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鬼岳火山群~福江島のシンボル。スコリア丘群

2023.01.04 05:45

http://vzp04542.la.coocan.jp/earth/volcano/fukue/fukue05/fukue05.htm 【鬼岳火山群   ~福江島のシンボル。スコリア丘群と溶岩台地~】 より          

多郎島公園から見た鬼岳。山焼きでよく目立つ。

富江の多郎島公園から見た鬼岳火山群。鬼岳のすぐ右に火ノ岳、右端には箕岳と臼岳。

1.鬼岳火山群の地形

鬼岳周辺の地形。鬼岳が南北に長いスコリア丘であることが分かります。

鬼岳(おにだけ)火山群

 富江火山を後にして、いよいよ鬼岳に戻ってきました。

 福江島のシンボル、鬼岳(おにだけ)および火ノ岳(ひのたけ)を中心に厚い溶岩台地の上に刑された複数のスコリア丘からなる、福江市街地に最も近い半島。

 さらに南東方向には箕岳(みだけ)および臼岳(うすだけ)小スコリア丘からなる小さな舌状の半島が付け加わります。

 沿岸には黒島、黄島、赤島等からなる火山島が点在する、福江島の中でも最も火山密度の高い地域となっています。

 鬼岳は東伊豆の大室山のような単純なスコリア丘ではなく、南北に複数並んだ複合スコリア丘で引き伸ばされた印象。近づいて見ましょう。 

2.鬼岳遠望

福江島のシンボル鬼岳。

山麓からの眺め

 訪問三日目の夕方、富江を過ぎていよいよ福江火山群の中心火山ともいえる鬼岳に近づいてきました。まずは鬼岳の南西山麓から眺めてみます。

 鬼岳スコリア丘は山焼きにより、伊豆の大室山のようにススキ原で覆われているために、とても目立つ存在。

一見、単純なスコリア丘に見る鬼岳ですが、実際には奥に向かって長く伸びた地形となっています。この辺りは鬼岳からの溶岩が広がっています。

鐙瀬海岸からの眺めが最も左右対称

 鬼岳の南側、鐙瀬(あぶんせ)海岸から眺めると、左右対称形のスコリア丘の姿を見ることができます。

 この辺りはやや古い鬼岳の溶岩流で覆われており、一体は自然公園となっています。

 写真の右端は火ノ岳火山。

 鐙瀬ビジターセンター近くの展望台から撮影。

富江の溶岩に較べるとやや荒っぽい印象。

南部二つの小スコリア丘

 海岸に降りてみると、溶岩海岸が延々と続きます。

 直前に見た富江の溶岩海岸に較べると、やや溶岩の質が異なっており、ブロックも大きく若干粘性が大きい印象。

 写真の遠景にある二つの三角形の山は、左が箕岳、右が臼岳の小スコリア丘。右の臼岳は半分海食で失われていますが、左の箕岳は後で登って分かったのですが、とても均整のとれたかわいいスコリア丘なのでした。

 日も暮れてきたので、今晩の宿に向うことにします。

ビハーラ五島さんで見せていただいた火山弾。右の火山涙コレクションにも注意。

驚きの民宿

 この日は福江の市街地近くの高台(実は鬼岳溶岩流の末端近く)にある民宿「ビハーラ五島」さんにお世話になりました。 

素晴らしかったこと

その1)

料理が非常においしかった(奥様ありがとうございました)

その2)

ご主人が福江島の自然や歴史にとても詳しい方で、火山にも明るく、この地域で採取された火山弾や火山涙、鉱物を数多く見せていただきました。たまたま予約した民宿でこんなことになるとは・・・。お世話になりました。地学目的で福江島に訪れる方にはお薦めの宿です。

3.鬼岳に登る

訪問4日目、今日一日が福江島を廻れる最後の日。とりあえず朝から鬼岳に登ってみることにします。

福江火山群のシンボル、思い描いていた鬼岳にいよいよ登山してみましょう。

ペレーの涙ならぬ、鬼の涙?

鬼岳登山

 よく整備された登山コース入り口にはビジターセンターの他、鬼岳天文台(写真の奥にみえる)などの施設があります。

 ここからのんびりと草地の道を登っていくことにしましょう。

広々とした景色

鬼岳のふもとから

 登り始めのスコリア丘の麓はこんな感じで、実に広々としています。

 これから中央に見える道に沿って登っていくことにしましょう。

 よく整備された草地なので、多少コースを外れてもどうにかなります。枯れ草の山を登るのは楽しいものです。正月に来た甲斐がありました。

中腹からのパノラマ

上の写真の上部に見える尾根筋に達すると・・・       ※クリックすると大きな画像になります

鬼岳パノラマ。クリックして大きな画像へ。

・・鬼岳スコリア丘の全貌がよく分かります。

 鬼岳は南北に長い、北側に口を開けたスコリア丘なので見る角度でその印象は随分変わります。

 登山道は北側斜面からスコリア丘の縁に沿って一周しています。

こんな感じで火山弾が顔を出す

火山弾が顔を出す

 一帯はスコリアはもちろん火山弾や火山涙(溶岩のしずく)が積もってできた火山です。登山道のあちこちにきれいな火山弾が草の中から顔を出しています。

鬼岳山頂標識は、文字がはがれていてよく見えない

鬼岳山頂

 あっというまに山頂です。

 山頂といってもスコリア丘の縁の一部で、標識(文字が剥がれていて良く見ないと気付かない)でそれと分かる程度のものです。 

火ノ岳

火ノ岳

 鬼岳山頂から見た火ノ岳。

 こちらはゴルフ場と樹木に覆われておりあまり近づけません。

 山焼きが行われていないため、一見鬼岳の方が新しい火山のようにも感じられますが、実際はどうなのでしょうか。

  

左:箕岳 右:臼岳

箕岳と臼岳

 半島の南に、さらに小さな二つのスコリア丘のつくる溶岩半島があります。左が箕岳。右が臼岳。あとで行ってみることにします。

 鬼岳もスコリア丘部分は急傾斜ですが、すぐ外側は比較的傾斜が小さく、耕作に適した溶岩台地が広がっています。

 

スコリア丘の急斜面の先は、緩やかな溶岩台地がひろがります。

南海岸線

 写真の左端付近の海岸線が、昨日見上げていた鐙瀬海岸。

 その沖に見えるのが黒島。

 海岸付近は傾斜が緩い溶岩台地が広がっています。

 写真右側の沖には目立ちませんが、富江火山のたいらな半島が横たわっています。平らなので本当に目立ちません。

  

空港にうってつけの溶岩台地。

五島福江空港

 鬼岳西山麓は空港を作るにはうってつけの溶岩台地。地形の険しい他の島に較べれば、空港の建設コストはずいぶんと安く上がったと思われます(?)

部活の練習場所としては最高ですね。

野球部の練習場所

 鬼岳山頂を一周して降りてくると(下山ルートは迷ってヤブコギ)、地元高校の野球部の生徒達が鬼岳の草原で体を鍛えていました。

 こんな自然の中で練習できるのがうらやましい。

 さて、そろそろ鬼岳を下り、さらに南の箕岳に向かうことにします。

 

4.小学校の火山弾

崎山小学校正門。門松が見事です。

崎山小学校

 鬼岳から箕岳に向かう途中、崎山小学校に非常に大きな火山弾が置かれているとの民宿のご主人からの情報を得て、訪ねてみました。

 正月休みで誰もいませんが、立派な門松が正門を飾っていました。。

 火ノ岳火山の南東山麓に位置しています。

 正門が開いていたので失礼してみます。 

卒業生の顔、顔。

正門すぐ脇の庭に無造作に置かれた火山弾

 小学校の正門を入ってすぐ左側の庭に、かつての卒業記念のさまざまな記念碑?と共に大きな火山弾が置かれていました。 

マウスオンで視差画像。

崎山小学校の火山弾

 民宿のご主人が仰るとおり、非常に大きな紡錘状の火山弾でした。

 ※画像にマウスを当てると視差画像となります。

 おそらくこの小学校の近くに落ちていた火山弾なのでしょうが、供給源は不明です。火ノ岳? 鬼岳? それとも箕岳・・・?

 

6.箕岳火山

東側から見た鬼岳火山群の鳥瞰図(カシミール3Dで作成)

鬼岳、火ノ岳火山の南側に新たに噴出した小スコリア丘、箕岳と臼岳(半分侵食されている)の位置関係です。

一方で鬼岳と火ノ岳周辺(特に北側、図の右側)には小スコリア丘がいくつも並んでいるのが確認できます。

火ノ岳と箕岳にはさまれた谷筋に崎山町の町並みがあり、上で紹介した崎山小学校もここにあります。

東側からの鳥瞰図。

きれいな公園です。2枚パノラマ。

コンパクトで新鮮なスコリア丘

 箕岳はこれぞ単成火山のスコリア丘ともいえる若々しい地形と保っています。鬼岳同様、北側に開いた形です。

 火口底の部分は写真のようにきれいなグランドで、周囲は桜が植えられています。周囲をスコリア丘で囲われているので風の少ない良い花見スポットとなるのでしょう。

 写真正面のスコリア丘の縁に沿って歩道が整備されていて、山頂まで続いています。登ってみましょう。

箕岳スコリア丘の縁につくられた歩道。

小さなスコリア丘の登山歩道

 歩道の一部はスコリア丘を一部削ってつくられており、その断面を見ることができます。写真上部は崎山町の町並み。

 

 小さなスコリア丘は公園としてはうってつけですね。

スコリアの降り積もった崖。

スコリア丘の断面

 大部分は赤茶けたスコリアが降り積もっています。左上にはやや大きな火山弾。鬼岳も含め、スコリア丘はこのような火山噴出物が降り積もって形成されたものです。

 

箕岳スコリア丘中腹からのパノラマ

歩道の途中から見た箕岳スコリア丘。基底部のグランドと、その周囲に植えられた桜並木。

右側遠景は鬼岳および火ノ岳。火ノ岳の手前に広がる崎山町。

左側アンテナが見えるところが箕岳山頂。

※クリックすると大きな画像になります。

箕岳スコリア丘。クリックして大きな画像へ。

箕岳山頂からのパノラマ

写真左側に見えるのが臼岳スコリア丘。海側半分が海食で失われています。

臼岳の左に見えるのが黒島。

※クリックすると大きな画像になります。

箕岳山頂からのパノラマ。クリックして大きな画像へ。

4.市街地近くの鬼岳溶岩流の末端崖

箕岳を後にして福江港近く、鬼岳の厚い溶岩流が市街地にせまる崖を観察してみました。(矢印部分)

南側から見た鳥瞰図。市街地に迫る溶岩の崖。

標高40m以上あります。

溶岩流の末端の崖

 福江港から見ると、低地に広がる市街地のすぐ西側に高さ40m程度の崖が迫っていることが分かります。鬼岳火山から流れ出た、空港を含む溶岩台地の末端。

 

崖の傾斜は非常にきつく、道は斜めにつくられています。

 

 写真左奥が市街地方向。

ジグザグ道で登ります。

つづら折れの道

 上の写真の少し奥から撮影。

 溶岩台地に上がる道はジグザグにつくられています。

 台地上はおもに畑が広がっています。

6.鬼岳周辺の火山島

今回は訪問できませんでしたが、鬼岳周辺の小さな火山島の写真だけ掲載しておきます。

鐙瀬海岸から撮影。

黒島   標高約100mの火山島。富江から連絡船で結ばれている。

黒島

黄島(おうしま)

写真右半分が黄島(標高92m)。福江港から連絡船が出ています。南側の海岸に大規模な溶岩トンネルがあるとのことで、是非行ってみたかった島です。

左側、黄島の手前にある低い火山島は「大板部島(おおいたべじま)」。無人島です。