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星を繋ぐ猫達 《第8章⑬ ミッション2 村人ABCその他大勢作戦》

2018.04.15 13:09

4月になりましても、やや寒暖差はげしく、半月以上早く、藤の花や八重桜が咲き始めています。


体調崩しがちな、気候ですね。お気をつけて、お過ごしください。


画像は、正式な、個展DM葉書のデザインです。今年も、猫の額さんで開催します。よろしくお願いします。


では、物語の続きを、お楽しみください。



《第8章⑬ ミッション②村人ABCその他大勢作戦》


寅次郎博士の自宅では…


博士の作った蕎麦の横に、神楽屋から出前に取った山菜の天婦羅やサラダやデザート等、テーブルは賑やかです。


神楽屋での昼食も良いかと思ったのですが、事が事だけに、やめておきました。それ以前に、毎日、行列が出来、遠方から蕎麦を食べにやってくる人達の為に、席を空けておきたかったのです。


「寅次郎せんせ、お蕎麦、美味しかったです!」


サリーは、三段のざるそばをペロリと食べてしまいました。


門田さんは、ざるそば1枚、千寿氏は、かき揚げ乗せ蕎麦、猫沢さんと猫谷エンジニアは、特別わんこそばセット。


食後の雑談と、作戦会議開始です。


「せんせー、人が石になるって、どう言う事ですか?」


「石灰化だよ」


「石灰?」


「体内に、あらゆる条件が重なり、本来とは、全く違う場所で蓄積して、固まってしまう現象だよ。まだ、他にもあるがね…」


「石灰って、あの白いのですか?」


「そうだよ。リン酸カルシウム。それが、蓄積してしまうと、激しい痛みに苦しんだり、機能が狂ったり誤作動を起こし、正確に働かなくなってしまうんだよ…」


「たとえば?」


「ここに溜まれば、睡眠障害や、物忘れ、ここに溜まれば、痛風」



寅次郎博士は、頭と足を指差しました。


「まさか頭から爪先までですか?」


「あぁ、しかし、この成分は人体を構成するのに、必要不可欠ゆえに、増えすぎれば、自分自身を傷つけてしまう。特に、頭のまん中あたりにある、小さな気管は、致命的さ。生まれた頃から、いや、生まれる以前から、うまく機能しないようにされているんだよ…」


寅次郎博士は、手のひらに現れた球体の中に、映像を映しました。現代人の脳の神経伝達網です。おびただしく光がスパークしています。


「生まれる以前から機能させない?…どう言う事ですか?」


「サリーちゃんは、歯みがき粉は、なに使ってる?」


寅次郎博士は、突拍子ない質問に、面食らいました。


「え?えっと、スーパーとかで、普通に売ってる歯みがき粉ですよ?ムーンスターでしたっけ?」


「なるほど、それらの中にも、ヒトの機能を弱らせる物が、紛れているよ。調べてみなさい」


「え?えー!?単なる歯みがき粉ですよ?」


サリーは、驚くばかりです。

それを見ていた、猫沢さんは、思わず、口を開きました。


「…このような現象は、かつての私達の星でも起きていました…ウィラード家(カルカナル)は、自分達の手を汚す事なく、猫達をコントロールしていた時代と、よく似ています…」


猫の星の過去を話す、猫沢さんを、アルハンゲルは、静かに見つめていました。


アルハンゲルが、猫の星で生きていた頃、吟遊詩人ケイオスの名で、星中を旅していました。 彼の奏でる音色は、とても不思議で、猫達の心を癒し、時には、カルカナルと戦う戦士として、熱い支持を受けていました。


猫沢さんは、子供時代、彼の音楽の魅力に引き込まれ、音とは波のひとつである事を知り、現在に至るのです。


「そうだったね。しかし、その話題は、少し後にしよう」


寅次郎博士は、ポンっと手を叩きました。


「話を戻そう。次の作戦は宇宙船の修復が終わるまでの間、私達は、何も知らないフリをしなくてはいけない」


「え?」


寅次郎博士の突拍子ない作戦に、サリーは、キョトンとしています。博士は、構わず、話を続けます。


「ところで、千寿さん、聞きたい事があります。仲間の研究員達は、宇宙人に対する偏見は、持っていますか?」


「ありません。彼等は、学生時代のUFO研究会の悪友。考古学のエキスパートです」


千寿氏は、ニッコリ笑ってみせました。


「たのもしいですね。彼等は、もうすぐ、村長の自宅に到着しますよ」


「え?千寿さんの家ではないのですか?」


サリーが、不思議な顔をしました。


「おいおいおい、サリーちゃん、私達は、あくまでも、村人ABCその他大勢の役だよ。でしゃばったら怪しまれるだろ?」


寅次郎博士は、困った顔で言いました。 


「あ!」


察したサリーは、思わず、周りをキョロキョロしました。


「こう言う土地は、すぐに、うわさが広まる。何を言われるか、わかりゃしない。私達は、表面上は、ギャラリー役に徹する。表舞台は、村長にまかせておくんだ。それに、彼は、未知太郎(カミオン)の息子。あ、千寿さんは、これから村長の家に行って下さい。これから、自宅にお送りします。そこから、ご自分の足で行けば、怪しまれません」


「え?良いんですか??」


「これを持って、偶然を装うと良いでしょう。村長には伝えてあります。ぜひ彼等と会ってきて下さい」


寅次郎博士は、村の回覧板を渡しました。中身は白紙


「何から何まで…ありがとうございます…」


千寿氏は、深くお辞儀をしました。


「千寿さん、いきましょう」


寅次郎博士は、千寿氏を、車に乗せ、彼の自宅に向かいました。


橋渡しのメンバーと、猫沢さん達は、留守番です。



その頃、村長の家では?


「遠いところから、ようこそいらっしゃっいました。さぁさぁ、お上がりください」


村長は、調査隊達を、招き入れました。


3人の男性達は、客間にて、改めて、挨拶をしました。


「初めまして、私達は、東京から来ました。湯田(ゆた)です」


「宇津見(うつみ)です」


「蓬莱(ほうらい)です」


「私、神城村の村長の神楽です」


「今回の発掘調査の件は、鬼伝説の痕跡が見つかったと、お聞きしました」


リーダーであろう、湯田氏が、身を乗り出しました。


「はい、私達が、ここに住む以前に住んでいたとされる、鬼達の事を、調べて頂きたいのです」


「神城鬼伝説、とても有名ですね。彼等は、実在していた。と聞きます」


「はい、神社の裏に、開かずの蔵があり祠が見つかりました。そこに、古い村の書物や道具が出てきたのです。私達では、どのように扱って良いのか、分かりかねまして…調査依頼をさせていただきました」


「承知いたしました」


「調査中の、あなた方の宿や食事の手配は、こちらでさせていただきます」


「ありがとうございます」


しばらく、雑談をしていると… 


チャイムが鳴りました。


[つづく]


 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。


物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。


そんな楽しい猫の星の世界観第四弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)


2018年の6月も、幻想の魚の秘密.第5弾を展示決定!お楽しみです。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)


※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)


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