Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

『鄧麗君之歌第一集』には2種類のファーストプレス?

2018.04.16 22:03

 1967年、テレサ・テン14歳のときのレコードデビュー作『鄧麗君之歌第一集  鳳陽花鼓 』には2種類のファーストプレスが存在するのかも知れない。

 一見同じに見える2つのジャケットだが、曲名の一部を記した左側の矢印上の2番目の曲名が異なる。

 これに関して、 after you 宇宙時代の鄧麗君で分かりやすく説明をしてくれている。


ところで、熱心なマニアならご存じかもしれませんが、 テレサのデビュー作『鄧麗君之歌第一集』には、二つのヴァージョンが存在します。 「何日君再來」を改題した「幾時你回來」が入っているヴァージョン (ジャケットの左側矢印の上から二つめの曲名が「只有一個你」)と、 「幾時你回來」が「女兒圈」に差し替えられたヴァージョン (ジャケットの左側矢印の上から二つめの曲名が「女兒圈」)の二つです。 

ぼくは「幾時你回來」が入っているヴァージョンを持っていて、 これがオリジナル盤だとばかり思っていたんですが、実は真相はその逆で、 「女兒圈」が収録されている方がファースト・プレスだということを、最近知りました。 「何日君再來」が文化統制下の台湾で禁歌とされていたことから、 検閲を通すために、「女兒圈」入りのヴァージョンを最初に出して、 あとから「幾時你回來」の入ったヴァージョンを出し直したんだそうです。 

どちらのヴァージョンのレーベルにも「民國56.9出版」と書かれていて、 どちらがファースト・プレスなのかまぎらわしかったわけですが、 「民國五十六年十月出版」とクレジットされたサード・プレスに 「幾時你回來」が入っているように、 「女兒圈」が入っているレコードは、ファースト・プレスだけだったようです。 

(太字は当サイト管理者)


の3つのバージョンがあることになる。



ところが、インターネット・オークションに出品されている『鄧麗君之歌第一集』の内容を見ると、さらに別のバージョンが存在すると思われる。

「女兒圈」が入っているので単純に考えると、ファースト・プレスということになりそうだが、出品のコメントには次のように記載されている。

A-4「女兒圏」歌詞は当時の検閲を通す為のダミー掲載となる(ジャケ表にも同様の印刷)、これが【純正初回盤】の証となっております。

確かに、裏面の歌詞部分にも「女兒圏」の歌詞が記載されている。

これに関しての出品者のコメント。

「女兒圏」タイトルにチェックマークが付いているのは、当時の購入者が実際の収録と歌詞が異なっているのは何故か?と記入した為のものとなります。


A面レーベルの4曲目として「幾時你回來」の曲名が記載されている。

オークションのタイトルは

「鄧麗君/検閲の為、ダミー曲の歌詞をジャケに印刷の純正初回プレス/鄧麗君之歌第一集(宇宙唱片/YEU JOW RECORD:AWK-003 1st LP(テレサ・テン」

としてある。

あたかも、ファースト・プレスの仕様として、ジャケット(表・裏)に「女兒圈」と書かれていても内容は「幾時你回來」である(従って「女兒圈」の収録されたレコードは存在しない)ような記述であるが、 after you 宇宙時代の鄧麗君の説明と合わせて考えると、


のうち、ファースト・プレスには

ジャケットの曲名が『女兒圈』で、

収録曲目(レーベルも)が『幾時你回來』

というバージョンと、

ジャケットの曲名が『女兒圈』で、

収録曲目(レーベルも)も『女兒圈』

というバージョンがあ、2つのバージョンがあることになる。



オークションの出品者の記述に従えば、前者がファースト・プレスであるが、検閲のことを考えるならば、ジャケットも内容も『女兒圈』になっているバージョンを先にプレス・販売するのが自然だろう。

A面レーベル4曲目として『女兒圈』と記載された写真もあるが、セカンド・プレス以降で、「ジャケットは『幾時你回來』でレーベル・内容が『女兒圈』」というものをプレス・販売する必要はないから、『女兒圈』を収録したものは「ファースト・プレス」で考えるのが自然である。


全曲を入れたとするYouTubeの動画の冒頭の写真には「女兒圈」の曲名が見える。

再生すると、「女兒圈」が聴ける。

動画のコメント冒頭には以下の記載がある。

鄧麗君之歌第一集 Teresa Teng Song Album Number One, October, 1967 was Teresa Teng's first professional album. 該專輯是鄧麗君的第一張個人專輯。曲目同 鄧麗君精選歌曲; the song list is similar to her two other albums, Teresa Teng's Popular Songs, with the exception of 女兒圈 (Girl Circle) in this album as opposed to 幾時你回來 (When Will You Come Back, which was the early version of the famous何日君再來 "When Will You Return"). While considered her first album, it really should not have been, as she had published a much lesser known album of songs from various nations. Those were the songs in Mandarin and Mandarin with English using melodies of English songs. That album was published about two months prior to the official release of the currently uploaded "Teresa Teng Song Album Number One". Perhaps her manager/Teresa Teng Foundation felt that only Chinese songs should have been the foundation of her career and, in her early days, that was in fact the case.  

このコメント前半では、この「ファースト・アルバム」と類似の曲目を収録したアルバムがこれ以前にリリースされ、そちらと比較すると「幾時你回來」 (「何日君再來」の初期バージョン)に対して「女兒圈」が収録されているとのみ書かれ、同じ「ファースト・アルバム」で「幾時你回來」の収録したプレスが存在することには言及されていない。

ちなみに動画の収録曲目リストは以下の通り。

0:10 - 歡樂今宵 Enjoy Tonight 
2:41 - 姑娘十八一朵花 A Girl 18 Years Old Is A Flower 
5:43 - 女兒圈 Girl Circle 
8:41 - 知道不知道 Does He Know Or Not 
10:39 - 只有一個你 There Is Only You 
14:15 - 月夜相思 Lovesick On Moonlite Night 
17:15 - 鳳陽花鼓 Feng Yang Flower Drum 
19:43 - 搖搖搖 Swing Swing Swing 
22:21 - 桃花江 Peach Blossom River 
25:41 - 黃昏小唱 Ballad Of The Sunset 
29:03 - 一年又一年 Year After Year 
32:37 - 做針線 Needlework

12曲全てが含まれているが、4曲目に入るはずの「女兒圈」が3曲目になっている。理由は分からない。


いずれにせよ、以上を総合すると「ファースト・プレス」と言われているものに

の2つのバージョンがあることになる。



なお、初期のこういったLPレコードはCD化されている。

after you 宇宙時代の鄧麗君には

ついでながら、宇宙レコードが倒産した後の72年に、 天聲というレコード会社から再発された『鄧麗君之歌第一集』も持っていますが、 こちらはファースト・プレスのヴァージョンで、「女兒圈」が入っています。 この天聲盤の表ジャケットは、 「只有一個你」が書かれているセカンド・プレスのヴァージョンで、 裏ジャケットは「女兒圈」の歌詞がのった ファースト・プレスのヴァージョンとなっているという、 ややこしいことになっています。 CD復刻にあたっては、 ぜひ「幾時你回來」「女兒圈」両方を収録してもらいたいものですね。

と記述されている。

このCDのジャケット(表・裏)


もし、ファースト・プレスに2種類のバージョンがあるとするとと、「幾時你回來」を収録したファースト・プレスはレアものということになるかも知れない。

ただし、「女兒圈」の曲名が書かれたジャケットに、「幾時你回來」を収録したセカンド・プレスのレコード(ファースト・プレスと同じく「民國56.9出版」とレーベルに記載)が入っていると、容易に「レアもの」を作ってしまうことができることになる。


ひょっとすると、

というバージョンは本来存在しないのかも知れない。


kiyoの上海物語 鄧麗君 には、次のような記述と写真が掲載されている。


「何日君再来」が次に歌い継がれた歌手は鄧麗君ことテレサ・テン。 この歌は台湾でも禁止されていたため、始めのアルバムには入れないで検疫をパスさせ、翌月に「幾時你回来」という名前でレコードに入れて発売していた。さすが中国!! なかなか発想はしても実行はできません。1967年10月 テレサ・テンが14歳の時であった。

(「検疫をパスさせ」は「検閲」でしょう…。)

上の写真・右のレーベルには「民國56年10月出版」と記載されているが、漢字で「民國五十六年十月出版」と記載されているレーベルもある。


BS2の番組「世紀を刻んだ歌」の「何日君再来」の回を視聴したことを元に書かれているが、あたかも中国で制作されたような書き方は、筆者の勘違いだろう。

なお、テレビ視聴による情報として「翌月に「幾時你回来」という名前でレコードに入れて発売していた。」としているが、これはサード・プレスであり、ファースト・プレスと同月の内に同じ民國56.9出版として「幾時你回来」を収録したセカンド・プレスがプレス・販売されている。



レコードジャケット裏面(歌詞記載)

「女兒圈」の歌詞のあるもの。


「幾時你回來」のあるもの。


9月版と10月版とですっきり分けているサイト