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ライフコストを 下げる生き方。多拠点生活のススメ。【宮内 孝輔 (地球に宿借りJamHouse)】

2018.06.21 01:27

旅のなかで、新しい住み方のひとつとして出会ったシェアハウス。京北と東京でJamHouseとうシェアハウスを営みつつ、新たにモバイルハウスで移動することも視野に入れている。自分の場所を複数持つことから導き出されるいくつものチャンネル。麻柄ドームの設営など、気になったことへのチャレンジがもたらしてくれる未来。


文 = 菊地 崇 text = Takashi Kikuchi
写真 = 林 大輔 photo = Daisuke Hayashi


ー 宮内さんは東京や京都でJamHouseというシェアハウスを営んでいます。最初にシェアハウスをスタートさせたのはいつだったのですか。

宮内 東京でスタートさせたんです。2010年で東日本大震災の半年くらい前でした。多いときは6軒くらいあったんですよね。今は東京に2軒と京北だけなんですけど。当時、東京のJamHouseには旅で出会った仲間たちが入居していたんです。わりと自然派というか。だから原発事故があって、東京ではなく西へ向かいたいという人が多くなって、東京から京都へ橋渡しというか、流していたんです。東京でも京都でも、チャランケという居酒屋も一緒にやっていたんですけど、2015年に東京のチャランケが無くなって、一昨年に京都の店も閉めて京北に移住してきたんです。京北のJamHouseは、コミュニティのようなものになればと思っていて。田舎ということもあって、シェアハウスではなくゲストハウスのように海外からの方が多いですね。


ー 京北に来たとき、どんな印象を持ちましたか。

宮内 市内から1時間くらいでアクセスできるのに、日本昔話みたいな風景なんですよね。京北にいると農村部と町がすごく近いから、いろいろ実験できるんじゃないかなって思って。東京でやるとしたら、これほどのアクセスのところで、これほどの環境はないですから。


ー 拠点として考えているのは東京?それとも京北?

宮内 どこにも住んでいないけれど、どこでもがっつり住んでもいるみたいな(笑)。シェアハウスに住んでいると、持っているものってどんどん少なくなって身軽になっていくんです。これから日本では人口が減っていき、ますます空き家が増えていく。全国の過疎地域で移住支援が盛んに行われていますが、突き詰めると結果的に人の取り合いになってしまう。だから多拠点を推奨しているんです。社会が多拠点になっていく過程でモバイルハウスも絶対に絡んでくる。必ず来る未来のスタイルのために、今こうやって人体実験をしているような感じですね。


ー 自分で作ったモバイルハウスで移動しているんですよね。

宮内 東京で20代前半のふたりがSAMPOっていうモバイルハウスの会社をやっているんですけど、彼らに影響されて作ったんです。モバイルセルとハウスコアっていうコンセプトを持っている。ハウスコアっていうのはキッチンとかトイレ、お風呂といった水まわりとコミュニティスペース。モバイルセルが動く個室。これを組み合わせることが新しいスタイルになると。要はシェアハウスがハウスコアに当たるんです。個室は各々が自由に動けばいい。モバイルハウスは家じゃなくて部屋なんですよ。多拠点の点と点を結ぶのがモバイルハウス。


ー 実際にやってみて、多拠点生活のメリットはどういったものですか。

宮内 実感するのは各地でレア感が出ること。例えば東京で京都の暮らしの話をするとめっちゃ刺さるんです。逆に京都にいると東京の話は刺激的です。自分が多拠点になっていると、周りの人もそれに合わせてくれるというメリットもあります。すごく時間を有効的に使えるし、自分の役割も明確になる。あと東京と田舎のコントラストによって自分をリフレッシュできますし。人類が生まれてから、こんなに移動が簡単になったことはなかったんですよね。そしてこれからも地球規模でどんどん移動が激しくなっていく。移動すればするだけ出会いも増えるし、アイデアも増えると思います。人口が減ることや経済が縮小することを悲観的に考える方がかなりいるんですけど、移動が2倍になったり多拠点化が進んだら、別の解決策が導き出されると思うんですね。言葉で言っても誰も理解してくれないので、自分で切り開くしかないっすねみたいな、そんな気分なんですよ。


ー 確かに経済優先の社会はもう先が見えているわけだし。

宮内 所得を増やすことは難しいんですけど、ライフコストを下げることはけっこう可能なんですよね。シェアハウスに住んでみるっていうのもそのひとつなんだろうし。自由になる時間を作って、そのうえで次に何かをやったほうがいいよなって。


ー 麻柄ドームも作っているんですよね。

宮内 一昨年に屈斜路湖の近くにいる人に習いに行って。フラードームが原型にあるんですよね。釘を使っていなくて、工具もすごくシンプルなものでできるんです。ただ、木材の切り方がえげつないですけど(笑)。20種類600パーツくらいあって、それを組み合わせていくんです。昨年は10個くらい作りましたね。


ー 自分のことを簡単に説明するための肩書きをつけるとしたら、どんなものになると思います?

宮内 何かなあ。わからないですね。暮らし実感家? とりあえずやってみて、うまくいったものは表に出るだろうから、そうなったらみんな真似すりゃいいなって思っていますね。


ー それこそシェアが根本にあるんですね。

宮内 クローズして自分だけのものにすることって、何もないと思います。モバイルハウスも、麻柄ドームも、そして多拠点の自分の暮らしも。



宮内 孝輔
2010年にJamHouseがスタート。京北はゲストハウスとして海外からの客も多いという。本号表紙の麻柄 ドームは各地のイベントやフェスで活用されている。http://jamhouse.info/