【川廷昌弘さん:雄三通りの木の家編】共に成長できる家。日本初のFSC認証を取った新築戸建。
――― 本日はよろしくお願いいたします。
川廷 こちらこそ!
――― まずは川廷さんがお住まいの「雄三通りの木の家」についてご紹介いただけますか。
川廷 はい。ご覧のとおりこの家は、木材の特性や素材感を活かして建てました。
木材は使われているところによって産地が分かれていまして、例えば雄三通りから見えるこの外壁部分は「南三陸杉」で、デッキ材には「神奈川県の杉」を使っています。
↓外観
――― 木の香りがして心地良いです。
川廷 ありがとうございます。
ほかにも「山梨県のカラマツ」や、「三重の尾鷲ヒノキ」などの国産材が使われています。
↓1F ギャラリー
↓2F リビング
――― 壁の漆喰も良いですよね。
川廷 実はこの漆喰塗りには私の友人が55人も関わってくれたんです。
と言うのも、この家の建築は茅ヶ崎の工務店「ホームスイートホームメイド」さんにお願いしたのですが、こちらは「人任せにしない家づくり」を施主に薦めているんですよ。
だからこの辺は「水野wall」あの辺は「上田ファミリーwall」といった具合に、それぞれ名前があるんです(笑)
↓みんなで漆喰を塗る様子
――― ちなみに、この漆喰の産地も・・・
川廷 はい、北海道のホタテの殻を砕いたものです。
――― どうしてそこまで産地がわかることにこだわるのでしょうか。
川廷 私は「つくる責任 つかう責任(※)」という言葉を大切にしているのですが、要するに環境や地域社会に配慮した生産者から木材を仕入れたかったのです。
※国連サミットで採択された「SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)」の12番目の言葉。川廷さんはこのSDGsの日本語化を推進した一人。
↓SDGsのロゴ日本語版(引用:国際連合広報センター)
――― 環境や地域社会にやさしい家づくりですね。
川廷 私のような一般消費者がそういった木材を選ぶ使うために便利な見分け方がありまして、「FSC認証(※)」が取れているものを選ぶんですね。
実はこの「雄三通りの木の家」は、新築戸建住宅でのFSCプロジェクト認証取得は日本初なんです。
※Forest Stewardship Council:木材の生産・流通・加工が、環境・社会・経済の持続可能性に配慮されていることを証明する国際認証
――― 日本初ですか!
川廷 工務店のホームスイートホームメイドさんも共感してくださったおかげで実現したので、本当に感謝しています。
しかもこの家は自分で書いた間取図をほぼそのまま実現してくれたんです(笑)
――― 工務店と二人三脚で作り上げたのですね。
川廷 また南三陸杉は、私が東北復興を通じて意気投合した林業家の佐藤太一くんのおかげで「伐倒式」も経験できました。
30代で家を建てた時に、新築の時がピークであとは経年劣化していったなあと感じていたんです。
でもこの家の場合は建てる前や建てる途中でさまざまな人との繋がりが生まれて、建てた後にもたくさんの方が集まってくださるので、家とともに成長をしている実感があります。
↓南三陸での伐倒式の様子
――― ここからはこの雄三通りの話に移りたいのですが、そもそもどうしてこの雄三通りを住む場所として選ばれたのでしょうか。
川廷 私は兵庫県芦屋市の駅から南に向かう道沿いにある家で生まれ育ったのですが、この雄三通りのように駅から海に向かう道をよく歩いていました。
数年前に茅ヶ崎に引っ越してきて1年以上かけて土地探しをしていました。
ここは潮風の通り道のように感じられて、生まれ育った環境より自分好みの立地で気に入っています。
―――雄三通りで好きなお店はありますか。
川廷 お惣菜がおいしい「春きらり」、フェアトレードコーヒーを提供してくれる「FLOWER COFFEE」、和カフェの「黒糖茶房」、お魚屋さんの「魚卓」と言ったところでしょうか。
毎朝、茅ヶ崎駅に向かって雄三通りを歩きながら、支度中のFLOWER COFFEEの平尾さんに手を振るのが日課なんです(笑)
彼はこの家が建築中のときに知っていてくれたみたいで、「あぁ、あの木の家の方ですか!」と話も盛り上がりました(笑)
――― 同じ雄三通りの当事者ですからね(笑)
川廷 そうそう(笑)
雄三通りは私のような都内に通勤している市民にとっては、「帰ってきたー」と感じられる玄関口じゃないですか。
帰り道、茅ヶ崎駅から海に向けて歩いていると、最初はお店が多くて賑やかな雰囲気を感じられます。
鉄砲道との交差点を過ぎたあたりから、だんだんと住宅が増え始めて、交通量も減ってきますよね。
それぞれのお宅の庭木の緑が増えてきて、そこに吹きつける潮風が葉を揺らしているのが感じられるようになってきます。
次第に空が広く感じられてくる頃に「木の家」が見えてきて、入ると木の香りが迎えてくれる。
そういう毎日をくれるのが私にとっての雄三通りですね。
――― まさにエキウミな生活ですね。雄三通りには、加えてRYU AMBEさんのイラストも増えてきています。
川廷 あの絵はすごく良いですよね。
エキウミさんは彼の絵をキービジュアルとして使っているけど、それが雄三通りでも増えてきているので、一貫したブランディングになっていると思いますよ。
↓エキウミのロゴ(左)とスーパーたまやの壁画(右)。いずれもRYU AMBEさんの作品
――― ありがとうございます。まさにそれが狙いのひとつだったりします。
川廷 私は勝手に夢見ていることがあるんです。
いつか庭先に低いまっしろな壁が造れたらいいなと思っていて、それを見たRYU AMBEさんが絵を描いてくれないかなって(笑)
ビーチクルーザーにロングボードを積んだおっさんの絵に”To The Sea”というメッセージを添えるようなものを、彼なりの解釈で描いてくれたら、本当に嬉しいですね。
――― とても素敵だと思います。次回は、川廷さんのお仕事について伺いたいと思います。
(次回につづく→博報堂DYホールディングス編:持続可能な社会の実現へ。SDGs(エスディージーズ)の日本語化を推進。)
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【湘南・茅ヶ崎で暮らす人 – 川廷昌弘さん】
・第1話 雄三通りの木の家編:共に成長できる家。日本初のFSC認証を取った新築戸建。
┗ 参考:FSCジャパンの紹介ページ
・第2話 博報堂DYホールディングス編:持続可能な社会の実現へ。SDGs(エスディージーズ)の日本語化を推進。
・第3話 写真家編①:阪神淡路大震災で被災を経験。生まれ育った芦屋市の復興を撮る。
┗ 参考:「 一年後の桜」 MASAHIRO KAWATEI PHOTOGRAPHY
・第4話 写真家編②:写真家として死にたい。三重県の林業家「速水林業」との出会い。
┗ 参考:「 人工林の美、林業の現場。」 MASAHIRO KAWATEI PHOTOGRAPHY
・第5話 CEPAジャパン編:社会的接点は多いほうが良い。南方熊楠シンポジウム&写真展に向けて。
┗ 参考:ジャパニーズ・エコロジー 南方熊楠ゆかりの地を歩く 日比谷図書文化館
▼インタビュー・編集 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter)
2015年、茅ヶ崎市に移住。「エキウミ」の管理人。住宅・不動産サイト運営会社、お出かけ情報サイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイトにて企画職に従事。ハンドメイドアクセサリーブランドm'no【エムノ】のウェブマーケティングも行う。