、エピソードが進むにつれて複雑で、センシティブかつシリアスになっていきます。


要するに、見るのがどんどんしんどくなってきます…。


これはドラマなので、アレックスがポラロイド写真を撮ってワープし、あれこれ解決して最終的にみなやり直すことができたけれど、実際にはそうはいきません。


どれだけ後悔したって、どれだけ否定したって、時間はもとにはもどせないし、起きてしまったことをなかったことにはできません。


だからこそ、正しい知識を味方にし、きちんと考えて分別ある言動を。


タイドラマ「The Warp Effect」は、未来ある若者たちにこそ見てもらいたい「人生の教科書」みたいなドラマです。


そして、こんなにも難しいテーマにドラマで挑んだ制作チームに心から拍手!!