特異な単成火山群
http://vzp04542.la.coocan.jp/earth/volcano/fukue/fukue01/fukue01.htm 【~特異な単成火山群~】 より
福江火山群のシンボル、鬼岳スコリア丘。
~目次~
(1) ~特異な単成火山群~
(2) 嵯峨島 ~二つの小さな火山と海食崖~
(3) 三井楽火山 ~アイスランド型楯状火山の日本代表~
(4) 富江火山 ~高流動性溶岩と溶岩トンネルの半島~
(5) 鬼岳火山群 ~福江島のシンボル・スコリア丘群と溶岩台地~
(6) 岐宿火山 ~福江島最初期の玄武岩半島~
1.五島列島・福江島の位置と地形
五島列島の位置
五島列島の位置
五島列島と聞いて「火山」を連想する人はあまりいないでしょう。
長崎県の最西端、東シナ海に浮かぶ、かつて遣唐使の時代から中国や韓国との交易の拠点であった島々。
火山が分布しているのは、北の小値賀(おじか)島と、南端の列島最大の福江島です。今回は南の福江島を訪ねてきました。
広く周辺の火山分布を見れば、いわゆる火山フロントに並ぶ九州火山のメインストリート(阿蘇~桜島~薩摩硫黄島~トカラ列島)からは大きく離れたところに位置します。そこにある火山の景観は九州のものとは随分違っていました。
遠く目を向けると、西には韓国唯一の火山島である済州島(チェジュ島)がドンと構えています。五島は日本列島とユーラシア大陸の間にあって、日本で普通に目にするものとは異なる火山が見られるめずらしい場所といえるかもしれません。
このページの3D地形図は景観ソフト「カシミール」および、国土地理院の50mメッシュデータおよび地形図データを使用して作成しています。
福江島の地形。舌のような溶岩地形が非常に新鮮。
福江島
五島列島の南西端にある最大の島が福江島。周辺の島々と共に平成の大合併で「五島市」となりました。
火山島としての福江島の特徴が左の地形図に集約されています。
島の中央の大部分は侵食の進んだ第三紀の堆積岩および深成岩からなる基盤です。
その周囲にいくつかの平坦な「舌」のような半島が見られます。これらはすべて玄武岩質の溶岩が噴出したものです。
大きなものは北西の三井楽(みいらく)火山、南の富江火山、南東には島のシンボルである鬼岳(おにだけ 通称おんだけ)火山群。
あまり目立ちませんが北の岐宿(きしく)火山もこれらの火山群のなかでは最古参のものです。
半島になりきれなかった「火山島」も数多くあります。
三井楽の西に位置する嵯峨島(さがのしま)、鬼岳火山の南に位置する黒島(くろしま)、黄島(おうしま)、赤島(あかしま)・・・
福江火山群は活火山
2003年、活火山の定義がそれまでの”およそ2000年以内に噴火した火山”から”およそ1万年以内に噴火した火山”に変更になりました。その際、福江火山群が新たにリストに加えられたのは、鬼岳火山群のスコリア層の下から縄文時代の遺跡(黒曜石)が出土したからです。地形を見ても明らかに新鮮ですね。
2.アクセス
奈良尾港から福江港にむかうフェリーから見た鬼岳火山。冬の季節風が強く吹いています。
冬型の季節風が吹く2008年元旦の午後、福江港にむかうフェリーから見た鬼岳火山と差し込む「後光」。
中央やや左側に見える、なだらかな裾野が鬼岳火山。ちょうど「後光」が差し込むあたりに福江市街地がある
福江港に接岸。市街地の上に鬼岳が見える。
海 路
長崎港から五島列島への海路は充実しています。
・・のですが、訪れた2008年元旦は強い冬型の季節風の影響でジェットフォイルはもちろん、フェリーも昼まで欠航・・・。元旦中の福江島上陸も諦めかけましたが、昼過ぎにようやく再開したフェリーに乗ることができました。
「九州商船」 長崎港~福江港
・ジェットフォイル・・・約1時間半
・フェリー・・・約3時間半
※奈良尾港に寄港する場合は30分程度余計に時間がかかります。
写真は福江港に到着したフェリー。
目の前に鬼岳が出迎えてくれ、いよいよ来たな・・という気持ちになります。
帰路にお世話になった全日空機。五島福江空港にて。
空 路
鬼岳山麓、福江の中心地から車でわずか10分もかからないところに「五島福江空港」があります。
・全日空 五島福江空港 - 福岡空港
・オリエンタルエアブリッジ 五島福江空港 - 長崎空港
船で行った方が気分は盛り上がるような気がしますが・・。
寝台特急なは・あかつき 元旦の朝に到着した長崎駅にて
長崎までの鉄路
今回は2007年の大晦日、京都発長崎行きの寝台特急「なは・あかつき」に乗って2008年元旦の朝に長崎駅に到着。
火山とは関係ないのですが、2008年3月で廃止されてしまったブルートレインなのでやや感傷に浸って掲載しました。
こんなに便利で、のんびりできる乗り物が廃止されていくのは寂しいですね。