悪夢と声
2023.01.01 14:50
~SIDE A~
誰かが ぼくを
狭くて暗い場所へ 押しこめる
ぼくは 出して と叫ぶけれど
誰かは手を 差し伸べてはくれない
ただ
ぼくに 何かを言っている
でも ぼくはこわくて
さびしくて
必死に出ようと 腕を伸ばす
最後に 蓋がとじられて
ぼくの世界はまっくらになる
そこでいつも 目が覚めるんだ
~SIDE B~
ああ 神様
ああ なんということだ
なんだ なにがいけなかった
あの娘に
あの娘に何の罪があったというのだ
どうして どうしてなんだ
ああだめだ 考えるな
走れ
とにかく 今は走るんだ
ここだ
たしかここにあったはずだ
古い水路
わたしが子供の頃 よく通った
湖に通じる 枯れた水路が
大人はとても入れない
でも この子だけならきっと
進めるはずだ
ああ かわいそうに
泣かないでおくれ
すまない どうか許してほしい
お前にひどい嘘を言う
----母上はもう先に行った
おまえも早く行きなさい
----湖へ出たら いいかい?
フクロウの像で待つんだ
そこから決して 動いてはいけないよ
----少し遅れるが 私も必ずあとで行く
だから早く行きなさい
わたしは これから死ぬだろう
中央からの助けは
おそらく 間に合わない
もうお前とはお別れだが
どうか
どうか生き延びておくれ
そして 出来る事なら
今日と言う 悪夢のような日を
永久に 忘れ去りなさい
ドレイクの悪夢。