帰ってきた名盤探険隊、第4弾いまこのタイトルが売れています。
帰ってきた名盤探険隊、第4弾いまこのタイトルが売れています。
ラブ・ノークス『レッド・パンプ・スペシャル』(WPCR-15119)
好評をいただいている新・名盤探険隊、第4弾の10枚には待望の世界初CD化タイトルが含まれています。その中でも注目してほしいのはラブ・ノークスです。はっきり言って日本では無名です。このアルバムは1973年のリリースですが日本では発売になりませんでした。それでもラブ・ノークスという名前は長年英国フォーク・ファンからはカルト的に知られています。ノークスは47年グラスゴーに生まれリンディスファーンに楽曲を提供したことから英国音楽業界で知られる存在となり、70年英デッカからアルバム・デビュー。A&Mを経て73年ワーナー・ブラ―ザーズに移籍、2枚のアルバムをリリースしました。なんとこの2枚が今回世界初CD化になったのです。ようやく文字通り隠れた名シンガー・ソングライターの作品が40年の時を経てCDになりました。3枚目にして初のアメリカ録音。名うてのエリアコード615をバックに繊細でいながらガッツのあるノークスの歌声を是非ご堪能下さい。ライナーノーツ覗き見 ラブ・ノークスは1947年の5月13日、スコットランドのグラスゴー地方で生まれた。60年代の後半から地元のフォーク・クラブやコーヒー・ハウスで歌い始めたというから、同じグラスゴー出身のバート・ヤンシュやドノヴァンのちょっと後輩といった位置付けになるのだろうか。ヤンシュのようにブリテン諸島の伝承音楽にアプローチしていったり、ドノヴァンのようにサイケデリック・ロックの季節と共振することはなかったが、それでもノークスの気品と親しみ溢れる作品は次第に評判を呼び、70年にデッカ・レーベルと契約。『Do You See The Lights?』でアルバム・デビューした。レイ・ホリックスがプロデュースしたこの作品、才気は感じられるもののこと演奏に関してはリズム面での物足りなさに耳が行ってしまう。しかしながら先にも触れた通り、リンディスファーンに提供した「Together Forever」の作者版を収録するなど、やはりノークスの原点と言っていいだろう。(中略) そうした過程を経て生まれたのがこの『レッド・バンプ・スペシャル』だった。ノークスにとってはサード・アルバムとなる73年の作品であり、ワーナー・ブラザーズに移籍して新たに再出発した意欲作でもあった。何よりも注目したいのは、スコットランド出身の彼が初めて渡米してレコーディングを行ったことだろう。それもナッシュヴィルに赴き現地の腕達者たちばかりか、メンフィスのプレイヤーたちとも合流したのだからちょっとした驚きだった。ちなみにアメリカへの憧れから米国での録音に踏み出していった英国圏のミュージシャンとしては、エリック・クラプトンやデイヴ・メイソンが先駆的な存在だろう。バンド単位でもトラフィックやローリング・ストーンズがアラバマ州のマスル・ショールズ・サウンド・スタジオを訪れるなど、70年代初頭にはそうした英米の音楽家同志の交流が盛んになり始めていた。そうしてロック・シーンは次第に音楽的な実りの時期を迎えつつあったのだが、ラブ・ノークスのこのアルバムも間違いなくそんな時代を映し出した秀逸な一枚だろう。 小尾 隆によるライナーノーツより抜粋 “新・名盤探険隊”のラインナップはここでhttp://wmg.jp/special/meiban/