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退屈と惰性と 改

HG ダリルバルデ レビュー

2022.12.29 09:05

 今回のレビューは、1/144スケール ハイグレード より、

“HGTWFM 07 ダリルバルデ” です。


 “機動戦士ガンダム 水星の魔女” より、ジェターク社の最新型モビルスーツ、

“MDー0064 ダリルバルデ” が、

HG水星の魔女シリーズで発売されました。


 第1期の最終回が局の都合(?)で年明けに持ち越しとなり、ハラハラしたまま年を越すことになった・・という人も大勢いらっしゃることでしょう。

 いやでも、仮に最終回が年内に放送されていたとしても、どのみちここで1期終わるの? という状況でさらに3ヶ月待たされることにはなるんだろうなと思います。

 かの脚本家であれば、コードギアスとかの例もありますからね。いきなり何年も経ってる可能性もあるな。

 正直、分割2クール放送・・全24~25話くらいだと短いのでは? と思っていたのですが、ここまでprologueを含めて12話、内容的にはかなり濃いものになっています。

 というか、展開が非常に早い。

 エンタメ作品も短い時間にギュッと凝縮するのが昨今の風潮というか、そうでないと見てもらえなくなっているのかもしれませんね。若い人に限った話でもなく。

 たしかに、無駄にダラダラ長く続けられるよりもそのほうがいいとは思うのですが、ただもちろん弊害もあって、水星の魔女に関して言うとMSの活躍が少ないですよね。

 いやもちろん、少ない時間でしかっりそれぞれに見せ場が作られてい入るのですが、今のところエアリアル以外はほぼ一回きりの登場。そしてチュチュのデミトレーナー以外、すべて劇中で敗退してからのキット発売という流れが常態化しています。

 それでも爆売れしてるようで、それはそれですごいことなんですが。

 単純に、各機もうちょっと活躍してほしいなぁと思うだけなんですけどね。

 とくに今回のダリルバルデは、非ガンダム機としては最強クラスのはずだし。

 しかし、グエルもまさかあんな感じで流転していくとは・・

 対シャディク戦で颯爽と助けに入るという、ある意味王道の仲間入りパターンもあったのに、今となってはテロの人質に。

 なにかしらの巻き返しはしてくれるものと期待していますが、どう考えてもあの場にダリルバルデはないので、少なくとも1期のうちに再び搭乗するということはなさそうですね。

 というか、すでに後継機っぽいガンダムの姿が解禁されてしまったし・・


 では、とりあえず(?)レビューしていきます。

 キットはパチ組みに最低限の墨入れ、付属のシールを貼ったのみです。


MDー0064 ダリルバルデ

 ジェターク社が次世代型ドローン兵器の運用を前提に開発した第5世代実証機。

 禁忌とされているGUNDフォーマットに代わるものとして意思拡張型AIが搭載されており、非ガンダムの通常MSとしては最先端の機体ということで、グエルがスレッタと再戦する際にグエルの父でジェターク社のCEOであるヴィム・ジェタークが用意させたものです。

 ただ、確実な勝利を目的として機体制御のほぼすべてをAIが担い、グエルはただ乗ってるだけという状態でした。

 しかし肝心のAIがまだ未熟で、みえみえの陽動に引っかかるなどした末に父への反発もあってグエルはAIを破壊、手動操縦に切り換え、スレッタのエアリアルに肉薄しました。

 結果として負けてしまいましたが、一瞬とはいえガンダムを圧倒したグエルのパイロット能力の高さを見せつけるシーンとなりましたね。

 で、その後の求婚・・グエルがシリーズ屈指の愛されキャラに生まれ変わった瞬間でした(笑)。

 ジェターク社製MSの特徴は、足りないものをどんどん追加していくという足し算の理屈で、となれば現在量産されている汎用機、ディランザをベースにさらに盛る、という発想に至りそうなのですが・・

 いったいどういう風の吹き回しだ? と思えるくらいにボディがシェイプアップしています。

 もちろん、顔付きや胸部のデザインなどディランザに通じる部分もあるのですが、主に下半身・・脚部の構造が一新され、重MS然としていたディランザのシルエットから大きく様変わりしたイケメン細マッチョになってしまいました。

 まぁ、しまいましたということはないんですけども。

 なお、腰部フロントアーマーが前に張り出したような特殊なデザインになっています。

 固定ではなく一応ボールジョイントで可動しますが、まぁ気持ち程度ですね。

 後ろ姿もなかなかにマッチョです。

 ディランザよりは細くなったとはいえ、太腿やふくらはぎのムッチリ感はやはり独特。

 これがあの世界での標準体型ということなんだろうか?

 フロントアーマーと違ってリアアーマーは固定。

 裏打ちパーツが股間部分のフレームと一体化しているという、ちょっと珍しい構造です。

 パーツ数を減らすための工夫でしょうかね。


 それにしても、パイロットであるグエルの人間的変化を乗機の見ためを含めて表現していると考えると、これがバチッとはまっている感じもするんですよね。

 初登場時の、視野の狭い嫌なヤツ、まさに咬ませ犬といった感じから、実はいろいろ裡に抱えているものがあって、そこから脱したいと思って藻掻く様とか・・なるほどなぁ(勝手な解釈)。ほぼ全身が鮮やかな赤色でライバル機感もすごいのですが、再登場しそうにないなぁ・・

 ほぼ全身が鮮やかな赤色でライバル機感もすごいのですが、再登場しそうにないなぁ・・


 フェイス部のデザインはディランザのものをより洗練させた感じ。

 メインカメラ(と思われる)部分は黄色いパーツで分割されていますが、今回はディランザと違って黄色い部分含めて全面にシールを貼る仕様になっています。

 バルカンの砲口は残念ながら色分けされていません。

 全体のデザインはやはりカブトムシっぽいですね。

 後頭部に伸びる円環状のパーツも特徴的です。


 肩アーマーや太腿など、戦闘時に発光する部分はシールを貼った上からクリアパーツを被せる仕様。

 発光していない状態を再現する黒一色のシールも付いていて、どちらかを選んで貼るようになっています。


武装・ギミック

ビームジャベリン

 両端からビーム刃を生成できる大型の手持ち格闘武装。

 2つに分割することも可能で、

分割状態では錨状のビーム刃を生成するほうがビームアンカー、

もう一方がビームクナイと呼ばれます。

 クナイのほうは連結パーツがストッパーになるのでとくに問題ないのですが、アンカーのほうは握り手にあまりフィット感がないため、滑り落ちることが多いです。

イーシュヴァラ

 本体から分離しての無線飛行、攻撃が可能なドローン兵器。

 先端にマニピュレーターを備え、通常時は本体の腕部として機能するAタイプと、

背部バックパックにマウントさせるBタイプの2種計4基を装備。

 Aタイプはそのままビームジャベリンおよびアンカー、クナイを保持したまま攻撃。

 Bタイプは先端部にビーム砲兼ビームサーベルが内蔵されています。

 BタイプはさらにAタイプに変わって腕部に装着することも可能。

 接続は3㎜軸です。

 もちろんバックパックも同様。

 腕部に装着した場合は、ビームサーベルの出力を最大化させることができるそうですが、キットに付属するビーム刃はいつもの汎用パーツだけです。

 しかも、ご覧のようになぜか成型色がクリアパープルになっています。

 劇中ではジャベリン同様グリーンだったんですけどね。

 なんで? 連絡ミス?


アンビカー

 通常時には両肩にシールドとして装備されるドローン兵器。

 攻撃能力はない、純粋な防御用ドローンです。

 これも本体(肩)への接続は3㎜なのですが、イーシュバラとは凹凸が逆なので、スタンド使用には一工夫必要。

 今回は余っていたヘキサグラムを咬ませました。

 しかし、さっきのイーシュバラもそうだけど、なんで急にインドっぽい名前に?


ニークラッシャー(ペレットマイン)

 これも本体(肩)への接続は3㎜なのですが、イーシュバラとは凹凸が逆なので、スタンド使用には一工夫必要。

 今回は余っていたヘキサグラムを咬ませました。

 しかし、さっきのイーシュヴァラもそうだけど、なんで急にインドっぽい名前に?


 特徴的な形状の膝装甲には小型の機雷の射出口があります。

 さすがにディティールでの再現だけですね。


シャクルクロウ

 足先は爪先と踵が可動する格闘用のクローでもあります。

 さらに有線で射出され、クローで相手を捕獲したのち電流を流すことが可能だそうです。

 でも、劇中では電流を流すまではしてなかったはず。

 そんなことしたらパイロットにダメージいきそうですしね。控えたんだと思います。

 グエル先輩、漢前。

 なお、射出状態の再現には専用のアタッチメントを使用し、ワイヤーはリード線で再現されます。

 しかし最近のリード線、クセ付けしにくくないですか?


 なお、これらドローンおよび有線兵器を用いたアクロバティックな戦闘が印象的だったっためか、タッチゲート式のスタンドが付属しています。

 透明クリア製だから白背景だと見えない・・

 しかしこれも結局本体を浮かせられるだけで、肝心のドローンや有線クローを展開状態で飾るためにはやはり来月発売予定のスタンドが必要になってきますね。

 じゃあこのスタンドもべつに要らなくない?

  まぁ、エアリアルやファラクトのガンビットと違ってほとんど3㎜穴を使ったディスプレイが可能なので、まだマシですけども。


比較画像

 ディランザ(グエル専用機)と。

 やはり同系統の機体であることはわかりますが、随分と洗練されたもんですなぁ。

 ドローン兵器の運用前提ということで本体に過度な防御力は必要ないということなんでしょうね。

 つまりは引き算ができるようになった、と。

 よくあの親父が許可したな(笑)

 エアリアルと。

 ダリルバルデのほうが一回りほど大きいですが、ムッチリ系のプロポーションは案外似ています。

 機体性能自体は大きく変わらない気がしますね。

以下、画像

 可動性は良好。とくに干渉するものもないので、ストレスなくポージングできます。

 足首の柔軟性もディランザ譲りなので自立させやすいです。

 しかし劇中ではこの足先でもホバー移動してる感じでしたね。


 肘、膝ともに二重関節で深く曲げることが可能。

 でも立て膝は微妙。


 アンビカー分離。

 敵の射撃を防御しつつ、上空からビームジャベリンを振り下ろす。

 うん、格好いい。


 腕部換装。両手をビームサーベルにして突撃。

 しかしなんでビーム刃が紫なんだろう

  最大出力時に色が変わるとか、本当はそういう設定があったんだろうか?


 シャクルクロウ射出!

 リード線がクセ付けしにくいのもあれですが、付属のスタンドが、やっぱりこのサイズを浮かせるには不安定です。

 だから結局いつものギルプリのスタンドを使用。


 もちろん背中にマウントしたままビームサーベルを出力したり、

アンカーとクナイを持った腕を背中にマウントしたりも可能。

 なかなか頭の悪そうです(笑)。

 バックパックの接続軸も可動すればまた違った戦闘スタイルもあったのかなぁ。

 本来は動きそうですけどね。

 しかし、背中に予備の腕を備えていることといい色味といい、なんとなくネオジオングっぽくもありますよね、ダリルバルデ。

 シナンジュの代わりに乗っけても面白いかも。ネオジオング出すの大変だからしませんけども(笑)。


 一斉攻撃。

 3㎜接続だからオールレンジ攻撃再現も比較的楽。

 エアリアルとファラクトも見倣ってほしい・・(笑~

 それにしても、これ全部手動操作はさすがに無理がありますね。

 GUNDフォーマットが使えないなら、そりゃAIを使うしかないって話ですわ。


父「子供は親の言うことを聞いていればいいんだ!

子「黙れよ!!

 たぶん、初めて父親に反抗したんだろうな・・

 AIを破壊して手動操作に切り換えてからのグエルの猛攻。

 スレッタにも、「この人強い!」 と思わせた、まさに彼の意地がそこにはった。

 まぁ、負けちゃったけどね。

 いつかともに万全の状態で再戦してほしいという気持ちもあったり・・


 以上、“HG ダリルバルデ” でした。


 一回きりの登場(と決まったわけじゃないけど)なのが非常に惜しいデザインと多彩な攻撃手段を持つダリルバルデ。

 結局ガンダムが最強という、とくにアナザー以降顕著なシリーズの不文律のなかで、パイロットにも特殊な能力や才能がないにもかかわらずひょっとして逆転する!? と思わせたその姿はガンダム史に残る名場面になったと思います。

 最初からAIなしでグエルが本気を出して戦っていたら、あの段階のスレッタ & エアリアルには勝てていたかもしれない。

 まぁきっと、グエルのパイロットのとしての本領発揮は2期になってからでしょう。

 どうもあのガンダムに乗るっぽいし・・と見せかけて、ポッと出の新キャラが乗ってくる可能性もなくはないんだよなぁ。

 というか、いろいろ展開を予想するけど全然当たらないのよね、水星の魔女。

 当たったのはグエルがスレッタに惚れることだけ(笑)。

 さてキットの話ですが、ディランザの系譜にありながら突然変異的に進化したその姿がボリュームたっぷりに再現され、劇中で見せた多彩な攻撃もすべて再現可能というプレイバリューにもグエルの意地を見せてくれた感があります。

 サーベル用ビーム刃の成型色の謎とか、付け焼き刃的に付属しているスタンドとか、わずかに首を傾げる部分もあるにはありますが、TV放送と同時進行のHGキットとしては久しぶりに発売された気がする非ガンダムのエース機、非常に満足感の高いものになったのではないでしょうか。

 一回きりの登場が本当に惜しい。

 いや、まだ再登場しないと決まったわけじゃない・・けど。

 オレたちまだ出番あるよな・・?

 先日予約解禁となった軍事用量産機のほうが露出度高いかもしれないね。


 といったところで今回は終了。

 またのご訪問を。