RICK NOVA 『Phase Ⅰ』
Text:Tomohisa“TOMY”MOCHIZUKI この記事はichilyn.netで紹介されたものを筆者承諾のもと再掲載したものです。
アーバンな雰囲気をまとうスマートなラッパー
RICK NOVA(リック・ノヴァ)。今後の更なる活躍への期待を含め僕のお気に入りのアーティストの1人である。恐縮だが親しみを込めて以下RICKくんと書かせてもらおう。過去にご紹介したYUNGYUやRihitoくんと同様に、耳の肥えた事情通ならご存じであろう存在のRICKくん。彼と初めて会って話をしたのは、昨年のYUNGYU主催のパーティ「ily」である。
たたずまいや振る舞いがとてもスマートで、クールだったのが印象に残っている。帰国子女でいろんな国の友達を持つRihitoくん(過去のインタビューを参照してほしい)に会話の中で「年齢の割にメンタリティ成熟しすぎ」と言わしめたほどだ。それから僕の中で気になる存在となり、以後、ちょいちょい楽曲をチェックしている。釈迦坊主、MATOなど、アンダーグラウンドの顔役たちとも数多くの共演を果たす実力者だ。
釈迦坊主(Shaka bose) - Vacuous feat.RICK NOVA
MATO × RICK NOVA - Hold Up ( Prod. By Mitch Mitchelson )
maco maretsとのCyanが個人的にはお気に入り。Remixもいい。あなたはどっちが好み? (意味深)(『ily』に出演したフィメールアーティスト、Pinokoちゃんも所属するレーベル「Chilly Source」から出てます。このレーベル、シティポップかつWavyな雰囲気を持つアーティストが多くておしゃれっす)
maco marets & RICK NOVA - Cyan
maco marets & RICK NOVA - Cyan 【illmore Remix】
耳ざわりのいいコンシャスなラップスタイル
RICKくんは最近、ファッション誌に掲載されたりと露出が増えてきている。クールなのはルックスだけではない。ラップのスタイルも、奇をてらったりトレンドに安易にのっかったりはしないのだ。確固たる自分のスタイルを持ったアーティストである。かつ、ユーモアに富みハードな楽曲からメロウなトラックまで乗りこなす柔軟性も持ちあわせている。自分の流儀を持ちつつ、フィーチャリングアーティストや楽曲によってEP「C.C.C(Chameleon Changing Color)」のタイトル通り、華麗にその色を変えるのが魅力である。変幻自在なフロウはスキルの証。表現力の幅の広さが聴くモノを楽しませてくれるのだ。
ボコーダーがかったウェイビーなフロウで、リスナーの脳みそを溶かすWeny Dacillo(ウェニー・ダシーリョ)と組んで楽曲を発表することも多い。お互いに異なる国籍のバックボーンを持っていることが価値観を共有している理由のひとつだと勝手に推測しているが、真相は再会したときの楽しみとしてとっておきたい。Weny DacilloのローションのようなヌルヌルなフロウとRICKくんのおろし立てのシャツのようなパリッとした質感のラップのバランスが絶妙なのだ。個人的にはどちらも好きなアーティストなのでユニット名義でも音源を出してほしいところ。
RiCK NOVA , Weny Dacillo - New Flavor
RICK NOVA - INVADERZ ft. Weny Dacillo
ニューシングル『Phase Ⅰ』は世界中の“マイメン”をゲスト招致
さて、そんなRICKくんが4月アタマにニューシングルをリリース。『Phase』シリーズ第一弾と位置づけられた2曲入りの『Phase Ⅰ』には1曲目にFlare、2曲目にNo Talkを収録。2曲を通して先述したWeny Dacilloや UNRVL、以前インタビューを掲載した韓国のFuturistic Swaver(LapTopBoyBoy)、フランスからVrklが参加している。こういう多国籍なアーティストをフィーチャーするスタイルが増えているのは喜ばしいことだ。RICKくんの交遊関係やパーソナリティがあってこそなのかもしれないが、この形態が日本の音楽シーンでもスタンダードになればいいなと個人的には思う。いろいろな国の気鋭のアーティストをフィーチャリングワークを通じて知ることができるというのは、リスナーにとってはありがたいからだ。2曲入りシングル『Phase Ⅰ』は下記リンクからチェックしてほしい。今後さらなるブレイクの予感がするRICK NOVA。『Phase』シリーズの今後の展開とゆくゆくのスタジオアルバムにも期待しておこう。そのときにはインタビューも出来たらいいなー。願いを込めつつ、応援しています。以下オフィシャル情報。
『Phase Ⅰ』 2018.04.04(水)ニューシングル『Phase Ⅰ』をリリース。 1曲目にFlare, 2曲目にNo Talkを収録。 Phaseシリーズ第一弾。 客演にWeny Dacillo, UNRVL, 韓国からFuturistic Swaver,フランスからVrklが参加。二曲を通してかなり面白い面々が揃っている。多方面からさらなる期待が集まっているメンツの今回の作品は必聴だ!
不思議でどこか愉快。そんな彼が創造する音楽は、言葉では表現しきれない程の複雑なパズルのピースをハメ合わせて作られている様だ。そしてシンプルに突き刺さるリリックを用いて独自の言葉遣いで己の価値観を提示する表現者でもある。 1st EPであるC.C.C(Chameleon Changing Color)は、喜怒哀楽を上手く表現し絶妙な雰囲気を落とし込んだ作品として多くの支持を得た。 ソロ活動の他にMSN(メセン)、GS(ゴールドストリングス)のメンバーとしても活動をしており、多くのアーティストとコラボレーションを果たすなど、多岐にわたって活躍をしている。常に独特な世界観を生み出し、唯一無二なスタイルを武器に様々な場で勢力的に活動をしている。変幻自在、予測不可能な彼に今後も要注目だ。