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Waiiha Picturesque

Ⅽhristmas Message

2022.12.25 14:35

あの日、終電前の路面電車の停留所あたりで

今夜が、Christmas なんだと気がついた。

12月の風に堪えるように、電停に立っていると

いまでも、色褪せることのない優しさに包まれていた。

寒くて、冷たくて、悲しい夜だったはずなのに。

凍える手に息をかけていると、踏切の向こうから、

愛情に溢れたラッピング電車が現れた。

車内には、お手製の装飾が丁寧に貼られている。

人の真心を感じた。この電車への感謝なのだろう。

きっと、この電車は、喜びの門出も、悲しき涙も

変わりゆく街並みも、すべてを見て来たのだろう。

そして、無言のまま人々を乗せ続けて来たのだろう。

小さな子供が、大きくなっていく様子も。

杖を突いた、おじいちゃんも、おばあちゃんも。

塾に通う学生も、ヤンチャな悪ガキどもも。

一生懸命に働きに通う今を生きる人たちも。

この電車は、なくてはならない存在なのだと思った。


ある雨の強い日。自分を見失っていたころのこと。

繰り返す憂鬱な日々に、自分自身に嫌気がさしていた。

車窓からの風景を虚ろな目で眺めていた時代だった。

人生の最終列車に乗り遅れた、変わることのできない

もがいている僕は、橋のたもとに居た「バアさん」と、

椿のような線の細い女性のお話しを作った。

何故、あんな絵本を書くことができたのだろうか?

きっと、導かれていたのが本当だろう。


この電停で、運命の歯車が回り始めた。

この都電で、自分が生きている理由を知った。

とても、近くて遠い青春時代。


今夜は、Xmasの夜。あの日、僕に微笑を与えてくれた

都電荒川線に、ありがとうと伝えたい。


そして、運命的に出会ったあの女性と、バアさんは

こんな僕を覚えているのだろうか?

「おふたりに会いたいな。」

この電停から、この都電に乗って、時空を超えて

架空の都へ誘われるように、夢の続きを紡ぎだして

あのお話しを再構築してみようかな。


この都電荒川線のためにも。自分のためにも。